コンテンツへスキップ

福島県20km圏外の高線量地域の空間線量率減衰特性

2011/08/19

先のブログに書いたように、毎日更新されていた空間線量率の観測ポストのデータが報告されなくなった。

報告された全期間の高線量域の代表的データについて要約をしてみた。

福島県高線量域の減衰グラフ全期間B

下のグラフは、減衰率がほぼ定常化したと見られる上のグラフの青領域について減衰率を求めたものである。

強汚染域の減衰率Jul

この観測期間では、日々の観測変動に比べ4地点とも放射線量の減衰率は小さく、減衰率の統計学的な差異は認められないと判断される。

特に、飯館村長泥では計算値は増加の傾向になっている。上の全期間グラフで見ても、長泥の曲線は5月初めより増加傾向が見られ、他の3地点と違う様にも見られる。

このデータだけでの分析では結論は出せないが、長泥の地形が関係していることも考えられる。これからの各地の放射線率の変化は、放射線核種の放射能減衰特性によるものでなく、核種の移動によるものと考えられ、長泥の場合、核種を含む土壌の流入による線量の増加の可能性は無いだろうか。この地域はグーグルマップの地形写真で見ると急斜面の谷底ようにも見受けられ、山の斜面からの土砂の流入とによる濃縮の可能性はどうだろう。

この地域の山の斜面の森林の様子は知らないが、冬季落葉したり枯れた草の葉が腐敗し、そこを流れる混濁した水が川に流れ込む場合を想定すると、来年以降長期にわたって、場所によっては放射能汚染が増加する地点があっても不思議ではない様に思う。

いずれにしても、長期間の観測の継続が必要である。

何の説明もなく突然更新されなくなった放射線量モニタリングデータベース

2011/08/19

<Monitoring, etc. around Fukushima NPP> この項目でリストされ、毎日発表されてきたいくつかのデータベースが8月7日を最後に今日まで見られないので中止したようだ。

MEXT : (English version) Readings at Monitoring Post out of 20 Km Zone of Fukushima Dai-ichi NPP

私が探した範囲では、これらのデータベースの公表が中止された事実を含め、その理由についても何の説明もみつからない。

個人のブログならいざ知らず、文科省の公式ウェブ、こんな勝手なウェブサイトで良いのだろうか?

何のために作っているウェブサイトか? 理解できないがどうだろう。

SPEEDIの内部被ばく臓器等価線量 ”知らされていなかったのか?隠したかったのか?” 菅政権の疑問

2011/08/18

内閣府プレス発表を以下のウェブで見ることができる。
平成23年3月23日
原子力安全委員会
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について

http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf

SPEEDI画像

このような発表をしながら、菅政権は被害対象者に知らせなかったのには疑問を感じる、また新聞・テレビなどのマスメディアもどんな理由で無視したのであろうか?。

確かに、3月12日6時から23日24時までのこの積算推定値は大きく、政権はこれを真に受けて即座に対策を行うだけの能力を超えている、手の打ち様のない規模でありパニック的な混乱を避けるために隠したと云う言い訳があるかもしれない。またその理由として、この試算は信頼の補償がない、「いたずらに混乱を招く」 という一見合理的で、行政として免責が可能な理由と判断したのかも知れない。

私の検索では、SPEEDIの定量的なデータとしてはこの発表が最後で、以後の文科省のSPEEDI発表データは、放出核種の情報を抹消し(同一単位とした)一種の気象情報に限ったものであり、被曝量の推定には無意味なものである。

新聞によると、8月17日に初めて、被ばくから5カ月たっていわき市で子供に対する被曝量を発表したとある。説明では「すぐに医療処置が必要ではない」とのことであるが、行政として対策の必要が無くなるのを待ってからの発表と云えよう。

何度も私のこのブログで書いている様に、公式データが無くても、不正確であっても、放射線被曝と云う物理的事実が無くなるわけではない。為政者や官僚は、自然科学の知識が無いことを理由に、未成年者の犯罪のように免責になるとでも思っているのだろうかと疑いたくなる。

インターネットウェブの特徴は、一旦公表したものは事実上無かったことに出来ないことである。たとえば、この内閣府のリリースを政府のサーバーから抹消しても、私を含め、無数の人のマイコンやウェブ上に生きていることである。

我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破滅しかねないであろう。

2011/08/16

敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ

敵は新たに残虐な爆弾を使用して、しきりに無実の人々までをも殺傷しており、惨澹たる被害がどこまで及ぶのか全く予測できないまでに至った。
 なのにまだ戦争を継続するならば、ついには我が民族の滅亡を招くだけでなく、ひいては人類の文明をも破滅しかねないであろう。

終戦の詔勅(玉音放送)口語訳

誰も知らない「玉音放送」、名古屋テレビの取材レポートで初めて知った”放送”までの経過。昭和天皇に正確な情報を提供し、天皇が敗戦の決断に至る過程、そして、当時の情勢では、日本国民に混乱なく敗戦を受け入れるよう説得するには天皇以外になく、そのためのラジオ放送原稿の作成過程は特に感銘を受けた。

注意深く準備され、日本国内の権力機構の動向と、国際情勢の正確な判断のもとに、幾人かの本当の意味での有識者の間で練られ編み出された文章、一触即発の状況にありながら、ごまかしがなく、また信じられないほどの格調高い内容であったことが分かった。

核兵器が初めて戦争に使われて数日を待たず、核兵器の反文明性について、普遍的な人類の文明論から説き進めている一節は驚くべき洞察であり、現在の全世界の指導者にほしい資質と云えよう。

追記: 仁科芳雄 博士(物理学者1890-1951)は広島原爆2日目、8月8日政府調査団として原子爆弾と確認した。

仁科芳雄 – Wikipedia

SPEEDI 欧米で評価され日本の政権で認知されなかった 日本の税金で作成した放射能予測システムの悲劇

2011/08/12

私がこのシステムの存在を知ったのは3月25日朝日新聞の記事からである。短いレポートであったが、そのシステムに期待した。

やっと公表された科学的根拠の分かる推定値 «

しかし菅政府はその存在すら知らなかったようだ。

SPEEDI、公開できませんっ!?|河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり

この自民党の有力政治家 河野太郎氏の問い合わせに対してのてんまつを公表した氏の公式サイトの記事を見て唖然とした。

SPEEDIは忘れられた役所のロッカーの中 «

SPEEDI この価値を理解できなかった政権の責任追及を、8月9日のニューヨークタイムスの記事の紹介としてでしか書く勇気のない朝日新聞。

日本の政権の巧妙で目に見えない報道規制の悪夢を見ているようだ。

放射能汚染された校庭の表土処理の不合理

2011/08/11

この写真はニューヨークタイムス8月9日のウエブニュースの扉写真である。

http://www.nytimes.com/2011/08/09/world/asia/09japan.html?_r=2&pagewanted=1

学校の運動場の表土を削り1か所に集めた状況を写したもので、日本の放射線核種処理の非科学的なお粗末な取り扱いを世界の有識者に知られてしまった恥ずべき映像と思う。

行政が、新聞等がニュースで報道する運動場地表高50cm、1mでの見掛け上の空間線量率を下げるためだけに行った処置で、この汚染土壌を、コンテナーなどに密閉することなく、学校の敷地内のわずか1~2メートル地下に埋めるまでの一時的な集積状況と説明されている。短絡的なこの行為は、今後何十年にも及ぶ放射線核種の広域拡散につながる恐れとなる処置と思わざるを得ない。1950年代のアメリカの放射線処理の失敗を60年遅れて追随することになる。

【肥田美佐子のNYリポート】米原発専門家に聞く「文科省の学校土壌処理は汚染拡大招く時代錯誤」 – WSJ日本版 – jp.WSJ.com 

核科学・医学の研究者・有識者は積極的に今までに知られている学術情報を要約して公開をすべきであり、日本のマスメデアが科学的な報道に躊躇し拒否している現状では、一般に知らせる手段が無いかもしれないが、正しい知識を社会に知らせる努力をする責任があろう。外国のメディアが取り上げたレポートのインタビューに答えるだけでは不十分である。

放射線被ばくから避難が遅れた日本の地域 SPEEDIの知見が無かった管政権の責任

2011/08/11

9日のニューヨークタイムスのウェブ記事。

http://www.nytimes.com/2011/08/09/world/asia/09japan.html?pagewanted=1&_r=1

日本政府が1980年代に計画開発したSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測:朝日新聞による)システムが稼働していたが、管政権の関係者の理解能力が無かったため、このシステムによる予測の公表を怠り、一部の高汚染地域では避難勧告が2か月も遅れ、すでに危険な量の被曝をしている可能性があることを指摘している。

このレポートは、全4ページにおよび、日本の官僚の責任回避文化、政府行政・立法機関の政策決定者の科学的能力の欠如などの背景を紹介しながら、災害初期の段階で、放射能被害からの避難規模が政府の能力の限界を超えるのを(コストや避難地の確保等の困難)恐れ、ある程度全容がわかるまでデータを曖昧にし、リスクを小さく見積もりたい政府の思惑がありありと見えた。

あるいは、証拠を隠せば、行政への避難や批判を避けられるとの意図か?、言い訳のための時間稼ぎとしてデータの公開を遅らせたのだろうか。

浪江町市長の、時期を失せずSPEEDIのデータを公表してくれていれば、自分たちで対策を立てられたのにその情報を知らされていなかったとの取材記事も載せられていた。

このレポートは、馬場浪江市長を始め、何人かの日本人の実名入りのインタビュー記事で議論内容の検証可能性を計っている。

このレポートの内容自体は、私のような、インターネットでしか情報の入手できないものでも、状況的に疑っていたことであり、私のこのブログでも繰り返し指摘してきたことである。ニューヨークタイムスの取材でその根拠が補強されたと云うものであろう。

残念なのは、このようなレポートが日本のジャーナリストによる記事で見られないことであり、日本の知的水準の世界に対する発信能力の欠如として、国際社会での信用を落とす結果となることをこの国の指導者は理解してほしい。

いまさらながらの航空機による放射線量測定計画

2011/08/03

このブログで何回も指摘しているように、アメリカ国家安全保障局は文科省との協調作業として日本で合法的に3月22日には航空機による観測をもとに、科学的分析による地上での空間放射線率に換算したマップを公表している。その時すでに、福島第一原発から北西方向(飯館村を始め福島まで)異常に放射線率が高いことが分かっていたが、日本政府、マスメディアは知らないこととして放置し、半径30km以内だけに固執し、報道機関まで立ち入りを規制し、情報の真空地帯とした、NHKまでが第一原発から30km以上離れた地点から超望遠の映像の事故状況だけを放映し、原発の近くの映像取材を放棄して(報道各機関の談合による自主規制かもしれないが)一切放映していなかった。最近起こった中国の高速鉄道の事故現場の映像よりひどい、徹底した規制ぶりであった。

福島第一原発事故以、来現場は無人であったわけではなく、東電職員、下請け作業員、関係会社の技術職員など多くの人が事故拡大防止に働いた人がいて、何人かは職務上の義務ではなく、技術的守秘義務とも無関係な立場で映像を撮っている人がいたと思うのが自然である。今回はそれらの映像の一部でもインターネットに出ていたと云う話は聞かない、また、それらの人々に接触したメディアの取材ニュースもない。尖閣列島のユーチューブ以後、目に見えない報道規制が働いているのではと思うと恐ろしい気がする。

これも何度も書いたが、日本の官僚機構は証拠となるデータがなければ責任を負わなくてもよいと云うことか(不文律?)、困難な対策を迫られる恐れのある時点ではデータを収集しないか、不正確として破棄してしまう。ほぼ安定し対策が可能になったとの見通しがたってからデータの収集を始め、慎重にやっていましたと云う言い訳に利用したい意図が見える。このことは、管さんは一番良く分かっているはずだが?

「なにもしなかった」こと自体を犯罪行為として追及する文化にすべきであろう。何もしないで時間を失し「慎重に」と云う言い訳は災害時には通用しないことは明らかである。

根拠となる論文やデータを引用しない言葉だけの議論 これが”やらせ”を生む原因であろう

2011/07/31

東京電力災害に関連した”やらせ”問題。論理でなく賛否の数に頼る解決方法の間違い。

政府、官僚組織、電力会社などの公益事業、マスメディアなどが公表してきた、検証可能で倫理的根拠を示さない(示せない)、単なる曖昧な”お知らせ情報”が社会での信用をなくした証拠と見るべきだろう。

言葉選びの議論、言葉尻をとらえた攻撃、こんなのは議論でなく”喧嘩”である、こんな大災害にあっても不毛な時間の無駄遣いと云うことが分からないのだろうか。

日本の教育で欠けているのは、議論をする訓練であろう。社会の指導者の資質として、学校教育で論理的な議論の訓練を必須科目とし、その単位取得を資格の前提とすべきであろう。

40年前とは違い、現在の日本では、何でもかでも反対することを職業とする団体は力を無くし、議論ができる環境になったと思うがどうだろう。

物事を決める段取りは、過去に知られている事実をもれなく調べ上げ、2度と同じ過ちに陥らないことである

2011/07/29

科学的な訓練や経験もなく、ただ組織内の権力競争の力学で勝っただけのトップ管理職の論理的根拠のない独断が許される社会構造。今回の東京電力の原発災害対策の多くの場面で見せつけられてきたもう一つの組織災害。

学校の運動場表土の切削と集積土壌の隠ぺい処理に見る幼稚な発想。

【肥田美佐子のNYリポート】米原発専門家に聞く「文科省の学校土壌処理は汚染拡大招く時代錯誤」 – WSJ日本版 – jp.WSJ.com

権力と法規だけに守られている官僚。実績のある専門家の意見を聞いたり、それを理解する資質のない人物には、このような記事は「日本人の自虐的習癖」にしか見えないのだろう。