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浪江町の累積放射線量 災害発生時から一年間で20ミリシーベルトの推測 どんな根拠の計算から出るのだろうか?

2011/04/12

政府発表として「計画的避難区域」の設定理由として付加されていたデータ。政府関係機関は積算線量開始期間を3月23日からとしているようだがこの根拠も理解できない。

文部科学省は、3月17日から福島県内80ヵ所余りでルーチン測定をして測定値を発表している。それによると常に最高線量値を示し続けている浪江町の3地点(コード31-33)の空間線量率μSv/hを24倍して日線量率とした数値で、日次累積放射線量をグラフにしてみたのが下の図である。 福島第1及び第2原子力発電所周辺のモニタリングカーを用いた固定測定点における空間線量率の測定結果 :文部科学省

 

浪江町積算グラフB

実測とマークした曲線は、文部科学省が発表を開始した3月17日からのデータを総計したもので、実測値の合計である(方形印)。しかしこれは一つの記録としては意味があるも知れないが科学的には無意味であるが、勝手な推測として以下の結果を捨てられるのをおそれて参考に描くことにした。

放射線量の減衰は初期には急激に起こるのが普通で、放射性核種の大気放出は茨城県の観測局により、3月15日より数回のピーク値を伴って放出されていたことが確認されており、初期の2日間の福島県のデータが無いからと云ってこの間の線量が無いことにはならない。

3月17日からの放射線率がかなり良い対数減衰率を示していることから、15日からの放射線量を外挿して、発生当初からの累積線量を描いたものが推定とマークしたものである(丸印)。 福島第一原子力発電所付近の空間放射線量率の分布と減衰予測の試算 «

これを見ると、放射性核種放出初期から政府が初期基準としている3月23日時点までの積算放射線量だけで、すでに、昨日までの総線量の60%程度に達しているはずである。

政府発表の、「事故発生から1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある」という文章はどこからきたものであろうか。

上のグラフから見てわかるように、政府の事故基準日としている3月23日(縦線)からの累積分だけを見ても、マーク32の地点で15ミリシーベルトを超えている、中間値のマーク23地点では10mSv以下である。このようなことを云っているのであろうか。

とにかく、検証可能なデータと、科学的な専門家の分析なしに、自分たちに都合の良い解釈の上での説明による政策が如何に政府の信頼を損ねているかが彼らには分からないのだろうか。このような進行形の非常災害を”言葉選び”で解決できると思っているのが最大の欠陥である。

事件が終わってしまってから行う刑事裁判での、証拠をはずした弁護技術のみごとな映画シーン見るような政府発表、どうにかならないものだろうか。メディアはこの事を指摘し批判すべきであろう。

11件のコメント leave one →
  1. みゅう@南熱海 のアバター
    2011/04/13 17:09

    市川さま

    radmonitor311から飛んできました。
    僕もこの数字には疑念(疑問ではなく)を抱いています。

    文科省が毎日二回更新している、環境放射能水準(全国)に、一週間ほど前から福島の数字が載る様になりました。この間の数字(uS/h)を単純平均して 24倍して365倍すると、19.7 mSvとなり、ほぼ 20 mSvに近くなります。

    勿論、市川さまご指摘の通り、これらの数字は指数関数的に下方修正していくものですから、この数字よりは低くなりますが「20 mSvと決めれば、福島市を退避させなくてすむ」と短絡的に考えたのではないか?などと思っていますが、あながち邪推ではないような気もします。

    と、昨日ツイッターでつぶやいたら「計画的避難区域の年間20mSvの基準ですが、ICRPおよびIAEAの基準を参考にしています…」と反論されましたので、元ネタを探したら官邸のページでした。
    http://www.kantei.go.jp.cache.yimg.jp/saigai/20110411keikakuhinan.html

    僕が「ICRPおよびIAEAの基準」のソースが示されていませんね?と再反論したら、その人は黙っちゃいました(笑)

    ともあれ、文科省のEXCEL化は僕のほうで原則毎日やっております。よろしければご活用ください。
    http://homepage1.nifty.com/catsforest/nuclear/nuclear.html

    黒澤@南熱海

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