東電福島原発災害から3年目 環境放射能安全評価に 多数の観測点の平均値を使うのは誤り
福島県内各地の環境放射能測定値グラフ http://mamotech.jp
このデータベースにから、福島県いわき市大熊町の各地に設置されている放射能観測値のデータを分析してみた。
用いたデータベースは2012/4/1より2014/2/28日までの大熊町内17地点の日毎観測値である。
下のグラフは、全地点の観測値の度頻度分布である。測定期間2年間余りの間に各地点とも減衰しているが、平均に用いた観測地点間の強度差の方が減衰値より大きいことから、各地点の測定値の傾向を見るために強度度数分布をとってみた。
赤で塗りつぶした棒は平均値を含む区間の頻度、オレンジ色は積算頻度分布が95%になる区間上限値である。平均値より放射能強度の地点が30%もある。
居住者の安全を評価するとき、全観測地点のうち、最も高い地点の5%を棄却するとしたとき、その上限の強度は平均値の約3倍に当たる。
観測地点のリストを見ると、人々の集まる場所に設置されていて、居住者の放射線被ばく危険度を評価するのに適した観測点と言えるが、すべての人がまんべんなくこれらの地点を回って生活するわけではなく、居住地域、生活状態により偏りがあるはずである。このような場合、全地点の平均値は意味をなさない。上のグラフで見ると約30%地点が平均値以上であり、平均値を用いることは過小評価過ぎることがわかる。
もっとも、実生活においては地域を移動するので、特定の観測地点近くに居続けるわけではないという反論もうなづけるが、安全性を分析するとき、危険度の高い地域を無視することは許されず。このような場合、生活圏内の安全評価には、やむを得ず棄却すべき特定の地点を考慮するのが常識であり、特別の理由がなく統計的に同質の場合、よく用いられるのは5%棄却率である。これは上記の場合、平均値の約3倍と言える。
上のグラフは大熊町各地で観測された強度推移のうち、平均値より高い地点の推移グラフであり、縦軸を対数圧縮したものである。
下のグラフは、各地点での放射能観測値が安定した期間である、2013年4月1日を起点として190日間、一日当たりの累積線量(μSv/day)の値を自然対数であらわした日推移である。
この直線近似式の対数減少率をセシウムCs-134(半減期2年:-0.0009.5d)とと比べると、この減衰率より小さいとみられる所もあり、どの程度かわからないがCs-137(半減期30年:-0.000063d,dは日数)が残されているとみるべきだろう。この結果から、雨による流出や地中浸透などによる減衰が加わっているとみるべきであろう。
この結果だけで云えることは少ないが、もっとも汚染が大きい夫沢地区では初期の汚染量が多かったばかりではなく、経時減衰率が少ないとみるべきで。他の放射能の低い地点では放射性核種の自然崩壊率に加え、風雨などによる観測地点周りの物理的な拡散による減衰が加わっているとみられないだろうか。
対数減衰率で見ると、目標とする最終放射線量を災害前の自然環境放射線量の2倍、 0.1 μSv/h、或は 2.4 μSv/day に減衰するまでの年数は、夫沢地区で27年(2040年)、その他の地域では13年(2026年) ~ 20年(2033年) と計算できるのに対し、大熊町全体の観測点の平均(赤線グラフ)で計算すると31年(2044)年と逆に長くなる。これは本来平均すべきではないデータの平均値用いたたための誤りと言えよう。
以下は、今回データを引用した報告書の予測グラフである。0.1μSv/hに到達するまでに、私の試算よりはかなり長くかかる結論となっている。
10市町村が平常値に戻るのはいつ?
(2011年11月6日までのデータで予測・・その5)
