道路交通 旅行モード、性別、年齢別のリスク
これはイギリスの場合の統計データである。運転者の年齢、性別毎の旅行モードの違いによる道路上暴露時間と移動距離についての分析である。交通は、社会的には現実の生活、特に高齢者では生活の質や健康に重大な影響を与えることが分かっている。また年齢や居住地域の違いなど、生活での交通の実態を把握し数値化することが難しいのも事実である。
交通事故死の実態に少しでも近づけるための基本要素としてみて見る。

https://www.itf-oecd.org/risk-travel-mode-gender-and-age
このスピーチで用いられたスライドの一部を参照する。


上記のグラフのもとなっている数値は、道路上の移動距離又は時間を分母にしている。これは性別や年齢層を一律に見たもので、現実にはあり得ないグラフである。
特に、高齢者ではその交通モードの違いも大きい。移動距離、頻度共は年齢とともに減少し、それに比べ移動に費やされる時間はあまり減少しないと見られる。したがって死亡率の年齢層間の比較や上昇は現実社会の交通状態とは違う仮想的なものであるり意味がない。
ここで比較に意味があるのは、同一年齢層間での交通手段(歩行、自転車、車運転)の違いによる死亡頻度の違いである。ここでも歩行、自転車利用は乗用車運転の利用割合は年齢とともに変化するが、年齢層の違うグループと比べるほど大きな違いはない。
自転車、歩行、乗用車運転この3手段ではいずれも共通して最も安全なのは乗用車運転である。
自転車と歩行では男女の差異が大きく、70歳以下の男性では歩行が一番死亡者が多く、女性では自転車が多いように見えるが何れも誤差の範囲では重なっている。
70歳以上では男性の自転車走行者が最も死亡率が高く次いで歩行、女性は自転車歩行共にほぼ同率に死亡が多く、運転が安全であることが分かる。
イギリスをはじめヨーロッパで運転していると、男女の通勤や、観光地でのスポーツ走行の自転車はよく見かけるが、一般道路で老婦人が自転車の前に籠を付け食料品などを入れた生活のための自転車走行中を見た記憶はない。
最終修正12/12日15:30分
日本の場合:
高齢者交通安全には乗用車利用が不可欠 歩行自転車は最も危険 日本の交通事故件数を上げる原因となる
2020/11/30
日本の警察庁や、メディアが高齢運転者が危険と云うのは、高齢運転者を一般運転者と同じ運転モード、運転距離、運転時間で比較した現実にはありえない条件での比較であり、高齢者と若者を同じレーシングコースで競わせる場合に匹敵するような思い込みである。このような場合の高齢者の運転能力の欠陥を否定するつもりはない。
公共の交通機関利用のデータはないが、この場合タクシー以外では移動の目的を達するには歩行が伴い、これを含めた統計が必要である。電車やバス乗車中の安全率だけを云うのはあまりにも無責任である。
何れにしても、高齢運転者が交通社会の実勢として自損、加害ともに死亡に関与した事故が他の年齢層に比べ多いという証拠は全くない。