PCR検査数と死亡者数との関係 日本の現状を検証する
下のグラフはPCR検査数とCOVID-19感染死亡者数の関係を示したものである。

人数の規模が違うので、左スケールは確認陽性者数、右は感染死亡者数で、それぞれの推移の様子を見るためのものである。6月末までを第一期感染期、7月以降を第二期とすると第一期では感染確認者数の増加に2週間以上遅れて死亡者の増加が見られている。
下のグラフは、感染確認に遅れて現れる死亡者の遅れ日間隔を22日として重ねたグラフである。第一期感染期ではほぼ一致して見られる。第二期では今の時点では感染確認者の増加に伴う増加は見られない。

次のグラフで見ると第二期では検査数とその結果の陽性者数の増加が一致しているように見える。

しかし、7月以降の検査数と陽性者数の相関のグラフからその線形近似値を見ると比例係数は0.06と小さく、よく言われるPCR検査を増やせば陽性者が増えると云うのは現実の社会現象としての重きを置く根拠にはならない。

ただ、6月以降のPCR検査の陽性率は増加傾向にあることは確かの様で、既感染者が徐々に増加していると見るべきであろう。

しかし、前から書いているように、日本のPCR検査陽性確認者に対する医療ギャップは少なく、感染者の増加にもかかわらず死亡者の日当たりの増加は殆ど見られない。

以上は厚生労働省のデータベースによるものである。一億余りもある日本の人口で、新型ウィルス感染死亡者が日毎5名以下である事実は特筆すべき成果である。
幾度も書いているように、欧米のPCR 検査数に比べ日本の検査数が少ないとの根拠だけを強調するのは全く無意味と思う。

右の映像のような発言は、メディアが見出しに使って視聴率を上げ、政治家がそれに乗ることが分かっていて、社会の関心を持たれることの必要な組織管理経験者のテクニックとしか思えない。これは専門家とは言えない根拠薄弱な論理である。
むやみに、無料でPCR検査が受けられるが、その結果の医療保護対策の無い無責任な政策は、混乱を招くだけで重症者や死亡者を防ぐことができないことは世界の多くの地域での現実の社会がそれを示している。