二つの対立するコロナ(COVID-19)対策論争 解説記事を読んで 日本は「成功事例か?」
欧米のコロナ対策論争「・・・」からの考察 2021/08/16 ,アキよしかわ。 日経メディカルの記事から。
世界のウェブサイト上で医療及び公衆衛生の研究者、医療事者から多くの賛意を示す署名を得ている二つの対立するCOVID-19対策宣言について議論があったことを紹介したものである。
GBD: Great Barrington Declaration ロックダウンに反対し集中的保護(Focused Protection)の手段を提言している。
JSM: John Snow Memorundum ローリスクの若年者を含むすべての感染者に対しロックダウンなどの対策を必要とするものである。
日本では、小規模の特定地域のロックダウンも行っていない。そして死亡に対する脆弱性の高リスクな高齢者をターゲットにし、対象を絞った高度の医療保護に集中した。これはGDB宣言に限りなく近いものである。
また第一波では休校などの処置を行ったが、無差別のPCR検査は行わず、状況的に感染の疑いのある者に限定して検査を行い、陽性者が発見された場合徹底的にそれと密接関係者を追跡して感染爆発の母体となる陽性者の隔離・医療を徹底したことが大きい。
著者は、「日本ではひょっとしたらGBD宣言は成功したかもしれないと思う」と書いているが、それは日本政府のリーダーシップと明快な支持なしに行われたために宣言の効果ではないという解釈ではなかろうか?
私は、日本の状況は高度な知的集団の議論による宣言をまとめその指示で行動したのではないが、現場の医療担当者、組織等の経験に基づいた常識的行動が必然的にGDB宣言と一致した「成功事例」と思いたい。
政府政策の失敗でワクチンの投与こそ遅れたが、この配布システムは高齢者に対する思いやりが深い社会の合意性が混乱なしに実現を見たた証拠でもある。
著者プロフィールの拾い読み。
著者はアメリカで教育を受けカリフォルニア大学バークレイ校の博士(経済学)、スタンフォード大学に医療政策部を設立等、主にアメリカでの活躍歴が多い。意味な議論の参考文献リストも添付されている。