COVID-19 感染者数の終息はウィルスのゲノムコピーミスから起こる統計的寿命による
日本の第7次(BA.5)の感染はほぼ終息に向かっている。今回の感染はBA.5が主力と見てその推移予測と感染者の行動規制が以後の感染増にどのような影響を示すかをシュミレートしてみた。
下のグラフは、OWiD集計表から日本の今回のBA.5感染確認日系列とreproduction_rateを用い、その逆進外挿値から最初の感染者発生日と実効基本再生産数を推定し、それからの感染数の推移を試算したものである。その詳細は、
COVID-19 日本のオミクロン BA.5の実効再生産数の統計的分析と初期感染者発生日の推定
2022/09/19 に投稿した。
下のグラフは、1名の感染者発生時の実効再生産率を用いた感染予測曲線(黒線)と、感染者の社会的行動(接触)規制により基本再生産率を、2%、5%、10%だけ減らしたと仮定したときのシュミレーションである。
行動規制の効果は驚くほど鋭敏で、10%規制しただけで総感染者数は10分の一程度まで減少する。

しかしながら、現実では最初の1名の感染者を見つけるのは不可能である。そこで、全国の感染確認者数が最低になった2週間ほどの期間で新規感染者につてゲノム分析が出来、基本再生産数の際立って大きいウィルス感染者が特定できたとする、もしその時点でこの期間で50名程度になったと見られる確認感染者を行動規制で10%程度減少させた場合。以後の総感染者数は何もしない場合の5分の一程度のなる。
同様の様子を規制時の各段階について以下の組みグラフに示す。

これで見るように、行動規制は早期でなければ効果はなく、感染のピークでは効果が無い。言い換えれば、感染の蔓延近くで規制を行っても感染防止の効果は少なく、社会的、経済的支障は多くなる。
下のグラフは、規制時の感染者数と規制率の関係を示したものである。

以上の結果からはっきりすることは、日本だけでなく世界の先進国で行われた都市ロックダウンや社会的接触制限など、経済活動に大きな支障と損失を持つ政策が感染爆発の頂点近くで行われ、感染拡大防止や収束には役立っていなかったことである。
COVID-19の感染の終息は政治的規制の結果ではなく、特定変異株の自体が持つ統計的寿命によるものである。
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