続 カリホルニア南部の山火事
CNNニュース、取材のインタビューから。
山火事の避難所で、避難者の支援に働くボランティアの若い女性、自分の家は焼けてしまったが家族みんな無事だったから、少しでも困っている人の援助の役に立とうと思ってとのこと。
警官の話、避難所に、山火事の避難者でないものが援助品を持ち去る行為が増え、見分けるのに困ると言っていた。火事場ドロボーそのもので、どこにでもあるものであろうが、ニューオリンズの時は警官も逃げてしまって無法地帯になったとか。
これもアメリカの社会の現実の姿か?
続 驚いた地下鉄の設計
NHK手話ニュースで架線のいらない市電の走行中の映像を見た、特殊なバッテリーを積むことで、駅に停車中に架線から充電することで数キロメートル先の停留所まで電池で走行するとのこと。
先の記事で、地下鉄に対して非建設的な提案と思われることを書いた、そのとき、停電しても次の駅まで走行できる電池を積むことを書こうかと思ったが、技術的に可能かどうか自信がなかったのでやめた。この設備があれば、地震や車両火災、一部の路線で浸水などがあってブレーカーが作動し電力が落ちても駅のホームまでたどりつける可能性が飛躍的に向上する。
もうひとつ、170%ほどの乗客の列車がホームに着いた時点から一斉にドアをあけ全員が地上に避難するまで何分かかるか、駅を設計するときこの様な規制はあるだろうか。また各駅ではこのような避難訓練はしているだろうか。各駅に、”このホームから地上に避難するには何分かかります”といった表示をしたらどうか。乗客が自分のポリシーで駅を選ぶことも出来る、特に歩行不自由な人には重要な情報と思うがどうだろう。
カリホルニア南部の山火事と ハリケーンカトリーナ
現在、CNNニュースでは山火事のニュースを連続して放映している。サンタバーバラからサンディエゴまで、山の手の森林の中に点在する高級住宅地域があり、比較的豊かな人たちが住んでいる。先ほどのニュースでは90万人以上の住民に避難命令が出ていると報じていた。多くの避難民に対するインタビューや避難所の画像が出ているが、2005年のカトリーナの時と比べると悲壮さがない。カトリーナの場合は、ニュースに取り上げられていた被災者は貧困層の場合が多く、避難する手段を持たない人たちであった。その意味は、アメリカでは、自分の車と、クレジットカード(銀行口座)がなければ、別の地域に移動することはほとんど不可能である。これらがなく、その日に働いたパート収入の現金で生活している人たちは、地域の崩壊と同時に生活の基盤がなくなることである。
それに比べると、現在被災している人々のインタビューの内容は、家族の思い出の写真や、家具が失われたこと、ペットの安否の話である。中流以上の市民は、当分自宅を離れても生活出来る経済的信用と、親戚などが広域に分散している場合が多く、家屋なども保険に入っているので生活の基盤の崩壊にはつながらない。
もうひとつ、アメリカでは、納税者意識が強く、高額納税者の多い地域には、税金で賄われている地方自治体の組織、警察や消防署は精いっぱい働く、今回の山火事では消防士の献身的な働きが報道され、警察活動も機能しているようだ。 州知事や、大統領の反応も速い。 ニューオリンズ場合、税金を納めていない貧しい被災者には、政府組織は無関心であり、警察も住民の役に立たない、一部のマスメディアのキャンペーンが世論に訴えたことでやっと救援活動活動が動いたことでもわかる。
多民族、教育の背景の違い、多様な価値感をもつ人々のアメリカ、唯一の連帯感は、税金を納めることにより行政からその見返りとしてのサービスを受ける、これだけといったら過言だろうか。
サンタバーバラの森林地帯の友人のサマーハウスとバックヤードのレモン畑の前で その家族と 1976年8月
驚いた地下鉄の設計 大江戸線の停電事故のニュースから
停電で電車に閉じ込められた乗客が2時間もかかって脱出したという話。
旅客機の場合、90秒ルールといわれる制度があると聞く、90秒以内に全乗客を機外に避難させる規則である、2階建500人以上の乗客のエアバス380も例外ではないようだ。コマーシャルエアラインの目覚ましい安全率の改善は、国際的な事故科学分析システムの結果から実現できたものと思う。今回のように、国際的に問題にならない国内のこととなると、安全を全く無視した設計が何の規制もなく認可されるのは不可解としか言いようがない。これがもし車両火災だったら、脱出所要時間から推測すると助かったのは乗客の一割もなかっただろう。公衆の集まる建造物には必ず非常口と誘導標識が義務付けられているのに、千数百人も乗っている車両に1人ずつしか通過出来ない脱出口一つだけの構造の車両が認可された根拠はどこにあろうか?、犯罪行為ともいえる。さらに、航空機の場合、客室乗務員は事故の場合の乗客避難の教育や、訓練を義務付けられているのに、この列車に車掌一人と聞く。これほど人命を無視したシステムがあろうとは。
このような危険な交通機関でも、今日の東京の都市構造として必要なら、事故の場合救助する方法の無いことを乗客に知らせ、それでも利用することを承諾した人達にのみ乗車券を売るよう、発券機に承諾ボタンを設置すべきであろう。非現実的な話と思う人がいるかと思うが、運送契約事項としてまともに考えればこの提案ほど当たり前の話はないだろう。
政治家や高級公務員の汚職を防ぐには
現在の日本で高額の教習料を取る自動車教習所は必要か?
日本でモータリゼーションが大衆化してから40年、一部の大都会居住者を除くと、新しく運転免許を取る若年世代では、両親ばかりでなく祖父母も運転歴20年、40年の家族があり、車も一家に2台あるところもまれではない。にもかかわらず、家庭に車が無かった時代に必要であった自動車学校での教習だけが運転免許を取る唯一の方法というのはどんなものか。
自動車交通の先進国である欧米諸国では、原則としてペーパーテストに合格すれば、地域の免許証保持者が同乗する条件で路上訓練が出来る。基礎的な運転技術を習得したと判断した時点で、試験官のアポイントメントを取って車持ち込みで試験を受けるのが普通である。経費は総額1万円もかからないだろう、それに合格すればすぐ仮運転免許証が出て単独運転ができる。最近は、公的な資格を持った運転指導員に決められた時間教習を受けなければ受験資格を取れない自治体も増えたと聞くが、日本の様に、若者の初任給の2か月分もの教習料をが必要なことを、それらの国の人たちに理解させる方が難しいだろう。箱庭の様な教習コースで、教習場の車を使って、高額の金額を取るビジネスをいつまで保護するのか、こんな経費と時間をかけなければ運転免許を取れない国はおそらく無いだろう。 殆どの若者が社会に出るとき運転免許を必要とする現代、国立(法人)大学の授業料に匹敵するような金額の教習料金を必要とする制度は公正であろうか。
車の安全運転は、道路状況や、天候、車の性能など、いろいろな条件の変化にいかに合理的に対応し適格な判断ができるかで、それを運転経験者に実施に習うことが大切である。箱庭でノロノロ運転、狭い場所に後ろ向きに車を入れる訓練など、現実とは程遠い仮想道路での訓練が、実際の道路でどれほど安全な走行に役立つだろうか。
高齢者交通の確保と安全 OECD/ECMT のレポートから
OECD/ECMT のレポート: Aging and Transport Mobility and Safety Issue
この問題の理解には、まず高齢者が生活の為に移動しなければならない移動距離と、交通の手段を正確に把握する必要がある。今日の欧米先進国では、日本も含めて、都市周辺の居住地の拡大が起こり生活のため必要な移動距離が増大している。ライフサイクルによる活動パターンを調べると、 ヨーロッパの場合,地域による開きが大きいが強いて纏めて表にすると。
一日当たりの外出回数と走行距離
| ヨーロッパ | アメリカ | |||
| 高齢者(75 -79歳) | 2回 10km | 3.5回 38km | ||
| 非高齢者 | 3,5 回 40km | 4.7回 83km |
残念ながら日本でのそのようなデータは見当たらない。おそらく地方の生活者はヨーロッパとそれほど違わないだろう。交通手段の選択は以下の三つが考えられるが、高齢者にとってはどれでも同等に利用出来るわけではない。
ノールウェイのアンケート調査によると、交通の困難さの度合いは、1000人前後の回答者の割合(%) で見ると、78歳以上では (女性)
| 歩行 | 公共交通機関 | 車運転 |
| 32 (47) | 10 (27) | 8 (18) |
高齢者の長距離歩行困難は、医学的に証明できるはずであるが、この原因で、公共交通機関もタクシー以外はかなりの距離の歩行を伴い、アンケートのような結果が出るのも理解できる。では、上記三つの交通方法の安全の度合いはどうであろうか? 詳細に分析したデータは見当らないが一例としてイギリスの場合
65歳以上の交通事故死の割合を見ると (%)
| 歩行者 | 車運転 | 車同乗者 | |
| イギリス | 49 | 31 | 16 |
日本でもほぼ同様とみられ、歩行による危険度が最も高いことが予想される。このようにして現在報告されているさまざまな科学的データを見る限り、高齢者に必要で安全な道路交通の手段は、以下の様に纏められると思う。
1 高齢者層の起こす運転事故は、他の世代に比べ大きくない。(危険運転層ではない)。
2 現代の欧米型社会では、高齢者も生活の質を保つために道路交通手段が必要である。
3 75歳以上の高齢者にとっては、歩行困難者の割合が加齢と共に増加する。
4 交通の安全度合いを見ると、道路の歩行は高齢者にとって最も危険であると考えられる。
5 公共交通機関もタクシー以外は歩行を伴うので解決にはならない。
6 高齢者は自分で車を運転する交通手段が最も困難が少ない。
7 加齢による通常の運動機能の低下が運転を危険にするのではなく、脳医学的な診断に基づいて運転の適否を判定すべきである。
8 高齢による歩行困難は一種の身体障害であり、車の構造の研究により(福祉車)助けられる可能性が大きい。
9 高齢者は、事故に遭遇したとき、どの交通手段であっても同様に非高齢者より死亡につながりやすい。
高齢者は、加齢によって運動機能が衰えてくるのは避けられないが、それが原因で起ると考えられる運転事故は、欧米先進国では、信号や道路構造の安全設計と改良により回避できることが研究の結果実証されている。
高齢者の増加に伴い、高齢者を道路交通から追い出すのではなく、安全な交通の確保が重要な社会問題となろう。
高齢運転者の事故分析 OECD/ECMT のレポートから
高齢者道路使用者の衝突傾向 Older road users’ crash trend
統計によると、高齢者ドライバーの死亡率は他のグループより高いが、この傾向は、事故にかかわった双方の同乗者の死亡率も同様の傾向にある。この効果を差し引くと、運転の結果ではなく同じ規模の事故で高齢者は死亡につながりやすいということを表している。
どうしても、高齢ドライバーの運転が安全層だという結果を承服しない人が証拠として挙げる、アメリカの運転者の運転距離当たりの死傷率の統計がある。これによると75歳以上では明らかに死傷率が目立って大きく表れているが。この論文ではこれも詳細に分析していて、高齢者は、自動車専用道路を長距離運転する確率が低く、近距離の、交差点が多い事故率の高い一般道路の運転が多い傾向にあるがこれを勘案していない上記の統計は、高齢者死傷率の明らかな過大推定であるとしている。その根拠は、田舎道、市街地、交差点、高速道路に分けた事故率の統計結果からの考察からである。安全設備の完備していない田舎の交差点の事故率は非常に高い。
ただ、アメリカの場合、高齢者の年間走行距離が増加する傾向にあり、現在まではそれによる事故の増加は見られていないが、将来、高齢者の死傷事故の増加が予測されている。
以上の他にも、車の構造の違い、交差点信号方式の設計(ヨーロッパの交差点はラウンドアバウト方式で信号交差点が少ない)、交通習慣の違いなど様々な要素が交通事故原因には関係し、その分析には信用できる生データが不可欠で。OECDでは、国際的に比較可能な、研究や、交通行政に役立つ詳細なデータベースの構築を行っている。また、発表論文には、研究者や、データの出所、参考論文リストが明記されている。この第三章の章末に挙げられている文献だけでも40編がリストされている。
Aging and Transport Mobility Needs and Safety Issues 全131ページ
高齢者運転の安全研究の歴史的経過 OECD/ECMT レポートから
高齢者運転研究の歴史的経過、最近の報告から
OECD/ECMT のレポートに Aging and Transport と題して131 ぺージの論文が発表されている。その中の Chapter3, Safety of Older Road Users にヨーロッパにおける高齢者運転の研究の歴史を概観している。その内容を以下のように研究の段階に分けて整理してみると。
第一段階 高齢者運転問題の科学的または社会問題の最初の段階の研究は1960年後半から1970前半で、当時は加齢による運転欠陥に注目することにあり、一般の理解は老齢者の運転は危険であるとの見方であった。道路システムの構造は運転者の管理のためのもので、事故を防止するものではなかった。その結果、危険とされた高齢者の運転を禁止することによる安全処置が提案されていた。
第二段階 80年代および90年代の研究は、高齢者の事故原因の正しい理解を得るために、疫学的な分析が主流となり、この結果は重大事故の高齢者の関与が過剰見積もりであったことを示した。 むしろ、高齢層は衝突の頻度の少ない安全運転層と位置づけられた。
第三段階 「高齢運転者」の社会的な常識は再考され、焦点は安全な交通方法に移った。 運転者よりもむしろ、予防手段として、道路および輸送システム、特に道路設計の安全構造の提案に重点が置かれるようになった。
第四段階 老齢学の研究では、老齢の影響は、画一的な年齢との関係より個人差が大きいことが繰り返し得られた。臨床経験では安全危惧に関する主要な原因として、年齢区分よりもむしろ、高齢者の医学的な区分、アルツハイマーのタイプの痴呆、特に痴呆に罹っている高齢者は最も重要で危険度が高い小群として識別され、90年代の研究テーマは危険度が高いこれらの小群に焦点を合わせることに集中した。
このように、欧米では、科学的に検証されたどのような統計データでも、高齢者の運転は危険では無いことが証明され、むしろ若年層の交通指導研究が言われ始めている。
この論文の40ページ以降に Older road users’ crash trend の見出しで交通事故死傷者の様々な要因での統計データが載せられている。ヨーロッパばかりでなくOECD加盟国であるアメリカのデータも含まれているが日本のデータは見当たない。加盟国リストに日本も載っているがデータの報告はしていないのだろうか。
日本の現状は上記の段階のどこに当たるだろうか? 今年の交通安全週間で恒例の「高齢者事故激増」というキャンペーンが見られなかったことから、やっと第一段階が終わったところではないだろうか。
Aging and Transport Mobility Needs and Safety Issues 全131ページ