高齢者の事故死者数の多いのは事故に対する虚弱性のため、事故件数当たりの死亡割合が多いためでであり(致死率or脆弱率)。実勢の事故統計で高齢運転者の事故件数が際立って多い証拠は見られない。
高齢者の道路歩行中の致死率は乗用車乗用中よりはるかに大きい。そして高齢者の死亡事故に関わるのは圧倒的に多い一般運転者である。
こんなことは1990年以降の世界の先進国の統計では常識となっている。30年一日のごとき警察庁の誤った「認知バイアス」と言わざるを得ない。
高齢者死亡事故とは無関係な標語の羅列、購読者の目を引く見出しが必須かもしれないが?

この新聞記事の右下のグラフを拡大したの下図で、死亡数をあたかも運転事故件数のようにあらわしている。9年間の高齢者人口の増加も無視しているようだ。

下のグラフは、日本の警察庁のデータベースから描いたものである。

高齢者の交事故致死率 60歳以上で急激に上昇 事故が増加するわけではない 誤った認知バイアス
2019/12/09
また、年齢層別対人事故(第一当事者)件数と歩行中負傷事故件数をグラフにしたものが下図である。

データが示す意外な事実! 運転中対人負傷事故と 歩行者の負傷事故の本当の姿 30歳~74歳層は対人事故加害者層
2019/08/07
75歳以上の高齢運転者の第一当事故より歩行中の被害人身事故の方が多い。
運転者一人一人を同じ運転状況で比べれは高齢者は運転の欠陥が多く事故になる確率が大きいのは確かだが、道路は運転技術を競うレーシング場ではない。高齢運転者の大部分はそのことを自覚し自己規制(ラッシュアワーや、夜間、風雨や凍結時などを避けて)により運転していることから、実勢の事故統計からは高齢運転者が人身事故に関わるのが際立って多い証拠は見られない。
日本の高齢運転者が自己規制により如何に安全を実現しているか 高齢者から運転免許を取り上げても安全には効果がない証拠が
2019/12/09
交通事故死傷は公衆保健全体に関する専門性の知見を要する問題であり、警察の交通課だけで解決できる問題ではない。メディアが交通事故といえば警察の取材で済ますのは無責任な間違いである。今日、交通事故に関する世界で信用されている科学的な研究成果の論文は数多くある。インターネットを使って世界の質の高い既知の基本知識を得ることは容易である。警察だけの取材に頼ることはメディアの怠慢であり無責任である。
運転免許自主返納キャンペーン、これは何倍も致死率の大きい高齢者の歩行や自転車人口を増やし、日本の交通死亡事故を増加させるだけである。
結果は、日本の場合、歩行者の致死率は自動車乗用中の致死率に比べ常に大きく、イギリスの2倍ほど、イギリスでは、いずれの年齢層でも歩行者と乗用車乗用中にそれほど大きな違いは無い。
日本の乗用車乗用中の致死率はイギリスに比べ極めて少ない。このことから日本の運転者の安全欠如とは考えにくい。
日本の高齢者の致死率が乗用車のそれに比べ高いのは運転者でなく、高齢歩行者に適応する道路構造や標識などの対策のおくれ、道路安全管理者の責任の問題であろう。
日本では高齢者の歩行中の死亡危険率が高い交通システムであるといえる。
交通事故の人身事故の場合、死傷事故全体に対する致死率(脆弱率)は交通手段や年齢層によって異なる。この関係をe-Stat警察庁のデータベースから算出した。その結果は私の2019年12月09日のブログ記事に表したが、警察庁の乗車中の事故データは乗用車だけの分類は無く、運転者、同乗者の区別もない大まかなものしかない。
下のグラフは、出来るだけ日英の比較ができるよう共通の区分について換算して表したものである。


最も特徴的な日・英の違いは、歩行中と乗車中の致死率の違いで、その比は日本では2倍以上であるのに対しイギリスではほぼ変わらない。
乗車中では、先に書いたように日本では乗用車だけのデータや運転者と同乗者の区別もされていない合計値しか公表されていない。これと比べるために、不正確であるがイギリスの場合には運転者と同乗者を合計して示した。
日本のデータについては以下の私のブログ記事。
高齢者の交事故致死率 60歳以上で急激に上昇 事故が増加するわけではない 誤った認知バイアス
2019/12/09
日本の場合の乗用中と歩行中の年齢層別致死率をグラフにしたものが下図である。

イギリスのデータは29日のブログ記事から取った。
2020/01/29

訂正: 31日の最初の記事中日本の致死率推定の算出に誤りがあったので訂正。それに伴って結果の要約の文章を大幅に変更しました。
運転適性評価に関する多角的な認識の必要性説く論文を見つけた
論文の紹介:

この論文は世界の論文を参照し、22編の参考文献リストを添えた全61ページに及ぶ解説論文といえる。
ここでは、最終省だけをコピーして紹介する。

たまたま見た前回の改正道路法法案に関する有識者会議の記録を見るかぎり、道路交通に関する責任者、日本の警察庁、内閣府、国会議員の政策審議会、有識者会議等の関係者の面々はこのような認知レベルで討議しているとは思えない。
イギリスにおける交通事故の年齢層別・交通手段別の分析
この分析で用いたデータベース
| Department for Transport statistics |
| Reported Road Casualties Great Britain Annual Report 2018 |
| RAS30024 |
| Reported casualties by age band, road user type and severity, Great Britain, 2018 |
下図は2018年におけるイギリスの事故死傷者数を表したもので、エラーバーは標準偏差である。何れの交通手段でも死傷事故者数はほぼ年齢とともに減少していることが分かる。

これに対し、死亡者数に限って見ると主要な交通手段、乗用車運転、乗用車同乗中、歩行は60-69歳層以上で増加する。

これは、死傷事故に対する致死率の年齢依存性が原因であり、高齢者の交通事故件数が増加するわけではない。
下のグラフは致死率(死者数÷死傷者数=脆弱率)について年齢層別に比べたもので、致死率は20歳~59歳の平均に比べ60歳以上で何れの交通手段でも増加していることが分かる。歩行や自転車は致死率が高く、それに比べ乗用車では低い。乗用車利用では、運転者・同乗者の何れでも致死率はほぼ変わらなく最も安全な交通手段といえる。

高齢になるのに従い交通事故死の危険性は増すが、乗用車利用が運転・同乗に関わらずより安全な交通手段であることが分かる。
この結果から導き出せることは、総合的な交通安全には、高齢者の乗用車利用を出来るだけ妨げない信号システム、標識、道路構造や乗用車の安全装備などを充実し、高齢者の運転欠陥を補う安全設備を充実すべきであり、高齢者の運転の欠陥を指摘し、運転を制限する制度は間違いであることを証明している。
警察庁はこのような詳細なデータを公表していないが、日本の限られたデータベースからでも私が今まで書いてきたブログ記事のように「高齢者の運転免許返上」キャンペーンは、根拠の無い間違いである。これは、返って歩行や自転車乗用中の人口とそれに伴う死亡事故者を増やす結果となる。高齢者の交通制限で効果を上げるためには、運転に限らず、自転車も歩行も、高齢者のすべての道路交通を禁止し、老人ホームに閉じ込めない限り実現できない。
高齢者の乗用車交通を罪悪化し、歩行や転車などで路上に放り出すことは、日本の総合交通事故を増やす結果になるだけである。
どう見ても日本の警察庁主導の交通政策は、世界の1990年代以前の認識で凍結されている「認知バイアス」が基本となっているとしか思えない。
日本とイギリスの交通事故死亡統計の比較 IRTAD2019報告書記載のグラフより
乗用車利用は最も安全な交通手段
総合的な高齢者の交通事故死者を減らすためには、高齢者の乗用車利用が続けられるよう保護政策を勧めるべきで、高齢者の免許条件を厳しくし歩道に放り出すことは、総合的な交通事故死亡者を増やすことにしかならない。これはその証拠を示す一例であろう。
道路交通手段別事故死者の構成率%


日本は歩行中および自転車乗用中の死者が最も多く、イギリスでは乗用車乗用中が多い。
下の二つのグラフは、両国での年齢層別交通手段別の事故死者数の構成率を比較するもので、各年齢層の人口を10万人とした仮想的な統計量比較の場合である。
日本

イギリス

両方のグラフを比べると、日本のグラフの場合、65歳以上の総死亡率は65-74と75以上の棒を足したものがイギリスの65以上に相当する。これで見るとイギリスの3倍以上の死亡率である。
歩行者については、日本が5名弱に対し、イギリスでは1名半程度とやはり3倍以上の開きがある。
乗用車乗車中の死亡率に関しては、日本とイギリスでは殆ど違いは無い。
また、両グラフの色分けで、乗用車乗車中が日本では濃紺色に対しイギリスでは水色となっていることに注意してみると、日本では高齢者の死亡が10万人中2名弱に対しイギリスが2名強程度と見える。
都市、郊外、高速道路での死亡者数

日本では市街地での死亡事故が多いのに対しイギリスでは郊外の事故死亡が多い。ロンドンの横断歩道の構造や標識を見る限り日本は歩行者の道路保護構造はは無策といえる。
https://www.itf-oecd.org/road-safety-annual-report-2018
これを見る限り、日本の高齢者の歩行が多いことが、事故による死亡率が高い原因とみるべきであろう。乗用車乗車中の事故死率は日英殆ど変わらない。
以上の限られたデータからの結論は、日本の交通政策は、高齢者にとって最も安全な乗用車利用を保護する政策に転換すべきである。
世界各国の交通事故致死率 私の運転経験のある国
OECDに報告されたデータベースから計算した致死率(死者数÷死傷者数)%表示したもの。2000年から2018年までの平均値。

赤色は日本、オレンジ色は私の運転経験のある国(2週間、2000km以上運転)。アメリカは住んでいたので自分の車、他の国は滞在中レンターカーを借り切った場合。
運転は、国際的に展開していて保険条項が共通し信頼できるレンターカー会社を予約可能な国に限った。南米チリには1990年代、2回何週間か滞在したが車は運転しなかった。
警察組織の権力が強いと懸念される国では不安なため運転しないと決めている。日本は交通警察国家、重症・死亡事故を起こせば逮捕され,事故の目撃情報や弁護士の援助から隔離され、その時点で有罪を強要される。「怖い国」の一つ。
交通事故の致死率で見る日本の安全性 2000年以降世界一
下のグラフは2000年以降の致死率(死亡事故件数/死傷事故件数%)をOECD加盟主要国について描いたものである。このデータベースからはその原因は不明だが、オーストラリア、フランス、デンマーク、オランダは平均に比べ際立って大きい。


このデータベースではこれ以上分析することは出来ないが、国際的に各国のデータ算出基準を検証し、統一のベースラインになるよう努力しているようだが、国による算定機銃が異なることも考えられる。
公共交通機関分担率の大きい国ほど高齢者の交通事故死亡率が高い
先のブログ記事と裏返しになるが、公共交通機関(鉄道、バス、コーチ)の交通利用分担率が大きい国ほど総合で高齢高齢交通事故死亡者率が高い。

上のグラフは主な国について,公共交通機関の走行距離分担率を降順に並べそれに対応する高齢者の総交通死亡率をプロットしたものである。
日本はこれらの国々に比べて、公共交通機関利用が飛びぬけて多い。高齢者の交通事故死は他の国々の線形近似線と比べ飛びぬけて多いとは言えないが、死亡者が多いことは確かである。
一般に思い込まれている認知バイアス、「高齢者の公共交通機関利用はより安全である」は間違いであるかもしれないことを暗示する。というのは、どこの国でも道路歩行や自転車利用の正確なデータベースが不十分で、安全政策が遅れていると思われる。公共交通機関の利用には、歩行や自転車乗用が伴うことの事実に注目すべきである。
特に、日本では、高齢者の歩行者や自転車利用が多いのに、それらの道路の安全インフラに関して責任を持つ省庁がなく、運転手だけを悪者にすれば安全が保たれるといった根拠の無い政策がこの結果を生んでいるのではないだろうか?
乗用車交通移動率の大きい国ほど高齢者交通事故死者が少ない
西ヨーロッパ諸国では、公共交通機関(鉄道、バス、コーチ)に比べ、乗用車利用分担率が大きい国の方がすべての交通状態での合計高齢者事故死亡者率が小さい。(ITFデータベースより。)
下のグラフは、乗用車分担率%を昇順に並べそれに対応する高齢者事故死亡者数(人口10万人当たり)とそれぞれの線形近似直線を示したものである。

西ヨーロッパおよびイギリスでは乗用車利用分担率は80%から86%とわずかな違いである。しかし高齢者の死亡数は最低のイギリスから最高のベルギーまで約2倍の開きが見られ、乗用車利用分担率とは逆相関といえよう。日本は、乗用車の利用率がこれらの国々と比べ63%と少なく公共交通依存度が大きい。高齢者死亡率が多い様子が見られる。
もし、仮に日本の乗用車利用構分担率が西ヨーロパの80%台になれば高齢者死亡数は減少し、国状の似通ったイギリスと同等になれば半減する可能性も見えてくる(グラフの縦線バー)。
これは、公共交通システムが悪いというのではなく、高齢者の身体的脆弱性のため交通事故に遭遇した場合、死亡や再起不能の重傷事故になりやすく、その程度は無防備な道路歩行や自転車乗用中では乗用車乗車中に比べ格段に大きく、公共の交通機関(タクシーを除く)では旅行の目的を果たすには必ずそれが伴うためである。
決まった路線を走る公共交通機関は、それにアクセスするための交通手段も含めた総合の道路暴露量の見積もりが必要であることを示している。
交通安全を実現するためには、歩行や自転車の安全を守るインフラの改善が最も効果のあることであり、乗用車や運転者を悪者にすることでは達成できないことだけははっきりしている。ロンドンでの歩行者安全施設が参考になろう。
誤解の無いために。蛇足ですが、私は上記15ヶ国中11ケ国で運転経験がり、実感を持っての感想です。
主要先進国の乗用車交通と公共交通機関利用の移動距離占有率 事故死者との関係
下の表は、OECDの道路交通事故データーベースIRTADより、各国の、鉄道、バス、乗用車交通の移動距離単位の(Passenger-Kilometers)で表した交通占有率%と形態別事故死者数との関係を集約したものである。値は各国とも1990年から直近までの平均値で表した。

後述するように、韓国、日本、オーストラリア、アメリカは他の西ヨーロッパ諸国と異なる形態が見えるので背景色を変えて表示した。
下のグラフはこの表を対数表示で示したものである。乗用車交通距離占有率を昇順に並べ描いたもので、西ヨーロッパ各国では、国状により、公共交通機関と乗用車交通にわずかな違いが見られるが基本的なベースラインに大きな差異が見られない。

この結果から、下のグラフ群は、西ヨーロッパ諸国の、乗用車、バス、鉄道利用の3形態について、事故死亡数との相関を示したものである。

第一列目から乗用車利用、バス利用、および鉄道利用率に対するそれぞれの形態での事故死亡数と、歩行中、高齢者の死亡数の相関図である。
結果は、どの事故死亡形態でも、乗用車の場合では、利用率が多い国ほど事故死亡率は少なくなる逆相関を示し、バス利用では、利用率が高くなるほど事故死亡率も多くなる正相関を示している。鉄道に関しては殆ど相関は見られない。
その結果、乗用車利用の割合が大きい国ほど総事故死亡率が低くなる傾向が見られる。自動車乗車中が最も安全な交通手段といえる。
一般に信じられていることに反し、公共交通機関利用構成率が大きい国ほど事故死者数が大きくなる。この理由は、路線公共交通機関では、移動目的を満たすには歩行、あるいは自転車交通が伴い、公共交通機関単独では完結しない。言い換えれば、バスや電車乗用だけでは交通目的を達成できない。このことから、公共交通機関利用分析では、歩行や自転車による路上暴露もあわせての総合的なデータベースが必要であるという結論になる。
一般に乗用車走行距離が延びると死亡事故率は減少の傾向があるが“low-mileage bias”、下図のように日本は乗用車走行距離分担率が極端に小さい割に乗車中事故死者率は世界一小さく特異な優秀さであると見える。これも特筆すべき事実である。

以上、この分析は、多様な因子を持つデータを強引に少数の変数に分けて考察したもので、科学的な正確さを主張するものではない。ただ言葉の上の「わかりやすさ」を基準とする「認知バイアス」が正しくないことが多いことの一例を示そうとするもので、正しい分析には事実に基づいた多様なデータベースの構築が必要である。