もう一つの高齢者運転に関する認識 イギリスのRAC財団
RAC 財団 イギリスのRoyal Automobile Club Foundation for Motoringの高齢者運転に対する認識
Independent の記事。 PETER WOODMAN, PA. Wednesday 14 April 2010 07:57 BST
RAC Foundation director Professor Stephen Glaister の見解。
高齢運転者は最も安全な運転者であり、高齢運転者に強制的に運転テストをすることは事故を減らすためにほとんど役立たない。
高齢者は他の年齢より安全ではないというのは神話であるにもかかわらず、70歳で再テストを導入することは不当と言わざるを得ない。
再テストをすることは、最近通過した平等法にも反する可能性がある。
しかし、免許を取り上げるためのテストではない70歳での免許更新は、健康と運転能力に対し自覚するための良い機会を与えます。私たちは皆それを受ける必要はあります。
運転が安全である限りできるだけ長く続けることを皆が大切に思っているが、運転が適切でない時が来た場合、運転から退き、重要なサービスや、余暇にアクセスできる代替す段にアクセスする必要が生じます。
補足: イギリスでは、70歳以上になった時点で、以後3年ごとに運転免許を更新しなければならない。手続きは無料でインターネットで申請できる。その際、医学的状況や障害を自己申告しなければならない。医学的チェックリストがあり、虚偽の申告をすると起訴されることがある。
平等法: 2010年に整理・統合された法律、9つの差別禁止のうち、年齢、障害 等で適切な補助支援がない場合実質的不利になる取り扱いの禁止。(内閣府:イギリスにおける障碍者差別禁止の法的枠組み)
日本では見られない研究発表 高齢運転について
NewsScience
Elderly drivers ‘are not dangerous’ and taking away their licence could kill them, academic claims
高齢者運転者は”危険ではない”運転免許を取り上げても彼らは死亡事故に合う、これは学問的結果が示す。
Elderly people are not more dangerous on the roads than other drivers, an academic has claimed.
Dr. Charles Musselwhite. は英国科学祭で、彼の研究によれば、高齢運転者は他の年齢層と比較して安全であることを明らかにした。
また、高齢者にテストを課すことで道路が安全になることもない。
高齢者の運転をやめさせても彼らの安全にはならない。高齢者の歩行者は19%であるが歩行中の死亡者は40%である。他の車との被害の他に、管理が行き届かない歩道もその理由の一部であろう。
高齢ドライバーに厳しいテストを導入した国のレビューは、高齢ドライバーの衝突事故率にはほとんど差がなかったことを示している。
高齢者が道路事故で死亡したり重傷を負ったりする事故が高いことを示唆している統計は、傷害に対するより高い脆弱性によるものである。
高齢者は別のドライバーの圧力や自身の気弱さよって焦りを感じたとき誤りを犯しやすい。
運転をあきらめることによって、うつ病、ストレス、および孤立感により、健康が著しく悪化することが明らかになった。
ドライビングテクノロジーは、高齢ドライバーが直面している困難を克服するのに役立ち、できるだけ長く運転できる機会を維持できる可能性がある。


BBCイギリス公共放送 NHK 日本の公共放送
BBCのレポート:
一方通行の自動車道での逆走、これは、高齢の運転者の事故の度毎に公開されている話である。84歳の女性が、ノーサンバーランドのA1上で間違った方向で運転して死亡した。
しかし、高齢ドライバーはどのくらい危険なのでしょうか?
The Department for Transport (DfT) says there is no evidence older drivers are more likely to cause an accident, and it has no plans to restrict licensing or mandate extra training on the basis of age.
運輸局(DfT)は、高齢運転者が事故を起こしやすい証拠はない、年齢を基準にした運転許の制限や特別な訓練を義務付ける計画はない。(日本の警察庁の業務に相当?)
RAC Foundationによると、英国で最も高齢の運転免許保持ドライバーは107歳の女性で、100歳以上の191人がライセンスを持っているという。70歳以上の4,018,900人が英国の普通免許を持っている。にもかかわらず。
NHKの場合:
高齢者運転は交通社会で危機的な害を与えているという前程で話が構成されている。高齢者運転事故が本当に交通社会での主要な危害になっている科学的な検証記事はない。
あるのは、目立つ事故の事例と高齢者の運転欠陥を強調する事例の羅列だけである。
その一例:

この事故は信号サイクルを変えるだけで防げる。アメリカで一般的に採用されている保護された左折信号(日本では右折に相当)対向車の停止中に右折専用の信号を先に緑にする、これは高齢者だけのためではない。反応が遅いからと言って除外するのではなく、それれを保護できる安全システムに変更するのが道路管理者の責任である。道路はレーシング場ではない。しかしそういった記事はどこにもない。
世界の先進諸国で現在問題になっているのは、高齢化に伴い歩行者の死亡事故増加である。この記述もどこにもない。日本は歩行者と自転車利用者の死亡事故が欧米に比べ異常に多いのにもかかわらず。
警察庁は、根拠もなく高齢者の限定免許証を考えているようだ。
高齢運転者を厄神のように言う日本の察庁。自らのデーターベースの科学的分析をする能力がないとは思えないが!
なぜか高齢運転者を締め出して歩行者を増やすキャンペーン、なぜこんな事故死者を増やす政策をするのか?
警察権力や予算の増強か? 天下り先の組織の確保のためと憶測したくもなる。
欧米諸国で見られる大学や独立系交通研究機関また救急医療機関の研究論文やデータ、日本では見えてこない理由はどこに?
現在、世界の自動車交通先進国で議論されている重要課題は「高齢運転者対策」ではない。
ほとんどすべての国で、道路事故で死亡した15~24歳の若者の数が減少している。しかし、加盟32か国のうち、65歳以上の高齢者の死者数は16か国で増えた。その内訳は
”高齢者の歩行者死亡者が最大の割合を占めている”。
道路交通の安全性の測定及び国間の安全レベル比較をする場合、一般的には、次のようなインジケータが使用される。
① 人口当たりの死者数(死亡率)
② 自動車の走行距離当たりの死者数(致死リスク)
③ 登録された自動車台当たりの死者数
しかしこれら各指標を用いた国の比較は一致しない。
具体的には、以下の数値で表されるのが一般的である。
① 住民10万人あたりの死者数
住民の数の最も多く使われる分母であり、ほとんどの国で公表されていて利用可能である。また、医学的なリスク等とも比較できる。
② 10億VKT(車台数×走行距離km)当たりの死者数
この指標は道路交通の安全品質を記述し、理論的には最良である。
道路ネットワークのリスクレベルを評価する指標にもなる。
③ 登録車1万台当たりの死者数
このレートは、車種別の数や年間の走行距離は不明で、このインジケータは、
同様の交通と自動車利用割合の国間の安全性能を比較することはできよう。
以下に日本とヨーロッパ主要国との比較グラフをしめす。

順位では8番目であるが、この数は自動車乗車中事故死以外の総ての交通死者数であり、日本で特に多い歩行者と自転車の死者を含んだものである。これを除くと日本の乗車中事故は世界一少なくなる。(前ブログ記事等)

この場合は順位はヨーロッパ諸国と比べると最下位に近い。道路の安全管理インフラがヨーロッパ先進諸国に比べ悪いのではなかろうか? アメリカも日本より悪いが、下のグラフと合わせて見ると車1台当たりの走行距離がアメリカでは大きいのが原因と推定される。国土と運転状況が違うことが大きいのではないだろうか。

日本と大差のない条件のヨーロッパ諸国では、日本の車台数当たりの事故死者最も少ないグループと見られよう。車1台当たりの死亡関与率が小さいといえる。
Road Safety Annual Report 2016
人口や高齢化率の違いを消去すために何れも人口10万人当たりの死者数に換算して描いた。

先のブログと同じe-Stat警察庁データベースより。
日本の高齢者は歩行+自転車利用の死者が非常に多いが、非高齢者では国際的に比べて変わりない。
乗用車の死者では大陸型のヨーロッパでは多く、島国の日本やイギリスでは少ない傾向にある。
日本では乗用車乗車中の事故死者が最も少なく、これはOECD参加国の統計でも世界一少ない。
今後日本の高齢化が進み、現運転免許保持者が高齢者層に向かえば運転者の増加により歩行者が減りイギリス型に近づくとみられる。
警察庁が選任した高齢者対策のための有識者委員達はこの事実をどう認識しているか聞いてみたい。
下のグラフは、交通事情の似たイギリスとの比較で見た高齢者と非高齢者との交通手段別事故死者の数である。ゼロ軸より左側高齢者層、右側が非高齢者層である。
明らかな特徴は、日本の死者の大きな部分が歩行と自転車で占められている。それに比べ乗用車利用が少い。これは、高齢者の多くが安全な乗用車利用が出来なくて危険な交通手段に頼らざるを得ない状況に置かれていることを示す。

e-Stat 警察庁データベース、年齢層別30日以内死者数の欧米諸国との比較より。
日本と同様高齢化が進み国土の地理的状況も似ているイギリス、交通手段別の死者数を高齢者と非高齢者について比べたのが下図である。日本では乗用車を除いてすべての手段で高齢者の死者数の方が多い。明確な違いを見ることができる。

これを見ても明らかな事実は、高齢者の乗用車利用を難しくすることは日本全体の交通死者を増やすだけであり、ただでさえ国際的に多い高齢者の交通事故死をさらに増やすだけである。高齢者の事故死者を減らすためには、信号、道路標識、道路安全構造インフラそして安全補助装置の車など、できるだけ長く高齢者が運転して交通できるよう援助することである。
なぜか、社会全体の安全を守るはずの警察庁「高齢運転者対策」は明らかに高齢者交通事故死を増加させる方向に目を向けている。
65歳以下の人たちには信じられないかもしれないが、1960年(約60年前)日本の道路は国道でも舗装率30%(未舗装=砂利舗装)であった。下のグラフ。まだ乗用車による人の移動は普及していなかった時代である。国道の舗装率が90%を超えたのが1972年頃、県道が1987年である。ちなみに名神・東名高速道全線開通が1968年である。

特定財源により充実した道路投資の半世紀 中里 幸聖 大和総研 2012/9
クリックして12091801capital-mkt.pdfにアクセス
これら道路基盤の充実は自然に出来たことではない。日本の道路を一般の人々が乗用車で移動が可能になるまでに社会資本(インフラ)を充実させた世代の現在の年齢層を見てみよう。1972年に生産年齢層であった18歳~60歳の人たちは現在63歳~105歳、1987年では48歳~90歳。現在、高齢者といわれる65歳以上の第一次ベイビーブーマーまでの世代がこれら道路の社会資産を充実させた人々といえる。
これから急増する65歳以上の高齢者の道路交通需要を社会の迷惑のように思っている人たちはこのような事実を考えたことがあるだろうか? わざわざこのような話を持ち出すから年寄りは嫌われると思う人もあるかと思うが、私には自然に沸く感情である。それは1967年30歳代に突然アメリカで生活することになり、乗用車を日常使用していて実感したこと、アメリカの人々の税金で作った道路を無料で当たり前のように使っている私、先人の社会資本投資の恩恵を実感していました。

これから進む第一次団塊の世代の高齢化、この人たちの道路交通需要の増加は自然であり、乗用車移動はこれら道路資本を充実させた世代の権利でもある。道路管理者は、道路標識や信号、道路構造が高齢者に合わないからと言って高齢者の運転を除外するのではなく、高齢者の特性に優しいインフラを研究・設置すべき義務がある。何れ例外なくあなた方も高齢になる。高齢者の交通を1960年代に戻すことではない、この結果起こることは歩行者の事故死者を増やす間違いのない事実だけである。
今世紀に入って、世界の先進国では、高齢者の運転が社会の害悪であるという結論を証明した研究論文を見ることはない。
日本では、いまだに交通行政機関・警察庁と、高齢者の関与した過酷な事故を強調するメディアが作り上げた迷信の時代であるといえよう。
ハワイ州 マウイ島の道路標識
2015年春、ハワイ・マウイ島に滞在した。主目的は友人の建設した天文観測の見学であったが滞在期間中レンターカーを保持し移動を確保した。レンターカーには持参したドライブレコーダーを設置して記録した。
これはその画像から、カーブの予告とその通過速度標識を取り出してみた。
前方の急な折れ曲がり道路の曲がり方向の予告と通過速度表示。15マイル毎時(15MPH) キロメートル表示に直すと24km/h。

これより先曲がりくねった道路が続く予告と、走行速度20マイル/時(20MPH)の表示。32km/h

前方に単レーン(すれ違いできない)狭い橋がある、走行速度10MPH(16km/h) の予告。

このようにその道路の通常走行速度では通過できない場合には予告表示と必要な場合には通過速度が表示されている。
普通アメリカ本土やカナダでは実勢速度に準拠したてその道路の制限速度が設定されているので運転者はあまりかけ離れた速度超過をすることは少ない。
ここマウイ島では、このような設備の良い道路でもかなり遅めの速度制限標識が見られる。外来の観光客の多いこともあって、どの程度の速度超過が普通なのかわからない。運転は、できるだけ前方の車に一定の車間距離で追随するようにした。下の映像はその記録の1例で、制限速度45MPH(72km/h)に対してこの時の走行速度は99km/hであった。日本とほぼ同じような状況だが、私の経験では、こんな乖離はアメリカ本土やヨーロッパでは摘発される速度超過と感じた。

前の私の記事、日本の速度標識と比べてほしい。道路管理者の哲学の違いが分かる。
事故を誘発する速度制限標識 ドライブレコーダーの記録から
画像1: 61km/hで走行中、50(50km/h?)の路面標識と路面前方の急カーブを見て減速開始。道程 0m、 時間 0秒、 走行速度 61km/h

画像2: カーブ走行中前方オートバイに注目しはみ出さないよう33/km/hに減速。道程 90m、 時間 7秒、 走行速度 28km/h、減速 33>28km/h/7sec(0.3G)

画像3: 約100m進んだところで再び50の標識を見る、法定制限速度標識50km/hと確認。この時点で私の走行速度は33km/h。 道程 103m、 時間 10秒、 走行速度 33km/h

画像4: 二つに分かれる道路直前の急カーブに到達、29km/hに減速。道程 23m、 時間 3秒、 走行速度 29km/h、 減速 33>29km/h/3sec(0.5G)

無事にこの二つの連続した急カーブを通過した。これは私の運転技術が劣悪だからだろうか?
こんな危険な道路標識、何のために立てたのか常識では理解できない。これが夜間初めての道だったらどうなるか?
上記の道路の衛星画像と進行方向

警察庁はおそらく、道路速度標識は運転者の安全のためではなく路線の属性を知らせるもの(速度違反の検挙の基準)、安全速度はあくまで運転者の判断と責任でするもの、無理な標識速度に従って走行中事故が起こっても標識管理者の責任ではないということだろう。