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高齢者運転の安全研究の歴史的経過 OECD/ECMT レポートから

2007/10/10

高齢者運転研究の歴史的経過、最近の報告から

OECD/ECMT のレポートに Aging and Transport と題して131 ぺージの論文が発表されている。その中の Chapter3, Safety of Older Road Users にヨーロッパにおける高齢者運転の研究の歴史を概観している。その内容を以下のように研究の段階に分けて整理してみると。

第一段階 高齢者運転問題の科学的または社会問題の最初の段階の研究は1960年後半から1970前半で、当時は加齢による運転欠陥に注目することにあり、一般の理解は老齢者の運転は危険であるとの見方であった。道路システムの構造は運転者の管理のためのもので、事故を防止するものではなかった。その結果、危険とされた高齢者の運転を禁止することによる安全処置が提案されていた。

第二段階 80年代および90年代の研究は、高齢者の事故原因の正しい理解を得るために、疫学的な分析が主流となり、この結果は重大事故の高齢者の関与が過剰見積もりであったことを示した。 むしろ、高齢層は衝突の頻度の少ない安全運転層と位置づけられた。

第三段階 「高齢運転者」の社会的な常識は再考され、焦点は安全な交通方法に移った。 運転者よりもむしろ、予防手段として、道路および輸送システム、特に道路設計の安全構造の提案に重点が置かれるようになった。

第四段階 老齢学の研究では、老齢の影響は、画一的な年齢との関係より個人差が大きいことが繰り返し得られた。臨床経験では安全危惧に関する主要な原因として、年齢区分よりもむしろ、高齢者の医学的な区分、アルツハイマーのタイプの痴呆、特に痴呆に罹っている高齢者は最も重要で危険度が高い小群として識別され、90年代の研究テーマは危険度が高いこれらの小群に焦点を合わせることに集中した。

 

このように、欧米では、科学的に検証されたどのような統計データでも、高齢者の運転は危険では無いことが証明され、むしろ若年層の交通指導研究が言われ始めている。

 

この論文の40ページ以降に Older road users’ crash trend の見出しで交通事故死傷者の様々な要因での統計データが載せられている。ヨーロッパばかりでなくOECD加盟国であるアメリカのデータも含まれているが日本のデータは見当たない。加盟国リストに日本も載っているがデータの報告はしていないのだろうか。

 

日本の現状は上記の段階のどこに当たるだろうか? 今年の交通安全週間で恒例の「高齢者事故激増」というキャンペーンが見られなかったことから、やっと第一段階が終わったところではないだろうか。

 

Aging and Transport   Mobility Needs and Safety Issues   131ページ

http://www.cemt.org/pub/pubpdf/JTRC/01Aging.pdf 

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