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高齢者交通の確保と安全  OECD/ECMT のレポートから

2007/10/17

OECD/ECMT のレポート:  Aging and Transport Mobility and Safety Issue

この問題の理解には、まず高齢者が生活の為に移動しなければならない移動距離と、交通の手段を正確に把握する必要がある。今日の欧米先進国では、日本も含めて、都市周辺の居住地の拡大が起こり生活のため必要な移動距離が増大している。ライフサイクルによる活動パターンを調べると、 ヨーロッパの場合,地域による開きが大きいが強いて纏めて表にすると。

       一日当たりの外出回数と走行距離

   ヨーロッパ  アメリカ    
高齢者(75 -79歳)   2回   10km 3.5回      38km    
非高齢者 3,5 回     40km   4.7回      83km    

残念ながら日本でのそのようなデータは見当たらない。おそらく地方の生活者はヨーロッパとそれほど違わないだろう。交通手段の選択は以下の三つが考えられるが、高齢者にとってはどれでも同等に利用出来るわけではない。

ノールウェイのアンケート調査によると、交通の困難さの度合いは、1000人前後の回答者の割合(%) で見ると、78歳以上では (女性)

歩行  公共交通機関 車運転
32 (47) 10 (27) 8 (18)

高齢者の長距離歩行困難は、医学的に証明できるはずであるが、この原因で、公共交通機関もタクシー以外はかなりの距離の歩行を伴い、アンケートのような結果が出るのも理解できる。では、上記三つの交通方法の安全の度合いはどうであろうか? 詳細に分析したデータは見当らないが一例としてイギリスの場合

65歳以上の交通事故死の割合を見ると  (%)

  歩行者 車運転 車同乗者
イギリス 49 31 16

日本でもほぼ同様とみられ、歩行による危険度が最も高いことが予想される。このようにして現在報告されているさまざまな科学的データを見る限り、高齢者に必要で安全な道路交通の手段は、以下の様に纏められると思う。

1 高齢者層の起こす運転事故は、他の世代に比べ大きくない。(危険運転層ではない)。

2 現代の欧米型社会では、高齢者も生活の質を保つために道路交通手段が必要である。

3 75歳以上の高齢者にとっては、歩行困難者の割合が加齢と共に増加する。

4 交通の安全度合いを見ると、道路の歩行は高齢者にとって最も危険であると考えられる。

5 公共交通機関もタクシー以外は歩行を伴うので解決にはならない。

6 高齢者は自分で車を運転する交通手段が最も困難が少ない。

7 加齢による通常の運動機能の低下が運転を危険にするのではなく、脳医学的な診断に基づいて運転の適否を判定すべきである。

8  高齢による歩行困難は一種の身体障害であり、車の構造の研究により(福祉車)助けられる可能性が大きい。

9  高齢者は、事故に遭遇したとき、どの交通手段であっても同様に非高齢者より死亡につながりやすい。

高齢者は、加齢によって運動機能が衰えてくるのは避けられないが、それが原因で起ると考えられる運転事故は、欧米先進国では、信号や道路構造の安全設計と改良により回避できることが研究の結果実証されている。

高齢者の増加に伴い、高齢者を道路交通から追い出すのではなく、安全な交通の確保が重要な社会問題となろう。

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