もしも 福島原発と同規模の原発事故が若狭湾原発群で起こったら
東京電力福島原発と同規模の事故が、若狭湾沿岸の原発群で冬季起こったら、放射能物質の拡散は!
冬の季節風の強い時を想定すると、伊勢湾工業地帯は赤色、太平洋ベルト地帯は東京を通り越し茨木まで黄色。
これは3月25日 0:00UTC、ヨウ素131の地表高度での大気の拡散データを例に、発生地を若狭湾に移動させて重ねてみた仮想画像である。右側のパターンはFLEXPARTの計算値。
仮想とは言え、一目瞭然、日本崩壊につながる恐ろしい情景である。政府・産業界からは「いたずらに」危機感をあおると非難されると思うが、でっちあげではなく考えられる一例の表現である。
菅政権とその閣僚たち、このシュミレーションを知って知らずか、放射性汚染を適格に予測する日本のシステム SPEEDI の存在を知り、あわてて公表禁止にした理由が分かる。
日本のマスメディアも、”触らぬ神にたたりなし”と報道協定という談合により、内外の情報収集の能力がありながらジャーナリズム精神を放棄した。
朝日新聞など、今やっと、しかし、核心をそらしてエピソード風の取材記事特集でジャーナリズムの恰好をつけようとしている。
政府は、今回の災害状況を認識していないがごとく、地元の狭い行政権権者に札束でほっぺたをたたき、現実離れをした法律を根拠に、定期検査後の原発の再起動をもくろんでいる。今度の事故でこれが如何に不合理なことであるかが分かるはずである。
原子力発電政策は、科学的根拠の分かる情報を開示し(日本政府の権力の及ぼさない外国の研究者にも利用できるデータベース)、原発事故が起こる確率の数値評価や、将来何百年もの間管理が必要な廃炉処理にかかる経費予測など、多元的な情報の自由な開示を許したうえで「国民投票に掛ける」べきであろう。
現在の言葉選びだけの曖昧な説明で、感情が主導する国民投票には弊害が多いと思うので反対である。
利用した画像の一例: Iodine-131 Japan – radiation | FLEXPART: dispersion model
東京電力福島原子力発電所が放出した北半球放射性汚染について大気中輸送のシュミレーション画像をドイツの研究所からインターネット・ウエブに公表されている
Rhenish Institute for Environmental Research at the University of Cologne
Rhenish Institute for Environmental Research – EURAD-Project
3月15日UTC より 5月3日までの期間大気中のCs-137の輸送シュミレーションの動画画像である。私の知る限り、公表されたデータとしては、3月15日は最も早期からの解析だと思う。
上記の他に、日本付近についてのシュミレーション動画は、Wether Onlin (イギリス)のウェブサイトから見ることができる。
Iodine-131 Japan – radiation | FLEXPART: dispersion model 3月22日より
Weather Japan | Cloud spread Fukushima I power plant radiation 3月27日より
何れのシュミレーション動画を見ても日本にとって最も幸運であったのは、原発事故後の大部分の期間、北風から西風が優勢で、殆どの放射線汚染物質が太平洋に流れたことである。
ただし、日本付近に限ると、これらヨーロッパ諸国のシュミレーション開始日は3月22、27日からであり、最も重要な初期の期間3月11日から21日までの情報が抜けている。
日本の SPEEDI による解析結果がが公表されていればこの空白期間が埋めれれる可能性があるが、日本政府・菅政権により公開が禁止され、未だにそのままである。SPEEDIを使えばヨーロッパ各国のシュミレーションより勝るとも劣らない結果を公表することができるはずである。これは日本の国際的義務であろう。
上記の動画を見ていただくとわかるように、今回の災害は冬季の季節風が優勢で、幸いにも大部分の高濃度放射能汚染物質は太平洋上空に流れ、日本の陸上に流れた期間はほんのわずかであったと考えられることである。
もし、日本海側の原子力発電所で冬季、同規模の事故が起こったらと考えると少なく見積もっても日本の半分の地域(人口の70%以上)が避難区域になることは容易に想像できる。また、福島であっても、太平洋高気圧の優勢な夏期であれば、東北、北海道の大部分は避難区域になろう。
日本にこのような公式ウェブサイトが無いのは、この壊滅的な災害の可能性を国民に知らせたくない政府、産業界、大手のマスメディアの思惑が感じられる。
今回の災害を見れば、原子力発電所付近の市町村あるいは県の了解があれば稼働できる法律が如何に現実離れのものであるかわかるはずなのに、やらせまでをして地域住民の了解を得、国は合法だからと認可する、無責さにはあきれる。
政府も、地域住民対策ではなく、日本の半分ぐらいが災害を受ける可能性は架空のものではない科学的事実を知らせ、その上で原発を続行するかどうかを正直に問うことが必要である。
過去の東京電力の広報が如何に身勝手な、信用できないものであったかの証拠が数々あるにもかかわらず、今回の発表をそのままニュースにする報道各社、ジャーナリズム精神はどこに。
東京電力は、本当に「自然分裂」であると主張したければ、根拠とした全ての測定値と、結論を導いた根拠となる重要論文を参照して論理的に考察した経過を全文 pdfファイル などで公表し、内外の研究者・技術者に検証可能な情報を公表すべきである。それで初めて信用できるのが自然科学の常識である。
メディアも東京電力に証拠となる資料を要求し、現役の科学者に検証の依頼を求めるなどの取材をすべきである。
「東京電力の一方的お知らせ」
信用できる根拠がないにもかかわらず、政府も沈黙しているのは科学的無能力なのか? メディアも東京電力発表の印刷されたプレスリリーズ一枚のプリントを報道するだけの原因はどこにあるのだろうか? 理由は分からないが、日本の大手メディアは、本質的なところでは原子力発電災害には関わりたくないとの姿勢が見られるように思うがどうだろう。
Xenon-133 放出推定に用いられた北半球の観測ステーション
下の地図は、論文: http://www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/28319/2011/acpd-11-28319-2011.pdf
に用いられたXe-133の観測ステーションを北極(P)の方向から見たグーグルアース画像にマークしてみたものである。
2重丸印は東京電力福島原子力発電所の位置をを表す。ただし、放射性キセノンの発生源であるにもかかわらずデータの測定はされていない(公表していない)。マークA~Oまでは同論文Table 4. の観測ステーションリストの順に付加したものである。
災害発生の当事者でありながら、データが無いことは、如何に不自然であり、世界に対し無責任であったかが分かる。
この事実を指摘し、糾弾する報道メディアを見かけないのも不思議なことと感じる。福島原発災害の情報隠匿に共同して加担した日本のメディアは最も批判されるべき対象と思う様になった。
10月28日に書いたブログ: 地震直後に放射性キセノン・ガスXe-133の大量放出があった可能性大 10月20日公表のヨーロッパ学会誌 «
11月1日までのアクセス数はトータル16回、一日平均4-5回であったアクセス数が昨日だけで突然73回、今日7時現在、総表示回数80回をいただいている。
どうしてか、不思議に思い考えてみた。昨日、2日のテレビニュース、原子力保安院と東京電力が28日から福島原子炉でキセノン133の測定を始めたとの影響だろうと思い当たった。
上記論文が発表され、世界の科学者に高く評価されているイギリスの専門誌ネイチャーでもニュースに取り上げられ、隠しおおせないとの判断から、原子力保安院は急きょ発表することにしたのではないだろうか。
上記論文で分析の根拠にされた世界15か所の大気Xe-133の観測データに日本の測定値は無い。
科学技術立国を自負し、各種測定センサー技術も先端国である日本、また核科学・技術関係の科学者の水準からみても日本だけがXe-133の測定を原発事故から7カ月以上もしていなかったとは考えられない。
東京電力か政府系権力か分からないが、Xe-133の放出の発表を故意に隠していたとしか私には思えないがどうだろう。
半減期5日余りのXe-133、いまさら測定を始めても事故当時の原子炉の状況を知ることはできない。もちろん今でも核分裂反応が続いていることが分かったのは重要な情報ではある。
取り返しのつかない日本の社会組織の恥、報道の自由への疑問、政治・行政権力の暗部、大企業の不透明性、科学技術者の情報発信能力の欠如、ジャーナリズムの不勉強と談合体質、これらは世界に知られてしまった恥と認識すべきであろう。
10月25日付のネイチュアーニュース Fallout forensics hike radiation toll : Nature News
ネイチャーニュースでも参照していた。しかも 「Global data on Fukushima challenge Japanese estimates」の副題まで付けて。
今まで隠していたXe-133の放出データ、今日のニュースで東京電力がやっと数日前の測定値から発表を始めたようだ。東京電力のデータしか持ち合わせていない様な日本政府の発表、なぜ日本の研究者は独自の立場で公表をしないで沈黙していたのだろうか? 日本のメディアが取り合わないのかもしれないが。
日本の高級官僚や、東京電力幹部、東大の権威を背景に報告書で研究の糧を得ているメディア教授、欧米の一流学会誌の記事を見てどのように取り繕うかとあわてている様子がうかがえる。
いつになったら、納税者である日本人の云うことには耳を貸さず、欧米の権威に右往左往する日本の権力者層やメディアの性癖は無くなるのだろうか。
10月28日に書いた私の関連記事: 地震直後に放射性キセノン・ガスXe-133の大量放出があった可能性大 10月20日公表のヨーロッパ学会誌 «
Fallout forensics hike radiation toll : Nature News
Global data on Fukushima challenge Japanese estimates.
日本にはなぜ放射能災害状況を見られる総合データベースが無いのか?
憲法の報道出版の自由が保障されていると信じている我々の国、なぜ放射能災害の報道にメディアは関わろうとしないのだろう。
以下に示すイギリスのウェブサイトとを見るにつけ情けなくなる。
Wether online Co. UK , [Extra] > Fukushima : Weather Japan | Weather Maps | Precipitation
日本の天気予報の右側に、ヨーロッパ3カ国の大気研究所でシュミレーションされた福島原発から放出された放射性核種発散動画が収録されている。
また、日本各地の353測定地での3月13日から最近までの積算放射線量が表示されている。このデータソースはMEXT(文科省)データベースとなっているが、文科省のウェブ英文データベースにはこれほど詳しいデータは無く、またSPEEDIデータは放出線量を1としたものであが、このような文科省のデータベースにない解析が出来るのは、世界の研究機関には日本人に知らせない情報を送っているのであろうか疑いたくなる。
日本の大手報道メディアは世界に情報網を持っているはずなのに、このような情報を全く無視しているのには何が原因しているのであろうか。
Xenon-133 and caesium-137 releases into the atmosphere from the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant: determination of the source term, atmospheric dispersion, and deposition
http://www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/28319/2011/acpd-11-28319-2011.pdf
Atmospheric Chemistry and Physics Discussions, European Geosciences Union.
新事実と思われる結論。
キセノン-133(Xe-133)は、福島原発1-3号機が地震により非常停止した直後に放出された可能性を強く支持する証拠があると結論していることである。その総量は16.7(確率レンジ13.4-20.0)EBq: 10の18乗ベクレル、この量は過去に行われた核爆弾の実験と比較しても、世界の歴史上最大のものである。またこの量はチェルノブイリの2.5倍に相当する。
セシウム-137については総量35.8(23.3-50.1)PBq: 10の15乗ベクレル、日本政府が6月に発表した値の2倍以上と推定される。
注目すべきことは、この論文ではXe-133 が地震直後から放出されたと結論している。これが間違いであることを科学的に証明しない限り、東京電力が主張している、地震では原子炉のダメージが無かったとの発表が否定される証拠が出たことになる。
この論文はヨーロッパ及びアメリカの各種研究機関所属者9名の共著であり、pdfファイルで75ページに及ぶものである。記事の分類ではディスカションとなっているが、学会誌のレフェリーにより査読されており本格的論文と思う。参考文献は47編。用いたデータの観測地点は、Xe-133 が北半球の15地点(日本無し)、Cs-137 が25地点(日本6地点)である。
日本で一般に公表されていないと思われる事項に注目し要約を書いてみようと思うが、この論文を精読するには努力がいる。今日はこれまで。
御助力とコメントをいただければ幸いです。
素朴な疑問Ⅱ 最高裁「混合診療禁止は適法」
最高裁判所は ”法律運用の技術” 以上の基本的人権を守る高度な判断を求められているはずだが、素人目にはこの判決はそれが見られない様で残念だ。
以下<>は、最高裁、「混合診療禁止は適法」、患者の訴え棄却、 2011/10/25. m3.com を読んで提訴者の言い分を私なりに抜粋してみたものである。
<・・・・(健康保険法)が憲法に違反しているのではないか、保険受給権を奪われること自体が基本的人権を侵害しているのではないか、と私は訴えたが、最高裁は合憲と判断している。この点については理解できない。法規範を超えた社会規範がある。しかし、あまりにも社会規範に反する政策、制度になっている。最高裁は、基本的人権を侵害する行政から国民を守る最後の砦である違憲立法審査権を放棄したと言わざるを得ない。>
これは、保険外診療を併用すれば、保険受給権を奪われる、つまり保険診療適用分の診療費の給付も無くなり、全て治療費を自費で支払いなさいという法律である。
最高裁判決の根拠は「不可分一体論」「反対解釈論」を根拠としている様であるが、これは行政上の都合による法技術に根拠を置くもので、患者が医療を自分で選ぶ権利を実質的に「医療費」の制約で奪うこととなる、最高裁らしからぬ判決と云えないだろうか。
現実には、医療機関の工夫で混合診療が行われている事例がある。この判決で、現場の裁量権を奪い、患者の最後の望みも叶えなくなる。この弊害を考えての上での判決であろうか。
再度云おう、最高裁は単なる法技術の運用を超えた総合判断と社会的規範を求められている存在である。