下図は e-Stat 警察庁 2018年中の事故データベースより描いたものである。
表題の死亡事故数は、負傷事故数から致死率2.5%として概算したもの。

85歳以上の運転者の歩行者との責任が重い死傷事故(第一当事者)件数407件/年、1.1件/日。死傷事故の致死率2.5%として計算した死亡者数0.03件/日(1か月余りに1件)と概算される。
警察庁の交通事故負傷者データをそのままグラフにしました
e-Stat 警察庁のcsvファイルをダウンロードしたデーターベースにより、 主な交通手段について、2018年中の交通事故による「年齢層別・状態別負傷者数」のデータを直接グラフにしてみました。

自動車では、乗用中の負傷者数であって運転者と同乗者の区別をすることはできない。歩行中の事故負傷者は学齢期小・中学学齢期に多く、自転車は高校以上の年齢層に多く見られる。20歳以上では自動車利用が可能になるので圧倒的に乗車中の負傷事故が多い。75歳以上の高齢者側では、自動車交通の利用が減るが自転車や歩行は全年齢層を通じて大きく変わらない。80歳以上ではすべての移動手段で減少する。
これを見やすくするグラフとして人口10万人当たりの負傷者数をグラフにしたものが下図である。

自動車交通が出来ない年齢学齢期の自転車+歩行の事故は学齢期に多く、自動車を利用する交通が困難になる高齢者でも75歳以上で自転車+歩行事故が自動車利用を上まわる。
今回は顕著な事実だけを直接示すことにした。
日本の主な通手段別での交通事故負傷者数の実態。
下のグラフは2018年度の警察庁データに基づき、年齢層別の乗用車乗車中の負傷者数に対し自転車+歩行中の負傷者数を比べたものである。

学齢期と75歳以上の高齢者の負傷者比が際立って大きいことが分かる。35歳~44歳までの自動車交通の利益を最大限に受けている世代に比べ、高校・大学低学年の学齢期では9倍、80歳~84歳では8倍となっている。
警察庁はどういう理由で高齢者の運転事故ばかりを目に敵にするのか?、日本の社会全体の交通行政に携わるはずの警察庁。交通事故の実勢数ではなく、運転免許10万人保有者数に換算した事故率、あるいは、過去の事故数との比較で高齢者が増加しているなどを理由にし、総合的観点に欠けている。警察庁は高齢者の運転欠陥を指摘する機関ではないはず、どんなに日本の高齢化が進んでもすべての年齢区分で免許保有者数が同一になることはありえない。
交通事故の負傷者を減らす行政の仕事は、学童期ではスクールバスの運行、高齢者では乗用車の使用をしやすく援助すること。また、横断歩道などでは運転者から見やすい信号や道路の中間地点に安全帯区分を設けるなどは先進諸外国では当たり前の行政の責任事項である。
用いた資料

下のグラフはe-Stat政府統計の窓口(警察庁)のデーターベース2018年から描いた車対車の相互事故で第一当事者となった運転者の年間事故件数を描いたものである。

総体的に運転中の責任の重い運転者の事故件数において高齢になるにしたがって事故件数が減少していることが分かる。これをはっきり見るために65歳以上の高齢者層についてみたものが下図である。

65~69歳層はベイビーブーマーによる人口増によるもので今後高齢に向かって移動し傾斜は緩やかになるとみられる。高齢になるに従って人口の減少と運転免許の保有率の減少、健康上の困難などが事故の減少の主原因であることは間違いない。何れにしても、これが日本の昨年度の運転者事故の実態である。社会全体での交通行政ではこの実勢数が基準となるはずである。
下のグラフは、運転免許保有者10万人当たりに換算した各事故形態別の年齢層分布で、事故件数を対数表示にしたものである。ダイヤマークは各類型ごとに最低事故件数となった年齢層を表した。高齢者一人一人が自身の運転安全性について考慮する問題であり、行政が社会全体の規制根拠とするデータではない。

出合い頭や追突、右折事故は高齢者に多いといわれているが、追突に至っては60~70歳代が最も少ない。いずれにしても20歳代以下の運転者に比べ個人差を考えたとき、年齢による運転の欠陥が際立って多いとは見られない。
このように、実態の自動車交通社会では高齢運転者層は危険視され排除されるべき存在でないのは明らかである。
現在、世界の先進国の道路安全活動の動向は、歩行者や自転車利用者の死亡や後遺症事故を減らすよう運転者だけでなく、関連する行政機関が協力して行う運動(ビジョンゼロ)に取り組んでいる。高齢運転者を排除すれば安全になるといった乱暴で実効のないことを言っているのは日本だけといってもよいだろう。
第一次ベイビーブーマー層では運転免許保有割合が多く、年次とともに高齢に進む移動が見られるだろうがこれは道路需要増であって、非難することは当たらない。さらに、日本の道路インフラに投資し社会資本の蓄積に貢献したのはこの世代であることを忘れてはならない。
世代間の論争にしたくないが わかりやすく間違いを正すために
下のグラフは、日本中で発生する横断歩道中での人身事故で、第一当事者となった運転者の年齢層別件数を1日当たりに換算表したものである。 用いたデータは、e-Stat(警察庁2018年度)である。

これで見ると40歳~74歳までの5歳間隔の運転者が関係した事故件数は1日当たり平均4件ほどの横断歩道上の対人事故件数であったのに対し、85歳上の運転者では0.4人、十分の1でしかない。または、84歳までの運転者の横断歩道上の対人事故件数の総数が1日当たり40件であるのに対し、85歳以上では二日に1件の割であるともいえる。
これをもう少しはっきりさせるために年齢層区分を2群に分けて円形グラフで示したのが下図である。

これが日本での実勢である。以上は運転者の責任の重い事故(第一当事故)の件数であってメディアの報道する死亡者又は重傷者の数とは一致しない。e-Statのデータベースでは歩行者の死亡や傷害の程度の内訳は公表されていない。
「高齢運転者の起こす横断歩道中の悲惨な運転事故が後を絶たない」 テレビやニュースメディアの見出しがいかに興味本位の無責任なものであるのが分かる。
一方、データを持つ警察庁が、メディアのフェイクニュースを利用して高齢者運転免許の更新継続を難しくしたり、無責任な運転免許の返納運動を奨励する意図が分からない。
日本の運転事故(第一当事者)の年齢層別事故分布
下のグラフはe-Stat政府統計の窓口(警察庁)のデーターベース2018年から描いたものである。縦軸は類型ごとの全事故件数を100とした構成率%である。

| ○ 原付以上運転者(第1当事者)の事故類型別・年齢層別交通事故件数(平成30年中) |
45~49歳と65~69歳のピークは第2次および第1次ベイビーブームの人口増によるものである。これを見ると70歳以上の年齢層の事故構成率は年齢とともに減少していることが分かる。これは明らかに、高齢化による人口減少に加えて転免許保有率の減少によるものである。
下の円形グラフは高齢者層区分を75歳以上と超高齢者85歳以上とそれ以下の年齢層の運転者の第一当事者となった構成比を表したものである。

75歳区分では人対車両が9.5%、車両相互が7.5%、85歳以上では何れの事故類型でも1%程度である。
現在警察庁やメディアが問題にしている85歳以上の運転者の第一当事者事故率は、総年齢層事故の1%ほどであり決して交通社会に脅威を与える凶悪運転者層とは言えない。言い換えれば85歳以上の運転免許をすべて取り上げても日本全体の人身事故の減少率は2%程度にしかならない。
高齢運転者が危険運転者層と錯覚するのは下のグラフの様な、運転免許保有者当たりの事故率グラフを警察庁の資料として見せられているからである。これは各年齢者層の10万人当たりの第一当事者数に換算したもので、言い換えればすべての齢層区分間の運転免許保有者数が同じ(10万人)の場合の仮想人数グラフである。

いくら日本の高齢化率が進んでもこんなことはありえない。このグラフは、個人の年齢による運転特性を認識する一つの指数であって、社会全体の交通政策を決定する基礎にはならない。
交通政策の全責任を負っている官庁である警察庁がこんな間違いをことあるごとに広報する意図が分からない。
自動車交通先進世界の趨勢は、歩行者や自転車の重傷死亡事故の減少対策であり、これにかかわるのは圧倒的に多い就業中の運転者である。まだ安全に運転出来る高齢者の運転継続を困難にし、歩行に向かわせることはかえって社会全体の交通事故を増加させることは世界の研究結果でほぼ確定している。
人身事故で運転者を逮捕しなかったことで議論が沸く不条理 逮捕は泥酔・薬物・暴走など危険運転が予測される場合 逃亡・証拠隠滅など 不法行為の予想される場合 それを防ぐためであるはず
我々は人身事故となれば警察が現行犯として運転者を逮捕するのが当たり前と慣らされてしまっているのでは?
危険行為が続発する恐れのない起きてしまった事故。緊急逮捕は、事故で動転している運転者を拘束・情報を絶って警察が用意した供述書に署名させ送検する手法に使われているのでは?
弁護士ナビなどの回答によれば、供述書に署名し有罪を認め送検されば、通常裁判で99%有罪になるという現実。また、
逮捕されても、不起訴となった場合、前科がつくことはありません。しかし、逮捕されたという事実は残りますので前歴は付く事になります。要するに、逮捕という事実があった場合や起訴不起訴の判断を受けた場合には必ず前歴がつくということです。
逮捕は見せしめのための行為のように安易に思い込んでいるのではないだろうか? 車を運転する限り、誰にでも加害者として遭遇する恐れのある人身事故、人間には絶対に過失や判断ミスを起こさないことはありえない。これは人間科学的事実であり、社会のシステムの基本として受け入れなければならない基本である。被害者の不運に加害者も社会的不利益で分かち合うべきとの感情は否定できないが。
メディアも我々も、逮捕しない方に目を向けるのではなく、必要のない逮捕を監視し議論を展開すべきであろう。

https://www.tfm.co.jp/koutsu/index.php?catid=2493&itemid=144642
記事の一部を画像コピーで引用しました。


追記:各国で成果を上げつつある運動ビジョンゼロ、警察庁、道路交通省、地方公安局、地方自治体など交通安全に責任を持つ諸機関は知らないふり。運転者だけに責任を負わせる暴挙、国際化時代、これでいつまで責任回避が続けられるだろうか?
今、世界の自動車先進国で問題になっているのは、歩行者の重傷・死亡事故への対策。その中でも日本は登下校時や高齢者の歩行・自転車死亡事故が乗用車運転事故に比べ際立って多い。この事実を行政やメディアはなぜ無視しているのか理解出来ない。


