COVID-19 日本のオミクロン 全国47行政区別感染確認者数の日ごと集計値は驚くほど均質である
日本ではCOVID-19の感染者確認は47行政区(都道府県)でそれぞれ集計され、厚生労働省に報告される。これを厚労省はオープンデータとして日毎に公表するとともに2000年当初からの全データをCSVファイルでダウンロード可能なデータべーである。
今回はそれについて分析してみた。各行政区は居住人口が異なるのでそれを標準化するために、それぞれの行政区ごとの2022年6月1日から10月13日までの期間(BA.5)の陽性者の平均値に対する週移動平均の比を「感染確認者指数」として用いた。この期間には期夏季休暇(お盆休み)があり、統計的異常、医療機関の業務縮小や行政の集計事務などの遅れから感染確認者数の落ち込みが見られ、それの取戻しと見られる8月後半の感染確認者増が見られた。
下のグラフはぞれの地域の感染確認者指数を重ねて示したものである。驚くほどに地域依存性が少なく均一であることが分かる。

全国の集計値と東京の感染確認者指数を比べてみたのが下のグラフである。このように日本の感染拡大はほぼ全国同期して起こっていることが分かる。

この関係をはっきりさせるために、東京の感染者指数系列に対する各行政区の感染指数系列との日移動相互相関係数関数を計算した。方法はエクセルのCORREL関数を用い CORREL(東京の日固定配列、それぞれの地域の配列の前後2週間日移動配列)日差相関関数を求めた。
下のグラフ左は東京の日ずらし自己相関係数の日差との関係を表したもので、右は東京と各地域の相互相関係数の最大日を重ねて描いたものである。

得られた各地域の最大相関係数の順位グラフと、最大日の日差の小さい方からの順位を下のグラフに示す。

下の組みグラフは、相関係数の大きい方からの順位で分けて感染指数推移の特徴をみたものである。
特長は、東京との相関が強い地域では7月後半から8月休暇前に感染が増加しているのに対し、相関が悪くなるにしたがい休暇後の感染確認者が増加していることである。
相関係数と日差の計算結果を下表に示した

この表では、感染日が東京より早く発生したのは沖縄と島根の2地域だけであるが、島根については全国との相関係数が低く(0.8以下)確定的に云うことはできないかもしれない。
感染経過曲線は日本全国で2週間程度のずれで同時進行しているが、強いて見れば東京や人口の多い都市地域及び九州の一部地域から伝搬が広がったように見える。
もし、オミクロンA.5株が海外からの侵入で空港のある大都市近郊から始まったとすると、わずか2週間ほどで日本全体に蔓延したことになる。東京、大阪などの人的交流の激しい経済圏での同時感染は考えられなくもないが、こんなに早く全国に感染が行渡るものであろうか?
いずれにしても、オミクロンA.5と推定される感染力の強さと、日本各地の人的交流の大きさが実感される結果ではある。
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