交通事故 高齢者は圧倒的に年齢とともに被害事故が増加し、運転中の加害事故件数(第一当事者)は減少している。警察庁の事故データベースより見えていること。
不可解な警察庁の「高齢者は排除すべき危険運転者」の認識。
先進世界の常識に反し、日本だけが高齢運転者を危険視し除外をしようとしている。
年齢層別死亡事故に関与した責任の重い運転事故(第一当事者)の死亡事故件数と交通形態別死亡者数を描いたのが下のグラフである。
60歳を境に高齢者側では運転者の関与した責任の重い死亡事故件数が年齢とともに減少しているのに比べ、事故による死者数は急激に増加している。それは、歩行者と自転車の死亡率が顕著に増加していることが原因していることがわかる。その理由は、被害者の層別分布は他の年齢層の加害事故によって起こされているものも含まれ、加害者(一当事故)件数分布とは一致しないからである。60歳以下の年齢層の運転者の(一当事故)死亡事故件数より同年齢層の死亡者数が少ないことでわかる。平均的には20~60歳までの運転者が運転免許を持たない若年層や高齢者層の死亡事故に関わっているということである。
下図は、人身事故被害者数と年齢層別負傷事故に関与した運転者の事故件数分布である。
この場合は60歳以上の高齢者側では責任の重い事故件数と実勢の負傷者数との差は見られない。低年齢層側では実勢の人身事故件数の方がお多い、これは平均的に事故件数当たりの負傷者数が多いと見ることができる。
多様な交通手段による総合的な交通中の路上滞在量(暴露量)の推定は困難である。よく見られる推定量として事故数に比例する値が用いられている。これで見ると、明らかに65歳以上の高齢層では、自動車乗車中の道路滞在量と平行して運転事故(第一当事者)も減少し、高齢運転者が過度に事故に関与している証拠はない。(グラフではその他の事故数は除いた)
どうして死亡事故と負傷事故との間にこのような差異が出るのだろうか? それは高齢者は身体的な脆弱性のため同一程度の人身事故でも死亡に繋がりやすいためである。特に歩行ではこの傾向が大きいためである。
死亡事故数の年齢層別統計は、高齢者事故件数を過大に評価することになる。
このことは、世界の先進国では常識として知られている。