コンテンツへスキップ

風評の波に負けなかったオーストリアの知性

2016/12/05

4日行われたオーストリア大統領選、知性ある国民の勝利。

私の見たオーストリア。芸術を尊び、人種や宗教の違いで差別をしない文化をもつ社会。

大人数の難民の通過地点にあり困難な状況にありながらぶれなかった理性。

上の写真はメルク修道院の図書室。オーストリアには、2週間ほどかけ、ウィーンからここメルク、ザルツブルグ等に滞在しながらインスブルックまで、レンターカーで旅行しました。

2週間ほどの滞在で何がわかるかと言われればその通りですが感想まで。

商業主義の観光に溺れない格調を保つ均整の取れた国民性と感じました。

できるだけ長く高齢者が運転を続けられるよう援助することこそ 社会全体の交通事故死者を減らす唯一の方策である

2016/12/02

下の二つのグラフはOECDの国際交通ホーラムから引用したものです。

状況を比較するために日本と地理的条件が似通ったイギリスの例を示しました。イギリスは世界で一二を争う交通安全を達成した国です。また、高齢化社会であることも日本と同様です。

この両者で最も顕著な違いは、日本は高齢者の歩行と自転車利用中の死者が異常に多いことです。それが日本の全モードの交通事故死者を多くしているのです。

今できることは、高齢者が自転車や歩行に頼らず生活ができる社会環境を整備することです。そのためには確実で見やすい信号や安全標識、センサー補助による安全な車など、できるだけ長く車の利用ができるようインフラを整備することです。これは高齢者のためだけのことではありません。

乗用車乗車中の死者は、日本は何れの年齢層についてもイギリスより少ないのです。日本の自動車乗車中の人口当たりの死亡事故率は既に2014年には世界一の安全を達成しているのです。

OECD iLibraryRoad Safety Annual Report,   International Transport Forum  2016

高齢運転者は危険運転者ではありません・・” 1日間で400回以上訪問いただいた記事 どのような方々に注目されたのでしょうか?

2016/12/01

11月21日に投稿した私のブログ記事
高齢運転者は危険運転者ではありません 低マイレージバイアスと言われる効果により過度に事故率が高く評価されているからです

が、11月29日に突然、訪問数:423、表示数:557 頂きました。このブログの表示統計が示されるようになって5年余り、今までになかったことです。

どのような方々に見ていただけたのでしょうか? 残念ながら評価やコメントを頂けていないのでわかりません。

下図に、関連したブログ記事のグラフの一例を示します。これを見ても高齢運転者が責任の重い対人事故に遭遇した件数は他の年齢層より少なくなっています。また、状態別件数の状況も変わりません。

高齢者になるほど現状では運転人口が減り、しかも一人当たりの運転距離・台数が小さくなるので上の結果は当たり前との声が聞こえてくるようです。しかし、社会全体の交通災害で見た場合、高齢者個人の運転欠陥を強調しても何の意味もありません。

社会の安全を考える場合、統計に示される交通災害の絶対数です。

最近、連鎖反応のように行われている、テレビ、新聞メディア、社説や有識者といわれる人の解説。「高齢運転は社会悪」と印象付ける啓蒙キャンペーンは、交通災害全体から見れば根拠のない”迷信に”基づいていることがわかります。

このブログのタイトルは、私の発想ではなく、PubMedにリストされた論文の表題からとったものです。欧米、オセアニア等の自動車交通先進国の統計でも同様の結果が報告されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16426560

高齢運転者が交通加害者のような迷信はどうして生まれたのでしょうか?

その一つとして、高齢者の事故死者の多いのは、高齢者個人の交通事故死危険率が若い年齢層の人たちより大きい、これを事故の死亡脆弱率で示すことが行われています。この比率は高齢にいくほど急激に大きくなります。しかしこれは自動車運転だけのことではなく同乗者も同様であり、特に歩行中や自転車利用中の方がもっ大きいことがわかっています。

極端な言い方をすれば、高齢者の運転免許を取り上げ、歩行者として道路に放り出せば、日本の社会全体の交通事故死者は増加し、その死亡事故に関与するのは大部分一般の運転者 あなた方です。残念ながらこの事実は実証されています。

高齢者の運転は、視力や運動の機敏性など身体的な虚弱性のため危険性が増すことを否定するものではありません。しかし、このような高齢者にも安全な移動性は必要であります。

交通行政立案者や、それを利用者の目で評価するメディアの役目は、今までの科学的、医学的に分析された、世界で信用されている研究論文等の事実に基づいた基礎の上に立った、論理的に正しいものでなければなりません。

https://spaceglow.wordpress.com/2016/11/21/%e9%ab%98%e9%bd%a2%e9%81%8b%e8%bb%a2%e8%80%85%e3%81%af%e5%8d%b1%e9%99%ba%e9%81%8b%e8%bb%a2%e8%80%85%e3%81%a7%e3%81%af%e3%81%82%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%9b%e3%82%93%e3%80%80%e4%bd%8e%e3%83%9e%e3%82%a4/

高齢運転者は、車交通や歩行者など他の道路利用者に対して重大な脅威ではありません 日本の統計でも同様です

2016/11/25

事故により死亡する危険性は、運転者や同乗者が高齢になるほど大きくなります。

高齢運転者は”走行距離当たの事故に巻き込まれる率が高い”:運転免許当局への示唆

Older drivers’ “high per-mile crash involvement”: the implications for licensing authorities.
著者 Eberhard J.    Traffic Inj Prev.2008 Aug ; 9(4):284-90.

http://www.atgcchecker.com/pubmed/18696383

http://www.tandfonline.com/toc/gcpi20/current

目的:自動車交通管理当局が、高齢運転者の事故リスクと移動の必要性についてどのように対処しているかを検討します。

方法:National Household Travel Survey その他のデータベースから、最新の事故や道路利用の実情に合わせて、道路管理者が安全性と移動性の必要をどのような優先順位を付けて設定するための要素を検討します。

結果: 高齢運転者は走行距離当たりの事故リスクは高くなっています。事故で死亡するリスクは、加齢による機能低下に原因する運転事故のリスクよりも身体的脆弱性に原因する可能性のほうが大きい。

研究論文の多くの結果は、高齢運転者は他の年齢の道路利用者のリスクにはなっていない。さらに80歳以上の死亡事故率はこの10年来減少しています。これは、高齢者の運転人口が増加するに従い事故死者が増加するという予測と異なります。

80歳以上の運転者の免許保持者当たりの事故は増加しています。しかし、自宅地域の複雑な道路をまれに短距離だけ運転する運転者は事故のリスクが増大することがわかっています。これは最新のエビデンスです。

運転をやめた高齢者は、移動性が半分以下に減少します。この人たちの移動の必要を確保するため公共の交通機関と綿密に連携する必要があります。

結論: 高齢運転者は、車交通や歩行者など他の道路利用者に対して重大な脅威ではありません。事故により死亡する危険性は、運転者や同乗者が高齢になるほど大きくなります。

したがって、運転管理者が免許条件を引き上げることを支持できるのは、運転を停止された増大する高齢者のために、関係機関が持続的な移動を確保できるかにかかっています。

NHTSA(米国運輸省交通安全局) の高齢者交通死者統計では 高齢者の脆弱性を無視している それでも運転事故死亡率は70歳までは年齢とともに減少する

2016/11/24

 

特徴的な発見として、

①高齢運転者が全免許保持者の18%であるにかかわらず、交通事故死者は17%である。

②10年間で、高齢者人口が26%増加したにもかかわらず運転者の事故死者は10%減少した。

③高齢歩行者の交通死者は66%が交差点でないところで起こっている。

④年齢層別運転者10万人当たりの死亡事故関与数は75歳までは年齢とともに減少する。

⑤高齢運転者(65歳以上)では、運転免許保持者10万人当たりの死亡事故は年齢とともに増加する。

ヨーロッパの多くの研究機関で得られている高齢者の死亡脆弱率を考慮して3図を見れば、高齢者の運転事故そのものの数は減少しているとみるべきであろう。

このように、日本の統計を含め、科学的データを公表しているどの国でも、高齢運転者が社会全体の交通に脅威を与えている証拠は見られない。

以上は社会全体から見た交通災害の統計である。

高齢者個人の交通安全については、

高齢者自身、特に70歳以上では事故に遭遇することは、高齢になるほど死亡や重症につながりやすいことを知るべきであり、その予防対策には正しく対応すべきである。例えば自動衝突防止ブレーキシステムや車線逸脱防止システムなどを備え、歩行者頭部保護エアーバッグ、運転者の側面のエアーバック装備で自分含めた安全を守るなど現在すでに開発され市販されている車を利用する。

運転をやめることだけで安全にはならない、道路安全指導関係者やメディアは、一般の道路では歩行者(自転車)が一番死亡につながることは疑いのない事実であることを高齢者に正しく知らせるべきである。

 

高齢者の運転制限や運転停止に関する社会政策の設計は 科学的・医学的に正しい検証結果に基づき人権に配慮した責任の重い問題です 論理的で品位あるレビュー記事を見て

2016/11/23

メディアや交通政策に関係する人たちに読んでいただきたいレヴュー論文の一つ。

道路交通における傷害や死亡事故を未然に防ぐための高齢者の視力検査。

Vision screening of older drivers for preventing road traffic injuries and fatalities.

著者 Desapriya E , Harjee R , Brubacher J , Chan H , Hewapathirane DS , Subzwari S , Pike I

Cochrane Database Syst Rev.2014 Feb 21 ; 2():CD006252.
http://www.atgcchecker.com/pubmed/24563119
表題だけ見ると高齢者の視力検査の必要性に関する論文のように見えるが、単なる”視力検査”と云う言葉の上だけで解決する安易な話ではない。論述の順序を追ってみよう。
<高齢者人口の増加>
先進国の人口統計はベイビーブーマーの世代が老齢化するにつれて、65歳以上の人口の急激な増加が始まります。
今後のエビデンスに基ずく交通安全政策、特に運転の制限や禁止につながる制度を設計するときの重要事項です。
<高齢者の運転禁止>
高齢者の運転禁止は、医学的な研究によれば、うつ病や自立性を失い孤立するなどの精神的な結果を招くことがわかっています。
<事故遭遇率の評価>
多くの研究結果では、従来の道路暴露尺度での事故統計では高齢者の「低マイレージバイアス」効果により、交通事故に遭遇する値が実勢より高く推定され過ぎていることが指摘されています。
<運転環境の影響>
さらに、高齢運転者は、短距離の都市部あるいは住宅地でより複雑で要求の激しい交通パターンの運転場所での運転が多くなります。
<身体的な脆弱性>
高齢運転者は正常な老化に伴う生理学的変化により事故の際、重大な傷害や死亡になりやすい脆弱性に注意すべきです。
<安全に必要な生理学的変化>
安全に必要な3つの主要な領域は、視覚、認知、運動機能です
視覚は、運転環境内の物体、動きを監視するために必要な周辺視野を持っていなければなりません。
高齢者のビジョンテストは重要な安全上の問題です。
<望まれる有効性の検証された視力スクリーニング>
運転のための視力スクリーニングはエビデンスベースの検証ツールを開発する必要があります。
<視力スクリーニングの現状>
しかし、現在世界各地での運転免許試験に合格するための視力スクリーニング規則はバラバラに行われていてその有効性は不明のままです。
以上は、世界中の道路の安全性を高める最重要課題です。

高齢運転者は危険運転者ではありません 低マイレージバイアスと言われる効果により過度に事故率が高く評価されているからです

2016/11/21

Older drivers do not have a high crash risk–a replication of low mileage bias.

Accid Anal Prev. 2006 May;38(3):574-8. Epub 2006 Jan 19. Langford J1, Methorst R, Hakamies-Blomqvist L.

低マイレージバイアス: 年齢とは無関係に、より長距離を運転する運転者は、短距離を運転する運転者よりキロメートル当たりの事故率が低くなる現象。
大規模なオランダの交通調査のデータから、この効果を考慮して異なる年齢の運転者の事故率と比較すると、75歳以上の運転者の方が他のすべての運転者より安全であることがわかりました。
ただし、年間走行距離3000km以下の高齢者では事故率が高い傾向を示しました。しかし、このような短距離運転者は高齢運転者のわずか10%程度でした。

高齢運者の事故死亡率増加は 衝突事故の増加よりも身体的な脆弱性による 

2016/11/21

Q

高齢ドライバーについて、脆弱性と、走行マイル当たりの衝突値増加との関係は、決定的な要因として高齢者の高死亡率(脆弱性)にある。

Fragility versus excessive crash involvement as determinants of high death rates per vehicle-mile of travel among older drivers.

http://www.atgcchecker.com/pubmed/12504143、 Department of Emergency Medicine, Johns Hopkins University School of Medicine, 2003.

いろいろな国家機関によるデータを用いて、高齢者の脆弱性と車1台当りの走行距離当たりの死亡事故増加リスクが計算された。

結果の一つとして、80歳以上の脆弱率は30歳~59歳のドライバーの13倍と報告されている。この値は昨日の私のブログの結果、80~84歳:13倍、85歳位以上約20倍と比べ大差ないと思われる。この値は今まで日本では注目されていない事実である。

昨今、日本のメディアで蔓延している。高齢者の運転事故増加の迷信は、脆弱率の大きさであって事故件数の増加を示すものではない。

インパクトのあるニューを強調して間違った風潮を蔓延させるメディア、社説など責任ある情報記事では、少なくとも直近10年ぐらいの間の世界で評価されている論文のバックグラウンドを理解した上で記事にすべきであろう。

交通事故件数の類型別に見た年齢層別特徴に著しい差異はなく 実勢の事故件数は高齢になるほど減少している 

2016/11/20

下のグラフは政府統計データベース、平成27年における交通事故発生状況 から描いたものである。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001150496&disp=Other&requestSender=search

上のグラフを見て、高齢運転者の数が少ないので事故件数が少なく見えるだけという批判、

再度強調したいのは、社会的に重要なのは事故件数そのものの実勢値である。これで見る限り、高齢運転者が異常に社会的に危害を与えている事実はない。

交通事故における高齢者の死亡に至る脆弱率の試算 

2016/11/19

死亡件数だけの比較で年齢層別の交通事故の実態を考えるのは間違いだ。

年齢層別道路交通暴露量: 実際に道路を利用した年齢区分当たりの総人数と移動距離をかけた量、移動手段別の人数キロメートルが公表されていないので、ここでは交通事故の負傷者数が暴露量に比例していると仮定して考える。年齢層の違いによる交通手段の利用分布の違いを無視した論理的誤差は認めるが他に推定手段が見当たらないので利用した。

下のグラフは、年齢層別負傷者数の分布である。

同様に、交通事故死者数の分布を示す。

交通事故発生状況の推移(昭和23年~平成27年)

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001150496&disp=Other&requestSender=search

交通事故における死亡虚弱率: 負傷者数に対する死者数比を虚弱率と仮定する。

下図は、65歳未満の平均虚弱率を基準として、65歳以上の年齢区分別虚弱率を指数化したものの年次系列グラフである。

高齢者は、無防備な自転車や歩行が多いことを考えると、この80歳以上の脆弱率の値は大きすぎると言われれば反論の根拠はないが、いずれにしても、事故の死者数で高齢者が事故を起こしやすいとの判断は間違っている。

数値は別として、高齢者の交通死亡事故に関する分析では、脆弱率を考慮するのは欧米の自動車先進国の研究論文では常識になっている事実である。