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エアコン故障時の健康モニター例 私の場合

2018/08/30

 

昨日今日、入院中の高齢患者が熱中症の疑いで死亡のニュース。どのテレビ局や新聞でいっせいににぎわっている。

しかし、総合的な医療環境から取り上げているものは見かけられない。誰の責任かの悪人探し、興味本位の記事でしかない。

医療行為は、診察・投薬・検査、あるいは生活指導だけではない、生活圏の温度・湿度・騒音等の環境管理も含め総合的であるはず。まして入院患者の場合病棟の室内環境を整えることも医療行為の一環であるはず。

発汗作用の少ない高齢者に体温と変わらない風を扇風機で送っても冷却効果がないことは理科を習った中学生でもわかること。病院長のとぼけた言い訳、病室の扇風機の数だけを問題にするメディアの科学知識の欠如。なんと不合理なことか?

言葉選びだけの情報が通用するメディア社会。事実の検証が行われない社会。今回の事件に対しても、病室の温度湿度や明るさ騒音など環境の自動監視記録があって当然、それを指摘するメディアは今のとろ見られない。

理由はどうであれ、公共施設や商業施設で1週間以上もエアコンが故障して酷暑の中で業務・営業が行われている事実のニュースを見たことがない。機械は故障する可能性がありその結果の損失を回避するための代替システム、あるいは緊急修理など最大限の努力がされているものと思われる。この病院ではエアコンの故障で病室の環境が苛酷になってもも、訴えたり自力避難のできない患者のため経営の損失にはならず、多額の費用までかけて緊急の修理や代替の設備を導入する意思はなかったと見るべきであろう。

以下に、私個人の例ではあるが、自宅のエアコンの故障時のデータ記録をまとめてみました。

下のグラフは、エアコンの運転状態を常時記録している中からエアコン故障時の前後の動作電力、外気温・室内温度を記録したもので、上から3段はエアコン三相電力電源電流記録。温度記録は下から3段で、上から外気温、室内温度、エアコン室内機吸気温度である。

電源記録からエアコンは7月31日14時30分に不調になり(細かい断続とその魏の切断状態)翌8月1日5時30分頃に回復したことがわかる。その結果室内温度が28℃を超えていた時間は13時間ほど、その間22時30分には30℃を超えた。エアコンが回復し室温が28℃を下回ったのは翌6時ごろ。室内温度は温度センサーを黒色断熱材でくるんだ放射環境の温度である。

下の画像はこの日を含む前後1週間の脈拍記録から推定した健康状態推定値で特に故障の夜は睡眠時間は2時間にも満たないと記録されている。(エプソン・パルセンス500)。

 

下のグラフはABPM(24時間血圧モニター)の脈拍数(分)で安静時には起こらない脈拍数毎分80以上が早朝5時ごろまで続いている。(グラフタイトルの訂正2018/7/31-8/1)

個人の記録ではあるが、これは温度環境が健康状態に与えた影響の実例である。

私の家では、室温センサーに低温18℃以下および高温28℃以上になった場合警報が鳴るようにしている。今年は気象条件が激しく、1月にはエアコン能力不足で就寝中低温警報音に起こされたことがある。

電子的情報記録の大量保存が容易になった現在、病室の温度記録もないことを法規の規制がないからというだろうが、病院経営が利潤追及にならないために最高責任者として病院長に医師の資格を求めているはず。医師としての知性がないと言わざるを得ない。このような院長、医師のいる実状をみると、法律による病室の認可管理規制が必要であろう。

 

「安全な自動車交通を達成した日本社会 OECDの世界のデータベースから」 

2018/08/25

人口10万人当たりの自動車乗車中の死亡事故は世界一少ない安全性を達成した日本。

下の引用グラフ画像で見るように、日本の登録自動車台数当たりの交通事故死者数も世界の中で最も少ない西ヨーロッパ諸国と変わりない。

しかし、自動車数-走行距離当たりの事故死者数は、少ないとは言えない。この指数は道路の安全を評価する指標と見ることもでき、値が大きい程危険な道路環境といえる。

下のグラフは、高齢者の歩行+自転車と自動車+自動2輪とを比べたもので、日本は歩行者+自転車事故死分担率が70%以上、自動車事故死の分担率が少ないグループに位置することが分かる。この最も大きい理由を、歩行者の高齢死亡分担率が高い国々を見ると、高齢者の自動車利用が少ないことが最大の原因のように見られる。高齢運転者の多い自動車交通先進国のグループでは自動車死亡分担率の方が大きい、これは高齢運転者に比べ歩行者が少ないからとみるべきであろう。この理由を的確に検証できるデータベースを探しているが見つからないのでここでは憶測に近い結論ではある。

西ヨーロッパ諸国を運転した経験から、日本の交通事故を減らすのは、道路際の煩わしく雑然とした商業広告を規制し、安全運転に必要な標識を見落とすことの無いように環境を整えている西ヨーロッパの道路規制を導入すべきである。

更に、具体的で合理的な道路安全標識、道路構造の安全化と道路安全管理の責任体制を明確化することであろう。

 

 

交通事故の死者数対死傷者数比の国際比較

2018/08/24

日本は欧米諸国に比べ自動車の走行制限速度の設定が遅く、そのため死亡事故が少ないが人身事故全体は多いのではないかとの指摘がある。そこで、下記のデーターベースから事故死者数に対する死傷事故の全体数との割合を調べてみた。このデータは歩行者など交通事故全体のである。

OECDの 世界の多数のデータベースからデータを検索し抽出することができる入口

https://stats.oecd.org/index.aspx

このデータベースは各種の表をcsv形式でダウンロード出来、Excelファイルに変換して各種統計処理に利用できるよう配慮されたものである。もちろん無料です。

道路交通項目の中から、事故による死傷者数と死者数の表から死亡者数/死傷者数の割合(%)を算出し比べてみました。

下のグラフは、その結果を,主な自動車交通先進国を選んで描いたものです。

これで見ると日本は死亡事故率は一番少ない、死者数に比べ傷害事故数が多いことは確かだが、これが車の実勢走行速度が遅いことだけに原因するとは思えない。一般道路での運転速度の速い西ヨーロッパ諸国と比べてそれほど変わらない。ドイツ、イギリス、オーストリアと比べてその違いは0.3%程度である。これらの国に比べ日本は歩行者が多いにもかかわらずである。注:最初の投稿のグラフはデータのとり方を間違えていたので訂正しました*。

グラフ中,暗赤色のバーは私の運転経験のある国々である。この様子は私の実感とあまり変わらない。

日本は、一般道路での高齢者の歩行や自転車が多く、これらはヨーロッパではまり見られない情景で、この人たちの死亡事故を減らすには制限速度を30km/h以下に設定しなければ効果が現れない研究データがあり**、日本の現状の市街地の制限速度(40~50km/h)では歩行者の事故死亡率を下げる唯一の条件ではないように見られる。いずれにしても交通事故はいろいろな条件が重なった結果で起こるもので、科学的データの集積による多変量解析の結果を踏まえた対策でなければ効果を生まない。

見方を変えれば、日本の運転者は成熟した穏やかな良識の持ち主であり、日本の運転者の運転マナーが悪いという警察庁や地方公安委員会により宣伝された根拠の無い常識?は当たらないともいえる。

* ゆずれ標識は譲れない・・・さんのご指摘により訂正しました twitter.com/raelian_masa

** The estimates in Figure 2.1 are corroborated by other research indicating (Rosen et al 2009, Kröyer et al., 2014) that the death risk is about 4-5 times higher in collisions between a car and a pedestrian at 50 km/h compared to the same type of collisions at 30 km/h. Considering this, there is a strong recommendation to reduce speed in urban areas. More than 50 km/h is not acceptable in situations where motorised vehicles and vulnerable road users have to mix and share the same space. In those cases, e.g. in residential areas, a limit of 30 km/h is to be preferred.

クリックしてspeed-crash-risk.pdfにアクセス

異常に大きい日本の高齢歩行者の交通事故死亡率 世界の道路交通安全データベースより 

2018/08/18

OECD加盟国の道路交通安全データベース2018が公表された。

特記すべき事実は、日本の乗用車死亡事故率は世界第一の安全率を示していることである(右画像)。半面、歩行者交通事故死率については、日本は乗用車事故死亡率と同等かそれより大きいが世界の自動車交通先進国では乗用車事故死亡率の方が明らかに大きい。これも特異な状況にあると言える。この原因の究明と改善が緊急課題と言っても言い過ぎではないであろう。これを、世界一死亡事故率の少ない日本の安全率を達成した(優秀な)運転者のせいにするのは無責任であり、交通事故防止に役立たない。下線部分はコメントのご指摘により変更しました。

警察庁は日本の乗用車死亡事故の少ない事実を公表したくないようだが、もしこれを取り上げれば、運転免許条件の厳しさのせいだというだろう。しかし、歩行や自転車の事故死亡者の大部分は車との衝突である。この事実と合わせて総合判断をすれば、日本だけが多い歩行者死亡事故は道路や信号施設の不適切な管理による人間工学的な不可抗力事故と見られる場合が多いとみてよいだろう。

下図は交通形態別事故死者率(10万人当たり)を描いたもので、日本だけが乗用車事故死亡率に比べ歩行者事故死率多いのが目立つ。他の3か国はすべて乗用車の事故死亡率のほうがが大きい。

下図は高齢層(>65歳)と中年層(25-64歳)および高齢化率を描いたもので、ここでも日本だけが高齢者の事故死者率が中年層の2倍以上に終始している。他の3か国位は2000年以降両者は殆ど同率である。

日本の道路交通事故の総死亡率を悪くしているのは、高齢者に多い歩行者が危険な状況に置かれているからである。

以上の事実を交通管理機関でありデーターベースの収集機関である警察庁は無視し公表したがらないのはなぜだろう。なぜなら、このIRTADのデータは日本の警察庁が報告したデータベースを国際共通のフォーマットで整理したものであるからである。

上の分析で4か国を選んだ根拠は、日本と交通環境の似通ったイギリス、終生運転免許のフランス、ベルギーとで比較するためである。

運転免許制度については、イギリスでは高齢者は3年毎に運転に支障がある可能性の健康リストに自己判定のチェックを入れ、インターネットなどで申告する義務を課す制度である。日本以外のいずれの国も運転免許保持継続に経費はかからない。私の知る限り、運転免許継続に時間と経費ががかかるのは日本だけである。

日本の高齢者の交通事故死者率が高いのは、不当に高齢者の運転免許更新を難しくし、歩行や自転車交通の人口を増やしているからと見られるが、直接このことを分析できるデータベースが公表されていない。フランスでは、高齢者の運転免許条件を厳しくした結果、運転免許を放棄する人が増え、かえって総合道路交通事故を増加させる結果になったので終生免許に切り替えた実例がある。

高齢者に対する厳しい運転免許更新条件は、かえって交通事故死者を増やす ヨーロッパでのケーススタディー,https://spaceglow.blog/2011/01/19/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8E%B3%E3%81%97%E3%81%84%E9%81%8B%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1%E6%9B%B4%E6%96%B0%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%8B%E3%81%88/

歩行者事故が多いのは、道路安全インフラや信号管理当局の責任事項である。この改善無しにこれ以上の交通安全は実現できないだろう。これは道路施設の安全性に関係する指標として走行距離・車両台数を見ると日本は危険な国の部類になる。

ITF (2017), Road Safety Annual Report 2017, https://spaceglow.blog/2017/12/04/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%81%93%E8%B7%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%94%BF%E5%BA%9C%E6%A9%9F/

2011/01/19

IRTAD Road Safety Database  International Transport Forum.  2018

https://www.itf-oecd.org/irtad-road-safety-database

「お脈を計りましょう」外来診療現場からなくなった言葉 血圧測定中に分かることだが、計測値を記録されることは少ない 

2018/08/14

大迫研究にでは家庭血圧計測と同時に得られる心拍数の変動性と予後の関係が注目されていた。心拍が頻脈傾向を示すものは明らかに不良な予後が認められている。

最近ウェーアラブル健康ウォッチで簡単に心拍細動の警告を見ることができる。心因性の脳梗塞の原因として危険な突発性心房細動は稀に起こる現象で、診療中に見つかる確率は低い。下の画像は突発性心房細動の発生状況をエプソンのウォッチで記録したものである。突然発症し自然に停止する。急激な運動やストレスによる心拍上昇とは明らかに違う。しかし自覚症状は一般に軽微で気付かない人も多いという。

下のグラフはABPMで計測した(30分間隔)脈拍数で、上部バーコードは服用薬の経過を示す。ピンクの塗りつぶしは心房細動の記録範囲を示す。

脈拍数を表す点のバラツキは心拍の変動性を示す目安であり。大迫研究では変動が小さくなくなるに従い予後が不良となる。そしてこれらは血圧変動とは独立して認められ、臨床的価値の重視が提唱されている。変動の標準偏差などは以前のブログ記事に示した。

私の血圧 大迫研究に基づいた自由行動下血圧標準値と比べて

2018/08/13

1997年~2000年にかけて発表された日本の大規模研究、大迫研究に基づいた自由行動化血圧測定による高血圧基準値が作成された。

大迫研究の24時間自由行動下血圧(ABP)あるいは家庭血圧値(HBP)に基づきCoxモデルにより得られた基準値は、収縮期血圧/拡張期血として≧133/≧78 mmHg  となっている。「外来随時血圧、家庭血圧および24時間血圧の意義」Jams.med.or.jp/Symposium/full/118035.pdf

この研究の基となったデータは1900年代のもので、既にこの時点で薬効評価や血圧制御には家庭血圧や24時間自由時間血圧(ABP)の信頼性が最も高く、外来随時血圧は当てにならないことが分かっていた。また、2008年には自由行動下血圧モニター(ABPM)の使用が保険適用となっている。

下のグラフは私のABPMで得られた血圧・脈拍値平均にこの基準値を横線で記入したものである。

しかし20年以上たった今でも、2週間あるいは1か月毎の診療時に行われる診療室での血圧測定で診断され、複数の薬剤を継続処方されている場合が多いのではないだろうか?

少なくとも、ABPMを例えば週間単位で貸し出し、記録されたデータの統計処理による薬効評価をしたうえでの投薬が一般化しているとは思えない。

現状は、標準的な併用薬組み合わせが漫然と継続処方されていると思わざるを得ない。

 

 

 

多剤服用とその効果 高齢者に多い循環器・泌尿器管理で処方される併用薬

2018/08/12

下のグラフは、上部のバーに服用中の薬剤の継時経過を示したもので、下部の点グラフは脈拍数を表す。ピンクの部分は突発性心房細動時の脈拍数(心電図で心房細動であることの確認)を示す。

医師によるとこの薬種は極標準的な循環器・泌尿器に処方する服用薬と言われたことがある。

下のグラフを見る限り、ブロプレスの服用を中止後(この時点までブロプレスは10年余り継続服用)心房細動は見られなくなった。7月30日に見られる脈拍数上昇は、エアコン故障による高温と不眠のストレスのためで、心電図では心拍数は大きいもののリズムの乱れは見られない。

ブロプレス(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)単体ではどちらかといえば心房細動の発生を予防する可能性が高いようで、添付資料による細動の副作用としては0.1%以下としている。上記の私の場合では多剤との複合による副作用と見られないだろうか?

下のグラフは、左端がブロプレスを服用中の血圧・脈拍数の平均値と標準偏差(エラーバー)、右4例はブロプレス中止後の場合で、各種Ca拮抗剤の組み合わせの違いによるそれぞれの平均値と、変動の標準偏差を示したものである。

これを見る限りブロプレスの効果は表れていない。Ca++,Ca拮抗剤の多剤服用が収縮期血圧の降下には有効で(左から2番目)、新しいアメリカのガイドラインでは正常の範囲を達成しているようだ。

しかし、できるだけ多剤併用を避ける立場で見ると、右側の2例、ワソランとアムロジピンあるいはベニジピンでは変わりなく、また日本の高血圧ガイドラインの閾値もクリアーしている。

なお、上記のデータでは季節変動を考慮していないので、ブロプレスを含む併用薬に変更のない2017年の季節変化を下のグラフに示す。

12月と8月に幾分平均血圧の上昇がみられるものの、収縮期血圧120~130mmHg、脈拍は冬や夏季にわずかの上昇は見られるものの、上記の判断に影響を与えるほどの変化ではない。

私の自宅は、年間昼夜を問わず24℃±2℃でコントロールしており、過酷な季節の野外での活動は出来るだけ避けるようにしている結果ではある。

 

医学部進学資格のための統一テストを実施し、その合格者の中から 各大学の責任を明らかにしたうえでの大学独自の選考方法があっても良いのでは

2018/08/09

今回の東京医科大学事件の大学側の言い訳は、医学教育には多くの教育労力と社会資金がつぎ込まれている。卒業後医師として社会に還元する可能性を考慮して減点係数を決めたといいたいのだろうが、こんな高校生レベルの言い訳しかできない大学幹部の社会認識に疑問を感ずるのは私だろうか?

医学部や法学部、教育学部に進学する資格として、4年制大学学部卒業後それぞれの専門職ととなるべき資質を問う全国統一テストを行こなう。この段階で教育に必要な能力や基礎学力をスクリーニングする。

各大学はその合格者の中から、大学独自の選考方法で入学者を決める。その段階で例えば教育投資に見合った社会貢献の可能性に関する個人評価(例えば、親が卒業生で長年大学に寄付を続けている子弟であり医師になる使命感が強い等)を重視する大学があっても良いのでは。入学選考はあくまでも受験者個人の評価でありこれは差別にあたらない。それには、公表された方式と、選考担当者の責任を明確にして行わなければならないことは言うまでもない。

受験生の性別や年齢、親の職業・資金力、同窓生の子弟などの違いだけで一律に評価の係数を決めるのは憲法に違反する差別であろう。

東京医大に端を発して露になった日本の医学教育の後進性  

2018/08/08

アメリカの大学で物理学の研究者として研究と大学院の学生の研究指導していた時、教授のお嬢さんがハーバード大学入学選考に合格した時期に居合わせ、具体的に入学選考方法の進展に伴ってその都度話を聞いた、日本のように1回の入学試験の点数だけで選考するわけではなく、多様な評価選考手順で総合評価される。学部を卒業後、優秀な彼女は同大学のメディカルスクールに進学した。

アメリカの医学教育は日本とは大変に異なっており、高校(ハイスクール)を卒業した後、カレッジ(4年制学部大学)に進学する。4年制大学で主専攻の他に、物理学・化学・生物学を履修する(あるいは理系の学部卒)。もしくは医学進学課程Pre-medical Courseに進んで前述の科目を強化したプログラムを履修する。

アメリカの医学生は、大学学部ではいろいろな職業に就く多くの学生と一緒に4年間教育を受け、学部レベルの専門領域の基礎学力を得たうえで医学部に進もうとする意志を決めた者たちである。そこで初めて医科大学進学のための共通試験で資格を得、医科大学(メディカルスクール)に進学する。アメリカの学生には医師になろうとする自覚が生まれてからの密度の高いカリキュラムにも耐えて勉学に集中しなければならない。また評価の高い大学の医学部では、高額の学資を親に頼るのではなく、奨学金を獲得したり、銀行からの融資が可能であり。質の高い医師、医学者になろうとする責任と気構えが既にある。

日本でも、以前は医学部進学学生も大学の最初の2年間は教養部制度で理科系の基礎教育が必須であった。教養部終了時点で医学部進学試験を課す大学もあった。この規制が外れ現在は6年一貫教育として、一般的な理学教育が軽視される傾向が強くなった。

日本の医学教育の欠陥は、親に資力があり18歳時点で”お勉強がよくできただけで勧められ医学部に進む”あるいは親が開業医で後を継ぐために医学部進学予備校で必死に入試勉強した若者の多くが受験、大学独自に行われる入学試験で1点でも得点が高い方が合格するのが公平とされる制度にあると思われる。これが東京医大事件の様な、点数操作による女性差別や年齢差別事件を生んだのではなかろうか。

日本では、医師国家試験に合格すれば医師の学位は得られドクターと呼ばれるが博士の学位ではない。医学博士は医師でなくても医学の研究業績を認められれば得られる。たとえノーベル賞の候補になるほどの医学博士でも医療行為はできない。医師の職業資格である。

このため、アメリカでは大学などでは研究者としての評価を受ける教授は一般にM.D.の他にPh.Dを取得している人が多い。

≪M.D.(Docter of Medicine)とD.O.(Docter of Osteopathy)≫

Ph.D. 法学、医学、教育学を除き文系理系を問わず大学の最高学位

医薬品の市販後安全性報告の極端に少ない日本

2018/08/07

下のグラフはある製薬会社が、市販後の血液抗凝固薬について、血栓原不明の脳梗塞症を対象に安全情報として独立行政法人医薬品医療機器総合機構に報告した未知重篤の副作用症例報告リストの国別報告数を描いたものである。

驚くことに日本はこの700例余りの報告の中でたった1例しか報告していない。下のリストは報告例の一部である。

この薬剤の報告された症例のほとんどは高齢者であり、日本は世界で超高齢者国、この種の薬剤の処方数は世界的に見て多いはずである。ここに示したのはほんの一例であるが、各種薬剤の治験資料でもほぼ同様である。

その理由を医師に聞くと、日本では医師の診療負担が重く、症例報告を書く余裕がないとのこと。

しかし、これほど極端で異常な現状を厚生労働省医薬局が放置しているのは不思議でならない。

日本では、新薬の認可が先進国に比べ多くの場合数年遅れていることに関連して、その理由が認可に必要な治験の報告数が集まらないと聞いたことがある。

とても医療先進国とは言えない状況はどうしてだろう。