論文紹介 特定な意図を持たない交通事故統計解説。「交通事故統計について」西田 泰 氏
権力拡大や予算獲得に都合の良いデータを際立たせプレスリリースする警察庁や地方自治体組織。メディアはニュース性のある特定な目立つ事件をあたかも普遍的であるように報道する。これらの特定の特徴を意図的に取り上げた情報により”交通事故の迷信”が作られている。
OECD 主催の国際道路交通事故フォーラムIRTADなどで活躍されている西田氏の解説論文を見たのでその一部を紹介してみよう。斜め青字はわたくしの意見。
そんぽ_予防時報2014vol259. 交通事故統計について。 西田 泰 公益財団法人交通事故総合分析センター研究部 特別研究員兼研究第一課長 http://www.sonpo.or.jp/archive/publish/bousai/jiho/pdf/no_259/yj25918.pdf
抜粋
死 者:交通事故によって発生から24時間以内に亡くなった人。24時間死者ということもある。 24時間死者に対して、諸外国では交通事故の発生から30日以内に亡くなった人(以下、30日死者)を統計対象とすることが多く、IRTAD が公表している交通事故死者数も30日死者を対象としたものである。このため、IRTAD が編集している我が国のデータも30日死者となっており、国内で公表されている数値とは異なっている。
人口の高齢化: 図10は、6か国の 65歳以上の高齢者の10万人当りの死者数(以下、死者率)の推移を示したものである。6か国とも死者率は減少傾向にあるが、高齢者人口が最も少ない韓国が最も高いレベルである。この理由には、他の5か国に比べ交通安全対策の実施レベルが低いことや、交通事故被害者に占める歩行者の割合が高いこと(2012年:日本47.1%、韓国51.4%)が考えられる。交通事故統計データは、人口や車両保有台数等のデータとともに利用することで、交通事故情勢の的確な把握に寄与する。
おわりに: 交通事故統計データは、他の統計データと組み合わせて分析することで、さらに多くの知見を与えてくれる。今回は、そのような観点から交通事故統計について筆者が感じてきたことを紹介した。
読後の感想
西田氏は公益法人の職員であり。この論解文は保険会社のものであることから、淡々と事実だけを書いておられるが、末尾に強調されている、交通事故に関して関連するすべての統計データを総合して分析しなければ正しく把握できない。とのご意見には全面的に賛成である。
日本の交通形態別の事故死者数の状況 高齢者では歩行が自動車運転より際立って危険
警察庁をはじめマスメディアまで、高齢者の自動車運転が大きな社会問題のような”迷信を”作り上げているが、以下に警察庁のデーターベースe-Stat の数値をそのままグラフにしてみた。
h25死亡事故のまとめ,p11.
65歳まではいずれの交通手段でも高齢層ほど事故死者数が増加しているが、歩行中の死者数は際立って多い。65歳を超える層では死者数は減少しているが、これは加齢に伴い外出が少なくなり、また健康な人口や運転免許保有者が減少するためである。
運転事故死者については、日本ではまだ高齢者の免許保持率が低いため高齢者層ほど自動車運転事故死者が少なくなっている。比較のため、高齢者免許保持率の高いイギリスの保有率を日本の場合に当てはめて算出した死者数をオレンジ色の曲線で記入した。80歳を超えた運転事故でも歩行事故死数より少ない。運転者の割合の増加に伴って歩行者が減少するので、歩行中の死者数が減少し結果として日本の交通全体の死亡事故が減少するとみられる。残念ながらこれを数値的に予測できる根拠とするデータがない。
いずれにしても、この事実を見れば、誰にでも、高齢者の運転をやめさせて歩行にすることは日本全体の交通事故死者が増加することが分かるであろう。
ブログ
http://spaceglow.at.webry.info/
「道路交通法改正についてパブリックコメントに投稿しました」 2月3日の記事についてと思われます。
コメントはいただいていませんが、開示いただいただけで感激でした。
交通事故における致死脆弱性の年齢比較
”高齢者の運転を締め出すことはかえって日本の交通事故死者を増やす結果となる”
交通死亡事故死者数の統計だけ見ると、高齢者の関与する事故件数が年齢とともに増加しているように見えるが、これは本当だろうか。
高齢者は事故で受けた衝撃に対する身体的虚弱性のため、事故件数に対して死亡確率が高いことが各種論文で知られている。
これを見るために、交通事故に対する脆弱性(事故死者数/死傷事故者数×100)を計算し、その値を年齢層30歳~39歳を基準にした指数で描いたグラフが下図である。
30歳以上のすべての年齢層で云えることは、自転車が最も危険な交通手段であり、続いて歩行、自動車が最も安全であることが分かる。65歳以上で見るとその開きは急激に増加する。
こんな日本の状況を無視し、警察庁は高齢者の運転をあたかも犯罪のようにキャンペーンをする真意が分からない。
高齢者を運転から追いやることで日本の交通死者は増加する。ヨーロッパでのケーススタディーではこの結果は証明済みである。
比較として、イギリスにおける2006年から2009年までの期間について下図に転載した。
The Licensing and safety of Older drivers in Britain.
日・英で年齢層区分や、交通手段区分の違いあるが、形状としては類似性が見られる。特に自動車乗車中に関しては日・英で殆ど差異は認められない。
顕著な違いは、日本では自転車・歩行者の指数が年齢の進行とともに極端に増大することである。
この原因は、運転者ではなく、総人口の25%にもなろうとする正当な高齢交通者に対する道路標識、信号システムなど安全管理者側の責任が重いことを示すものである。
非高齢運転者の皆さん”高齢歩行者や自転車と死亡事故に遭遇し犯罪者とされ、経済的補償を強いられるのはあなたたちですよ”他人事ではないことがこれでも分ります。
e-Stat 政府統計の窓口 統計表一覧
平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締まり状況について、他
The Licensing and safety of Older drivers in Britain.
投稿理由
私は、e-Statのデータベースから、欧米で行われている一般的な分析方に従って高齢者交通事故の分析をしてみました。
日本では、高齢者の交通事故は歩行が最も多く、それに比べ運転による事故は少ない。この試案では高齢者の運転事故死者数の年次増加率を認知症の理由にしていますが、高齢運転者の死者が目立つのは、高齢者の身体的脆弱さのために事故当たりの死者数が大きいのがその主原因です。高齢者の脆弱性を死傷事故数に対する死者数の割合を算出し、総年齢層を基準とした指数で見ると65歳以上で3.6倍、75歳以上で6倍にもなります(2013年)。この効果が高齢免許保有者の増加と相まって高齢死亡者数を増加させているのです。この効果を考慮して補正すると、高齢運転者は最も安全な運転者層となります。
これは奇異なことではなく、EU諸国の研究論文の結果も同様です。さらにイギリスの研究では、高齢運転者の歩行者に対する死亡事故はすべての年齢区分中最低となっています。残念ながら日本では歩行者に対する死亡事故の第一当事者の年齢別データベースは見うけられません。
なお、イギリスでは70歳以上は3年毎に免許更新が義務付けられていますが、運転に支障がない健康状態であることを自己申告すれば、無料で更新が認められます。DLVAの病歴調査項目リストの中で異常を申告すれば医療機関で精密検査を求められる場合もあります。フランス、ベルギーでは生涯免許です。西ヨーロッパ諸国は一様に世界で最も交通事故が少ない地域で、国境を越えて車で自由に行き来できる関係にあります。
意見
1)高齢者は痴呆でも認知症でもありません。経験と判断力、自制力のある市民です。"高齢者対策"こんな差別用語を表題に使った法規の存在は先進国として恥辱であり、高齢者は警察権力の監督下におかれる犯罪者でもありません。
2)統計が示すように、歩行や自転車は最も事故死の多い危険な交通手段です。運転免許の継続条件を厳しくすることは、高齢者をより危険な交通手段に追いやることとなり、今でも先進諸国の中で異常なほど多い日本の歩行者事故死の数をますます増やす結果になります。
3)認知症は病気です、検査や診断は専門医が医療機関で行う医療行為であり、警察等の組織が行うことは許されない違法行為です。
4)自動車学校など非医療機関での検査を義務付けることはたとえ法令が成立しても、上位の基本的な法律に違反していると考えられ、裁判所で無効と判断されるべきものです。
5)常識的な判断で認知症が疑われる場合、原則、専門医療機関の診断書によって免許判断条件とすべきですが、強制ではなく、便宜上自動車学校などでのこの種の予備検査を受けることを本人が承諾した場合に限り有効とする。
6)高齢者の自立には道路交通は必須で、運転に支障をきたす医学的根拠のはっきりしない認知症の疑いだけで最も安全な自動車運転が禁止されれば、より危険の多い歩行や自転車利用に頼らなければなりません。公共交通機関の利用も必ず歩行が伴います。これは交通事故統計が示すように、日本の交通死者を増やす結果となります。
7)認知症と運転能力限界についてはOECDのIRTADやイギリスのDfT等の報告書をはじめ世界の研究報告で確定的な診断法はいまだみられません。家族や友人が見守るというのが一般的です。
8)高齢者を誤った判断でまだ安全に運転ができる間に運転をやめることのないよう支援することが交通安全行政の使命と思います。今日、すでに開発が終わっている様々な電子的警報装置を備えた車は、身体的ハンディキャップを持つ運転者の安全性の向上に非常に効果があり。これこそが日本の進む道と思います。
9)アメリカでは高齢者の左折時に直進車との衝突が多いという研究結果から、多くの交差点で左折保護交差点信号方式を採用しました(日本では右折に相当)。現行の信号や道路標識が絶対とする発想は捨てるべきです。高齢者市民が25%を超えようとする現在、高齢者は正常な道路使用権保持者です。
10)この試案は、高齢者の自主判断を認めず、高齢者の判断力、人権を無視した犯罪者対策のようで、先進国際社会では見られない低俗な恥辱ものと言わざるを得ません。世界で1,2を争う自動車安全交通を実現した日本人に対する冒涜です。
補足
2012年時点で65歳以上の人口構成率は24%であるのに対し、歩行や自転車利用中の死者率は33%、65歳以下の死者率の約2倍である。それに反して、原付以上の死者は19%、65歳以下の半分強である。65歳以下の人口に対し、わずか12%の75歳以上高齢者層の歩行事故死者が65歳以下の1.4倍もあることが現状です。
イギリスの高齢者運転免許更新制度と ヨーロッパ各国の状況
ヨーロッパ各国での免許更新手続きと事故状況の研究
イギリスの場合,
運転免許は70歳まで有効で、70歳のとき、もし、病気や怪我で運転免許を持つことが不都合な場合には自己申告する義務を生ずる。
健康が運転に支障がなく、運転免許を中断する恐れがないと自己申告をした場合、3年間有効の免許証を無料で発行される。この手続きは運転をやめるまで3年毎にする必要がある。
運転に支障がある場合の病気の申告は、約24項目ほどの質問にチェックする方式で行われる。それぞれの質問は運転を妨げる特別な状態に相当するもので、DVLAが医学検査を必要と警告する場合のものである。
スウェーデンはほぼ同様の更新システムを持っている。
一方、
ベルギーやフランスは生涯免許を発行している。
研究の結果では、高齢者にゆるい免許更新制度を持つ国は、道路システムを高齢運転者にやさしくする傾向がある。この状況をスウェーデンとフィンランドで比較した研究(Hakamies-Blomqvist et al,1996)、またLangford et al(2004)はオーストラリアのヴィクトリア州と、ニューサウスウェールズ州で同様の結果を得ている。Mitchell(2008)はヨーロッパ連合の国々で比較研究している。
DLVA: Driver and Vehicle Licensing Agency: 【損保】《英》自動車運転免許庁 (略DVLA)
イギリスの結果では、運転免許を放棄する割合は10年毎に75-79歳で5%、80-84歳で5%85歳以上で13%程度(男性)となっている。
90歳で男性は38%が放棄している。
Accident Analysis and Prevention 50(2013)732-741
The licensing and safety of older drivers in Britain. 第2.2節
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22831499
注
イギリスばかりでなく私の知る限り、警察が勝手な理屈(科学的根拠を示さず)で免許証発行制度を起案・強制しているのは日本だけ(民主主義先進国)。運転免許は警察庁の権力拡大や利権のためにあるのではなく、市民のものであり免許証の発行は市民生活の安全サービスである。これは警察とは独立した省庁が取り扱うものではないだろうか。
警察は、交通については違反の摘発や、事故の調査と記録を保全する機関ではないだろうか。
高齢運転者の歩行者との死亡事故は 他の年齢層に比べて男女とも少ない イギリスの場合
英国での高齢者ドライバーの運転免許発行と安全性。
Accident Analysis and Prevention 50(2013)732-741
The licensing and safety of older drivers in Britain
ミッチェルCG 1
この論文の第11図に示すように年齢層別運転者の歩行者との死亡事故に関しては、歩行者の死者数、運転者数百万人当たりでも70歳以上の運転者は最も少ない。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22831499
日本では交通事故データーの独占収集機関である警察庁はこのような分析ができるデータベースを公表していない。
英国での高齢者ドライバーの運転免許発行と安全性 論文紹介
英国での高齢者ドライバーの運転免許発行と安全性。
Accident Analysis and Prevention 50(2013)732-741
ミッチェルCG 1。
アブストラクト
英国での高齢者運転免許保持者は増加し、特に高齢女性は増加している。男性の40から69歳のライセンス保持率は約90%で飽和し、女性の30から59歳では約78%である。
ドライバーがライセンスを放棄し始めるのは70歳を超えてからで、70歳の時に持っていたライセンスを、90歳時点で男性が25%、女性が38%を放棄している。
この論文では、1975年以降の異なる年齢層での事故死や負傷者数について人口比、および運転マイルあたりの値について分析した。
結果は、高齢ドライバーの安全性は、若年層のそれよりも早く改善している。
70歳以上の運転者の死亡者数は、1990年から2004年の間に最も高かったが、以後約40%削減している。80歳以上のドライバについては、ピークは2004年にあった数が、その後はほぼ50%減少している。
この論文では、英国での人口統計学の予測、異なる年齢層のライセンス保持予測と死亡率の動向を年齢層について分析した。その結果は、高齢ドライバーの死亡者数の削減が今後も継続する可能性があることを示している。
高齢道路利用者の見かけ上の致死率は、高齢者の脆弱性のため増加しているのであって。高齢ドライバーの事故の関与率が75歳または80歳以上まで、年齢とともに増加している事実は無い。
道路交通法改正試案 パブリックコメント意見募集について
【案件番号:120150002】 「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について
案の公示日
2015年01月16日
意見・情報受付締切日
2015年02月04日
問合せ先
(所管府省・部局名等)
警察庁交通局交通企画課
電話:03-3581-0141 (内線5025)
_____________________________
以下 黒字は警察庁の試案の本文、青字はわたくしの意見 として書いてみました。
file:///C:/Users/ichik_000/Documents/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%8C%BB%E7%99%82/news_20150122_01_02.pdf
道路交通法改正試案 別紙
1 高齢運転者対策の推進を図るための規定の整備
(1) 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、75歳以上の運転免許
(以下「免許」という。)を受けた者で認知機能が低下した場合に行われやすい
違反行為をしたものに対し、臨時に認知機能検査(以下「臨時認知機能検査」と
いう。)を行うこととします。
[私の意見]
これは事実誤認による誤った理由による試案であるとともに、以前廃棄された「高齢者の車にステッカーを張らせるせる」と同様人権無視の破棄すべき試案と思います。
以下にその理由を書きます。
① 高齢者は痴呆でも認知症でもありません。正常な市民です。"高齢者対策"こんな差別用語を表題に使った法規は先進国として恥辱であり、高齢者は警察権力の監督下におかれる犯罪者でもありません。
② 統計が示すように、歩行や自転車は最も事故死の多い危険な交通手段です。運転免許の継続条件を厳しくすることは、高齢者をより危険な交通手段に追い出すこととなり、今でも先進諸国の中で異常なほど多い日本の歩行者事故死の数をますます増やす結果になります。
③ 認知症は病気です、検査や診断は専門医が医療機関で行う医療行為であり、警察等の組織が行うことは許されない違法行為です。
④ 自動車学校など非医療機関での検査を義務付けることはたとえ法令が成立しても、上位の基本的な法律に違反していると考えられ、裁判所で無効と判断されるべきものです。
⑤ 常識的な判断で認知症が疑われる場合、原則、専門医療機関の診断書によって免許判断条件とすべきですが、強制ではなく、便宜上自動車学校などでのこの種の予備検査を受けることを本人が承諾した場合に限り有効とすることは許されるかもしれません。
⑥ 高齢者にも道路交通は必要で、運転に支障をきたす医学的的根拠のはっきりしない程度の認知症の疑いだけで自動車運転が禁止されれば、より危険の多い歩行や自転車利用に頼らなければなりません。これは交通事故統計が示すように、日本の交通死者を増やす結果となります。
⑦ 高齢者を誤った判断でまだ安全に運転ができる間に運転をやめることのないよう援助するのが交通安全行政の使命と思います。
⑧ 今日、すでに開発が終わっている様々な電子的警報装置を備えた車は、身体的ハンディキャップを持つ運転者の安全性の向上に非常に効果があり。これこそが日本の進む道と思います。
⑨ アメリカでは高齢者の左折時に直進車との衝突が多いという研究結果から、多くの交差点で左折保護交差点信号方式を採用しました(日本では右折に相当)。現行の信号や道路標識が絶対とする発想は捨てるべきです。高齢者市民が25%を超えようとする現在、高齢者は重要な道路使用者です。
➉ この法案は、嘗てハンセン病の診断だけで感染の恐れのない人たちまで強制的に隔離したのと同じように、高齢者というだけで差別する非人道法ともいえるでしょう。
以上、私のアンケート回答案です。
重複や偏見があるかもしれません、回答期限までに間があります。もう少し考えることとします。ご意見をいただければ幸いです。
【参考】
* 平成25年中の75歳以上の高齢運転者による交通事故件数は34,757件と平成15年に比べ
約1.6倍に増加しており、交通事故全体に占める割合も5.8%と約2.4倍に増加していま
す。
また、同年中の死亡事故のうち、75歳以上の高齢運転者の占める割合は11.9%と平
成15年に比べ約2.1倍に増加しており、今後、高齢化の進展に伴い、高齢運転者による
交通事故の増加が懸念されます。
この説明には、高齢者の遭遇した第1当事者死亡故件数推移だけを取り出して、それが交通事故全体にどれほどの脅威になるかの視点がない。
また、増加しつつある高齢者も、他の年齢層と同様に交通の需要者であり、正常な市民である。除外されるべき存在ではない。
日本では、高齢歩行者や自転車の事故死者が全体の大半を占め、それに比べ自動車利用者の死亡率は世界的で1-2を争う低率である。以下にその根拠を示す。
e-Stat 政府統計の窓口 交通事故統計〔平成26年11月末〕
のデータベースより。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001128424&requestSender=searc
2012年時点で65歳以上の人口構成率は24%であるのに対し、歩行や自転車利用中の死者率は33%、65歳以下の死者率16%の約2倍である。それに反して、原付以上の死者は19%、65歳以下32%の半分強である。高齢者にとって自動車利用は如何に歩行や自転車に比べて安全であるかが分かる。
75歳以上に関しては免許保有者がまだ少ないので運転事故死者についての分析は困難だが、顕著なのは歩行や自転車利用者の死亡事故が多いことであり、65歳以下の人口に対し、わずか12%の75歳以上高齢者層の事故死者が65歳以下の1.4倍もあることは交通全体の安全上重要な事項である。
高齢者の運転免許保持を難しくすれば、歩行や自転車利用が増え、日本全体の交通事故死者が増加することだけは確かである。
高齢者を信号や道路標識、道路構造などに適応しないといって除外することなく、それらのインフラを研究改善し、安全に交通できるよう支援することのほうが合理的な安全対策である。
* 75歳以上の高齢運転者について、認知機能の低下による運転行動の特徴を調査した結
果では、この機能が低下した者は、そうでない者と比べて信号無視、一時不停止、運転
操作不適等の危険な行動をとる割合が高くなっており、75歳以上の高齢運転者による交
通事故の特徴として、運転操作不適、一時不停止、信号無視による事故の割合が高いこ
とと照らし合わせると、認知機能の低下が高齢運転者による事故に相当の影響を及ぼし
ているものと考えられます。また、平成25年中の75歳以上の高齢運転者による死亡事故
458件のうち、3割以上は認知機能の低下が疑われる者によるものです。
この事実が検証できる医学的な参考文献の提示がなく、これは単なるお知らせに過ぎない。欧米では政府機関の報告書といえども重要な結論を表明するときは、根拠とした参考文献を添付している。
欧米の自動車先進国における文献で、自動車運転能力と医学的認知症診断との関係を明確に判断する基準は見当たらない。
* 警察庁が平成26年4月に実施した「高齢運転者による交通事故防止に関するアンケー
ト」の結果では、約9割の者が、75歳以上の高齢運転者の交通事故について「対策が必
要」と考えています。また、同結果では、加齢による身体機能の低下による運転能力の
低下について、「各個人に応じた対策を推進すべき」、「自覚を促す機会を増やすべき」
とする回答が多くなっています。
* 現行制度においては、75歳以上の免許を受けた者は3年に1度の運転免許証の有効期
間の更新に際して認知機能検査を受けることとされていますが、認知症の有病率は年齢
が高くなるにつれて高くなり、3年を待たず認知機能が低下することもあるところ、現
状では、認知機能の低下に応じた対策を講ずることができないことから、一定の違反行
為をした者について公安委員会が認知機能の現状を把握するための制度を整備しようと
するものです。
アンケートは、新聞記事など目立つ事故の見出しなどで一般に思いこまれている”迷信”の集約であり、科学的に判断すべきデータを持つ警察庁は迷信を正す立場にあるはずである。
日本では警察庁は唯一の交通事故データの収集機関であり、そのデータベースはすべて公開すして大学などの独立研究機関の分析研究に資するべきであり、その研究論文で明確になった事実を持って行政に反映させるべきものである。
* 認知機能が低下した場合に行われやすい違反行為については、現行の道路交通法施行
令(昭和35年政令第270号)第37条の7に規定する認知機能が低下した場合に行われや
すい違反行為(以下「基準行為」という。)を参考としつつ、対象者を適切に選定でき
る基準を政令において定める予定です。
(2) 公安委員会は、認知機能が低下しているおそれがあると判断された者等に対し
て、臨時に高齢者講習(以下「臨時高齢者講習」という。)を行うこととします。
【参考】
* 認知機能の低下に起因した事故等の発生を未然に防止するため、認知機能が低下して
いるおそれがあると判断された者等に対して、認知機能の現状に基づいて実車指導や個
別指導等を内容とする講習を行い、その者の安全な運転継続を支援します。
* この改正に併せて、高齢運転者の負担を軽減するため、70歳以上75歳未満の高齢運転
者及び75歳以上の高齢運転者のうち認知機能が低下しているおそれがない者について、
運転免許証の有効期間の更新に際して行われる高齢者講習の講習時間を短縮することを
検討しています(道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)関係)。
(3) 公安委員会は、認知機能検査において認知症のおそれがあると判断された者が
実際に認知症に該当しているか否かを明らかにするため、その者の交通違反の状
況にかかわらず、臨時に適性検査(専門医による診断)を行い、又は医師の診断
書を提出すべき旨を命ずることとします。
【参考】
* 現行制度においては、認知機能検査において認知症のおそれがあると判断された者は、
一定の期間内に基準行為(上記参照)をした場合に限り適性検査を受けることとされて
います。しかし、平成25年中に認知機能検査において認知症のおそれがあると判断され
た者は34,716人(同年中に認知機能検査を受けた者全体(約145万人)の約2.4%)でし
たが、平成25年中にこのようにして適性検査を受けた者は524人にとどまりました。ま
た、平成25年中の交通死亡事故や近年に高速道路逆走事案を起こした者で、認知機能検
査において認知症のおそれがあると判断されたもののほとんどは、基準行為が把握され
ておらず、適性検査の対象とはされていませんでした。道路交通法(昭和35年法律第105
号)においては認知症に該当した者は免許の取消し又は免許の効力の停止の対象とされ
ていますが、このように、認知機能検査において認知症のおそれがあると判断されても、
その多くは医師の診断を受けることなく、そのまま運転を継続しているのが現状です。
そこで、認知症の者が運転を継続し、認知症に起因して交通事故等を発生させること
を未然に防止するため、認知機能検査において認知症のおそれがあると判断された者に
対して速やかに医師の診断を受けてもらうべく、公安委員会は、臨時に適性検査を行い、
又は医師の診断書を提出すべき旨を命じることとします。
(4) 臨時認知機能検査や臨時高齢者講習の受検・受講を担保するため、公安委員会
は、臨時認知機能検査の対象となった者が当該検査を受検せず、又は臨時高齢者
講習の対象となった者が当該講習を受講しなかった場合には、免許を取り消し、
又は免許の効力を停止することができることとします。
認知症と運転能力についてはOECDの交通事故の国際比較機関(IRTAD)やイギリスの行政機関(DfT)等の報告書では、医学情報を含め総合的な研究文献を添付し、検証可能な論理に基づいた議論は多数見ることができるが、わたくしの知る限り、この試案で説明されている独断的で安易な結論は見たことがない。
たとえば
The licensing and safety of older drivers in Britain
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22831499
Safer Mobility for Elderly Road Users
http://ec.europa.eu/transport/road_safety/pdf/projects/sameru_final_report.pdf
意見提出フォームを見ると図表など添付できない、文章のみ2000字以内の制限があり、上記のように意見の根拠を示す方法がない。
これを見ても本気で意見を聞く体制にはないことは明らかではあるが。