この年齢層は昨年(2016年)に85歳~89歳の年齢層区分に到達した人たちである。e-Stat警察庁の最近の発表データベースから過去10年間、2006年(人口推定は2005年)、2011年と2016年の交通事故データを推移を追跡した。
まず、この年齢層の人たちが自動車乗車中と歩行又は自転車交通の死亡事故数の実態を見てみよう。

第一図: 顕著な事実は、この年齢層では歩行や自転車交通中の事故死が圧倒的に多いことである。ここで、乗車中とは運転に限らず同乗中も含んでいる。高齢になるほどに歩行などの死亡危険性が高くなるかがわかる。また、人数が減少しているのは病気などによる死亡や外出困難になるためである。
下のグラフは、追跡した年齢層の人口や運転免許数の減少について、2005年の人口を100とした(運転免許は2006年)指数で見たものである。病気などの死亡による人口減少とそれに伴う運転免許保持者の減少がみられるが、それに加え高齢になるに従い免許更新を放棄する傾向がみられる。

第2図: 交通事故統計では、事故による死亡者数と負傷者数とは異なった傾向を示す。一般に負傷者数は道路交通量(道路暴露量)の推定に近いとみられ、人々の必要とする交通活動の大きさの目安ともみられる。
事故の負傷者数で見ても、高齢になるに従い車利用が減り、歩行に頼らざるを得ないことがわかる。この数値は乗車中の人員についてのもので、運転者としてではなく高齢になるに従い同乗の割合が大きくなるであろう。第1図と比べてみると、歩行者・自転車交通は事故全体に対する死亡率が高い危険な手段であることが分かる。

第3図: 高齢者は安全な公共交通機関利用をと言われるが、バスや電車を利用するには歩行や自転車利用が不可欠でありこれを無視することは間違いである。
責任の重い運転事故(第一当事者)の死亡事故件数の減少には注目すべきであり、高齢になるほど乗車中の死者数より小さくなる。これは、高齢者では運転者としてではなく同乗中の割合が大きくなることが原因であろう。

第4図: 上記の10年間で、第一当事者死亡事故件数の減少率0.38は運転免許保持率の減少0.33とそれほどの大差はないように思う。
このように、高齢者運転が他の世代に比べて特に社会に危害を与えている証拠はどこにも見られない。それにも増して、歩行者・自転車の高齢者の交通事故死には、第1図の死亡者数に比べ第4図で見るように、第一当事者死亡事故件数の方が1/3以下である。これは高齢者の歩行や自転車交通の死亡事故は、高齢運転者以外の大多数を占める一般の運転者による関与のほうが大きいことは明らかである。
この分析は同一人員構成の母集団による追跡分析であり、異なった集団を母集団とする多くの分析に比べあいまいさが少なく統計的には正確であると言えよう。
”どこから見ても非の打ちどころのない高齢者の運転実績” 表題に入れたかったがこれを見ただけで拒絶されそうでやめた。
8月の終わり 晴れ上がった空 我が家の庭の実り



トランプ大統領の言動を見るとき思い浮かぶこと。
日本はこのような出身の政治家の先進国。首長(知事)に多く見られ、自分がトップに上り詰め、こき下ろす相手を首にし掃除が完了したとき自分も失脚する。首長は人気仕事であっても管理職でもある。人気者だけでは組織はついてこない。トーク番組の司会者やプロジューサーの手法では長続きしないのでは?
場違いな映像だが、私が楽しんで見ていたテレビドラマ、これにトランプが出演していたとは知らなかった。
NAVERまとめの映像より。
下のグラフは、e-Stat警察庁のデータベースより分析したものである。

これは2015年のデータによるもので人口の二つの山は1次,2次のベイビー・ブーマーによるものである。自動車乗車中の事故による負傷者数は40-44歳をピークに年齢とともにほぼ一律に下降している。第一次団塊の世代でも増加には転じていない。歩行中・および自転車利用中の負傷事故は全年齢層でほぼ変わりない。
このように高齢者の交通事故負傷者数は増加していない。言い換えれは人身交通事故は増加していないのが現実である。
にもかかわらず、間違った認識が生ずる原因は以下のようであろう。
下の図は、事故の際の致死率(死者数/死傷者数)の歩行+自転車と自動車乗車中の場合である。これで分かるように、高齢に行くに従い急激に致死率が大きくなる。しかも注目すべきは歩行と自転車の致死率は自動車乗車中より何倍も大きいことである。

この理由により、交通事故死者数の統計を用いて事故の発生率とするのは高齢者側に過大となり、事故の責任要因を判断する統計量としては誤りである。
死者数で言うなら、歩行・自転車交通の方が自動車事故よりはるかに多いにもかかわらず交通事故から「忘れられて」いる。
交通安全対策で最も効果の期待できる政策は、いかにして歩行者や自転車利用人口を減らすかであり、高齢者から運転を取り上げ路上に放りだすのはかえって日本全体の交通事故死を増やす結果にしかならないことは明白である。
しかも、歩行者や自転車との死亡事故に関与する運転者の多くは高齢運転者ではなく、高齢者運転を危険だと言っているあなた、職業活動や運送に携わる現職の運転者であることである。このことは、高齢者の関わる第一当事者死亡件数より高齢者の歩行者や自転車交通中の死亡数の方が多いことが証明している。
これらの事実は、資料の出るたびにこのブログで証拠を示して書いてきたことである。
交通災害は、非高齢者対高齢者、善者対悪者の対立として非難することでは何の解決にもならない。
下のグラフは、2013年から2016年までの4年間の65歳以上の運転免許保有者数に対する交通手段別死亡数の相関図である。e-Stat警察庁データベースによる。

下の表は各項目について65歳以上の年齢層の全年齢層に対する分担率%を表したものである。

顕著な事実は、65歳以上年齢層の歩行・自転車事利用故死亡者は、同利用全年齢層の71%にもなっていて交通事故死亡災害の最大要素である。それにくらべ65歳以上の責任の重い第1当事者死亡事故件数は27%である。
上のグラフで注目すべきは、65歳以上の運転免許保有数の増加に反して歩行と自転車交通利用者の死亡事故者数の減少である。歩行・自転車の事故死に関与する自動車運転者は全年齢運転者層であり、65歳以上での運転免許保有率の増加による歩行者・自転車交通利用人口の減少の効果とみられよう。
他方、運転免許保有率の増加に伴って見られる第一当事故件数の増加は自然である。自動車乗車中の事故死者の場合は全運転者との車間相互事故を含むため、高齢者の免許保有率とは関係が少なくなることを示す。
交通環境における歩行者・自転車利用暴露率を分析するデーターベースがないので知る由がないが、日本では全交通死亡者の30%が65歳以上の歩行・自転車交通者であることを無視することはできな。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3256784/
「高齢ドライバの死亡運転事故への関与の減少を探求」を読んで。
この論文は、26件の学術文献等の研究を参照したエビデンスの検証ができるレビユーと見ることができます。
これによると1997年以降、アメリカでの高齢者運転人口や乗用車当たりの運転距離が増えたにもかかわらず高齢運転者の使命的な事故が急激に減少している事実を確認し、その理由を詳細に検証している。以下にその論文の結論を紹介します。
結論
”高齢ドライバーの致命的な事故率は、1997年以降着実に低下しており、35〜54歳のドライバーの致命的な事故率よりも急速に低下しています。35歳から54歳のドライバーに対する高齢ドライバーの事故減少は、年齢とともに進み、80歳以上の最も高齢のドライバーの中で最大の減少を示しました。これらの知見は、走行距離、運転免許所有数、および人口の3つの異なる主要関連の関数を用いて観察されました。この調査では、35〜54歳のドライバーと比較して、いくつかの類型での事故では高齢ドライバーの間で特に顕著な改善が見られました。その結果、ほとんどの種類の事故形態やドライバの間で改善が見られました。ただし、高齢ドライバーの事故率が大きく改善する理由は不明です。”
同様の事実は私が時に触れ書いてきた日本での高齢者運転者の実態でも証明されつつあります。
メディアの皆さんにお願い、もうこのあたりで影響の大きい警察庁のフェイク・キャンペーンを暴きませんか!
常識のうそ! 「高齢運転者は危険運転者」
これもe-Statのデータベースから算出して描いたもので、車運転中(第一当事者)事故の三大類型別に致死率を示したものである。このグラフでは、圧倒的に多い車両相互の事故件数を圧縮して右スケール示した。
歩行中の人に対する死亡に関与する確率は運転経験とともに減少傾向がみられる。
車両相互・車両単独の乗車中の運転者の致死率は明らかに高齢(70歳以上)で急激に増大している。これは高齢者の身体的虚弱性によるもので、一般に事故に対する脆弱率と言われているものに相当する。

このグラフからは、乗車中の致死率(死亡脆弱率)は、80-85歳で2倍から2.5倍、85歳以上で3倍から4倍と見られ、ヨーロッパの文献等に見られる値と同等かそれより小さめである。この傾向は運転者に限らず同乗中の高齢者でも同様であることが文献で報告されている。
死亡事故統計で高齢者の死亡事故件数が大きく表れるのは主としてこの効果を示すもので、運転事故件数そのものが多いわけではない。これは対人事故の年齢変化を見れば予想される。
低めの脆弱率については、私のヨーロッパ諸国での運転経験から感ずることは、日本では一般に運転速度が遅いことによるものと思われる。
昨日のブログ記事。

軸ラベルの説明を間違えていました。訂正しました。
運転者の年齢層別・類型別事故の特徴 高齢者側からの累積件数で見た場合
前のブログに続き、運転免許保有者数と運転者の類型別事故件数を高齢者側から積算した増加形態のグラフを見てみよう。
下のグラフは事故件数の場合で、車両相互の事故件数の傾向は運転免許保有者数とほぼ平行している。車両相互、人対車両、車両単独の順位は、すべての年齢層について同様に変わらない。

下のグラフ事故死亡者の場合は、若年層では運転免許保有者数に比べ少ないことがわかる。55~59歳以上の高齢層では人対車両の死亡事故に関与した運転者が最も少なく、若年層年齢では人対車両事故死の方が単独事故死より大きくなる。車両相互事故と単独事故による死亡件数は高齢側で上昇の傾向を示している。

高齢者は身体的な脆弱性のため、同一規模の事故において死亡率が3倍以上であることが知られており(前のブログで示した致死率の上昇)それが車単独・車相互死亡件数の上昇として表れている。このデータだけで結論とすべきではないが、若年者の車相互の死亡件数の低下は、身体的な強靭さのために死亡に繋がりにくいことが一つの原因であろう。
結論は、”高齢運転者は歩行者に優しい運転者である”となる、それに比べ現状の交通では高齢歩行者の死亡者が最も多いのが実情であることに目を向けるべきであろう。
これは、死亡事故ばかりでなく事故全体に注目すべきであろうとのコメントを頂いたことのお答えになっただろうか?
下のグラフは、e-Stat 2015年の警視庁データベースから描いたものである。
運転免許保有者数の二つの山はベイビー・ブーマーの人口増集団によるものであり、車両相互の事故件数はこれと一致していることがわかる。30歳以下では車両相互の事故が多い特長がみられるが、40歳以上の高齢者側では特長は認められない。強いて言えば、70歳以上では車両相互と車両単独の事故件数は幾分多めかもしれない程度である。

下のグラフは、死亡件数の表から事故の致死率を求めてグラフにしたものである。
類型別年間死者数が数十人程度であるため統計誤差が大きく正確な結果は得られない。標準誤差範囲を計測数の平方根と仮定してエラーバー表示したグラフを描いてみた。

高齢運転者の特徴を見ると、車両単独事故での自身又は同乗者の死亡率が大きいことは認められよう。人対車両や車両相互の事故では、関与した死亡者数が少ないのと、死亡者が運転者である高齢者とは限らないため判定は不可能である。この事実は高齢者の生活上の安全問題ではあるが、交通社会全体の脅威とする根拠にはならない。
このように、日本の実勢の交通では、高齢者が特に他の交通者に被害を与えている危険運転者である証拠は見られない。
