長寿に関する二つのレポート
二つの対照的なレポート、A: 大特集「健康に生きる」ダン・ビュートナー、ナショナルジオグラフィック日本版、2020年1月号、と B: 「75歳で死ぬことを望む」医療倫理学者医師エゼキエル・エマニュエル、MIT TECHNOLOGY REVIEW Japan、を読んで。

Aは「長寿の食卓を巡る旅」と題し、イタリア・サルデーニャ島、コスタリカ・ニコヤ半島、日本・沖縄、そしてアメリカ・カリフォルニア・ロマリンだの4か所における100歳以上の人口密度が高い地域の食べ物の取材記事。これは、正月記事とし難しいことを詮索しなければ、自然に受け入れられるお祝い記事ともいえる。
それに対し、Bは、オバマ政権で医療保険制度を主導した医師、2014年に書いたエッセイ(Why I Hope to Die at 75)に対する5年後の取材記事。
5年前、75歳以上の延命処置は拒否すると語るエマニュエル医師は、「高齢の米国人がよぼよぼの状態で長く生き過ぎている」と主張する。62歳になった現在、発言の真意を聞いた。抜粋
Q:あなたは、健康寿命という考えに懐疑的だということでしょうか?
A:——大多数の人々にとって一層重要な問題は、認知機能の生物学的衰退です。本当に賢い人々を見ても、75歳を過ぎてから新しい書籍を執筆したり、自身が思想家としてトップを走れるような新分野を実際に発展させたりできる人は多くありません。……
Q:長くなった寿命を単に楽しむだけではだめなのでしょうか?
A:……..70歳、80歳、90歳まで元気な生活を送っている人々が「する」ことを見てみると、そのほとんどすべての行為は、私から見ると「遊び」に分類されるものです。有意義な仕事ではありません。……..
Q:開発が進められているアンチエイジング薬は、ずるい手段で不死を得ようとするだけのものなのでしょうか?
A:その通りです。アンチエイジング薬の開発者に話を聞いてみると、「我々はただ問題を取り除こうとしているだけです」と言っているわけではありません。いいですか?「もっと長生きしたい」と言っているのです…….あなたがひょっこり死んだって、世界は問題なく存在し続けます。ニュートン、シェイクスピア、オイラーのような優れた偉人たちでさえも死にました。そして、どうでしょう? それでも世界はまだ存在し続けています。…….
以上
そういうあなた、あなたがまだ生きているうちにあなたが実現させた 医療保険制度 は政権の終とともに死にました。アメリカはまだ生き続けています。
政権に群がる人たちは、こんな認知エリート意識丸出しの人々の集団とは驚きです。