高齢者交通安全には乗用車利用が不可欠 歩行自転車は最も危険 日本の交通事故件数を上げる原因となる
交通政策の基本は、人口・運転免許保有数・交通目的・移動距離・外出回数等の実勢状態数を基準に行われるべきだ。
警察庁が公表する年齢階級別10万人あたりに正規化したデータ・グラフは、全年齢5年階級層が同じ人口あるいは運転免許保有者数に基づくもので、いくら日本が長寿国であったとしても現実にはあり得ない仮想統計である。社会政策の基本とするエビデンスではない。1)
下のグラフは、警察庁e-Stat 2020年公表の2019年死傷事故数から描いたものである。

年齢階級別事故構成率を見ると、運転免許が取得できない年小年齢層や保有率の少ない高齢者、乗用車交通利用の困難な年齢層の歩行・自転車死傷構成率が乗用車利用に比べて大きいことが分かる。これが現実であり、欧米の乗用車交通先進国に比べ日本の交通事故率を上げている要因である。
日本の高齢者層の乗用車利用状況を、事故の運転中第一当事者になった年齢層別構成率と、乗用車利用中(同乗も含む)に対する歩行中および自転車乗用中の交通死傷者の相関関係を表したものが下の2枚のグラフである。


高齢者層と運転免許や使用可能な車の少ない16-19歳層は乗用車運転ばかりでなく同乗利用も困難な状況を示していて、交通を歩行自転車に頼っている結果事故死傷率が高い事実を示している。
特に、警察庁やメディアが目の敵にしている高齢者層の運転者事故の第一当事者になる割合は少なく、代わりに歩行中の死傷者が多いことが分かる。
再度云おう、上記の2枚のグラフは高齢者層の人口(免許保有数)が少ないので当たり前との声が聞こえる。当たり前の事実が社会では重要であり、政策の基本である。
さらに、タクシーを除く公共交通機関利用を高齢者に勧めることは移動の目的を果たすためには必ず歩行や自転車利用が伴い、これを含めての安全性でなければならい。電車やバスの乗車中だけのことではない。家を出てから目的を果たし帰着するまでの総合した交通安全統計で考えるべきで、この場合無条件に安全とは言えない。
交通安全政策は個人の運転特性分析とは別の話である。
1)高齢者運転事故増加の嘘 同一出生年層における加齢に伴う事故追跡では増加はありえない
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