オリンピック開催の場合 国内のCOVID-19感染爆発の試算 特にデルタ株を想定して
これから入国するオリンピック選手や関係者に接触しサービスにあたる日本人一般関係者、ボランティア等が感染する可能性は否定できない。外国人はバリア内に閉じ込める企画の様だが、外国人と接触した日本の関係者全員を隔離することは出来ない。また接触者全員を毎日継続的にPCR又は抗体検査など感染検査が出来る体制が計画されていて感染者を隔離できる体制が出来ているとも聞かない。何の具体的な根拠も計画も示さず言葉だけの「安心安全」だけである。
最近イギリスで蔓延のおそれが警戒されている”デルタ株” 感染力が従来のCOVID-19の1.8倍ともいわれている。
ここでは、おおざっぱな仮定として、7月1日に外国からのオリンピック入国者のサービス関係者の感染がもとで、日本国内感染者とその密接関係者の感染が確認された場合を想定して以後の感染拡散状況を試算してみた。
基本とする感染再生産率の日系列の増減は、2020年の7月以降のものと基本とし、2021年7月1日に20名の新感染者を出発点として、感染力を従来の1.2倍、1.5倍、1.8倍の場合について試算しグラフにして見た。

グラフの縦棒は2020年の感染者数実測公表値で、赤線はOWDデータベースの再生産率を基に計算した感染者数である。これと同様の計算方法で、感染率だけを、1.2倍(緑線)1.5倍(紫線)、1.8倍(青線)で示したものである。
7月1日から1ヶ月半余り後8月半ばには、最悪の場合(デルタ株)一万六千人以上の感染まん延が見られる。
オリンピック推進派は、このころにはワクチンの効果が効いてくると云いたいでしょうが、ワクチン先行のイギリスでその効果が顕著に見られない現実がある。
分かり切ったことだがワクチンは特効薬ではない。
補足: グラフに用いた計算式とエクセル・スプレッドシートに展開した離散値の一例

COVID-19 分かり切ったことだがワクチンは特効薬ではない
ワクチンの効果は人口比85%以上の人が接種し、社会に集団免疫が出来、新たな感染の再生産者率が1.0以下になり、それが続かなければ劇的効果は見られない。
COVID-19 世界各国のワクチン接種が及ぼす感染再生産者率減少効果
世界各国のワクチン接種状況はまちまちだが感染者再生産者率とワクチン接種状況とを比べてみた。ほぼどの国も2021年当初よりワクチン接種を始めている。6月20日までに総接種回数では全人口に近い数まで完了した国もあるが日本はまだ20%程度しか行っていない、2回完了者はわずか6%程度。世界で2回の接種を完了した国は多い方でもまだ30%程度である。
ワクチン接種効果は、接種度数で見ると20%以上から見えてくるようである。しかし、逆相関係数を計算するほど顕著に表れていない。その様子を下の組みグラフに示す。横軸は2021年1月1日よりの日数である。データはOWDよりダウンロードした数値による。


下の例は、接種率は多いものの再生産者率に現れていない場合である。

日本とニュージーランドはいまだにワクチン接種率が低い場合である。

イギリスではワクチン接種完了者が40%を超えたが、再生産者率が上昇を続け、陽性者数が増加に転じていることが分かる。これは感染力の強い新種変異株のせいといわれている。

このように、ワクチン接種完了者が40%程度以下では集団免疫効果ははっきり表れていないといってよいだろう。
効果が表れるのは75~85%以上とも言われ、日本ではオリンピック選手関係者の入国には間に合わない。
教育で、科学的思考の理解も訓練も受けたことのない行政担当者の多い日本、言葉選びだけで根拠を示さない「安心安全」の氾濫、空々しさを禁じ得ない。
COVID-19 感染再生産率 公共の交通機関制限は効果が無い様だ
これは逆説でも、奇異をてらって選んだ話でもない。世界に流通しているデータベースを多角的、統計的に比較した場合から。
下のグラフは世界の国、地域の感染状況と日本とを比べたものである。赤色線が日本の場合で、何れの線もゼロ基線にくっついている。究極は下段右の過剰死亡者率である。この場合の過剰死亡者率とは、2019年以前の死亡数統計に比べ2020以降の死亡者増加率を調べ増加分をCOVID-19によると仮定した場合で、アメリカやイギリスでは無視できない値を示している。日本の場合はデータが不十分であるが、統計の信頼度から見て増加は見られない程度であることが分かる。どう見ても日本は感染被害を免れている国である。

ワクチンの接種率も極端に少なく、南アフリカの断片的データを除き世界最小である。これも世界からの隔離政策を今後も進めるならば一つの選択といえなくもないが、オリンピックをやるならば感染の津波がやってくることを覚悟するのが自然だろう。
COVID-19 日本のワクチン接種率 どうしてこんなことに?
1回でもワクチンを接種した人口比。OWDのWebから日本と交流の深い国を選んで表示してみた。
日本は最下位、全期間殆ど0%~10%、どの国より格段に少ない。 やっと最近6月に入って世界平均と並んだ。

https://ourworldindata.org/covid-vaccinations
この現実、その理由を政権は何の説明もしていない。科学的認識を持たない認知バイアスの政治、メディアも含め社会が疑問を感じていない不思議。
結果的に見れば日本の感染状況は今日まで、世界各国に比べ格段に少ない。社会活動の自主規制だけで成し遂げた成果ともいえる。しかし、このことは免疫を持った人口も極端に少ない無防備社会といえる。
ここ1か月以内に人口の70%以上のワクチン接種事業を国家を挙げて成し遂げ、集団免疫が確認できれば世界にCOV-IDまんえん阻止を成し遂げた国として誇れるだろう。
7月末までに70%以上ワクチン接種を終えるとの具体的な説得力もないまま、G7各国首脳に頭を下げて協力を頼むだけで実現を望むオリンピック。
COVID-19 感染死亡者数の5週間先までの試算 日本の場合
COVID-19の感染者の2週間再生者率を用いると、2週間先までの感染者数の予測が出来る。さらに感染死亡者数の日系列は、統計的には感染確認者数日系列から3週間程遅れて追随する。したがって、現時点での直近過去の感染確認日系列のデータから5週間弱、約1ヶ月先までの死亡者数の予測が出来る。これはあくまでも過去の統計的性質が変わらない場合であり、昨今云われているコロナ株の違いによる感染率や死亡率の効果は入れられていない。
下のグラフは上記の原則に従って試算したものである。

この結果では、幸いなことに、日本のCOVID-19感染者、死亡者ともに峠を越え、7月末の死亡者数は日当たり30名程度までに下がるとみられる。
この試算が当たることを願だけである。
平年の季節性インフルエンザ死亡者数とCOVID-19死亡者数
政府統計の窓口e-Statより得た2015年よりの季節性インフルエンザ死亡者数と2020以降のCOVID-19感染死亡者数とを比べてみた。
e-Statは2019までしか公表されていないので、2020以降の季節性インフルエンザのデーダは2018_2019をそのまま用いて描いたものが下のグラフである。赤線はこれにCOVID-19死亡者を加えたものである。

通常の季節性インフルエンザでも年により三倍以上の変動が見られることから、日本では新型インフルエンザ死亡者数は今騒がれているほど大きな社会問題とは言えないともいえる。
ただ、不安な材料は、今年5月の単独で月当たり3000人以上のCOVID-19死亡者数が見られていることである。
日本の感染症による月次死亡者数推移 COVID-19発生以前の統計値との違い
日本政府統計の窓口e-Statでは各種感染症による死亡者のデータベースが報告されている、残念ながら2020年度のデータはまだ無い。したがって2015年から2019年までの5年間の月間変動値から推定した2020~2021年5月までの死亡数にCOVID-19死亡数を加えた死亡者数をグラフにしてみた。
下のグラフでオレンジ色棒がそれで、青色点線が平年感染症推移から求めた予測値、細かい点線は予測値の95%確率限界の上限値である。

新たに発生したCOVID-19感染死亡者の増加は明らかだが、すべての感染症死亡者数から見れば平年の95%統計的限界を僅かに超えた程度であるといえる。2020年度のデータ公表を待つしかないが、社会的感染予防の効果が従来の感染症を減らしていると思われる。
冬季には年度による死亡数の変動は大きく、これを見る限り、日本の場合、新型コロナにより2020年以降著しく死亡者が増加したとは言えない。
ただ、不吉な予感は、今年5月の新型コロナ死亡者の増加である。理由はいろいろ考えられるが現在根拠となる証拠は見当たらないようだ。


