自動車乗車中の死傷事故は年齢とともに減少している 高齢者の自動車乗車中事故死傷者が増加している証拠はどこにもない
高齢者の自動車事故激増の嘘。
統計的に比較出来る基本は、比較する相互の母集団が初期ベースで同一条件を満たしていなければならない。例えば5歳年齢階級テーブルで、同一年齢層の欄の年次進行につれて母集団の出生年を見ると、1年毎に入れ替わり5年で全く違う出生年層となる。2019年の年齢で見ると65歳の出生年は1954年、85歳では1934年、この間日本の社会は大きな変動期にあり、例えば出生率ではベイビーブーマーと言われる大きな変動がある。このような事実を無視して単純に年次トレンドから交通事故の増加・減少を云うのは意味がない。
e-Statの5歳階級10年間の事故死傷者テーブルでは5年年次毎に同一出生年階級の年齢進行が見られる。2020年2月に公表された10年間の交通事故死傷テーブルから、同一出生年グループの10年後の事故死傷数の減少率を計算し表したのが次のグラフである。

主な交通手段として、自動車と歩行+自転車交通については、何れもこの10年間で事故死傷者数の減少が見られる。特に人口の減少が殆ど無い年齢層35歳~59歳では、自動車事故が半減、歩行者・自転車事故では変動が見られるのの30%台の減少が見られる。
60歳以降では、病死などによる人口の減少が始まり、80~84歳では10年間に人口は23%ほど減少する。しかし、自動車死傷事故の減少率は78%、人口減考慮しても壮年層と変わらないかむしろ少ないといえるだろう。
歩行・自転車事故の減少率に関しては、人口減から見てこのグラフの年齢範囲全体ではでは、ほぼ一定と見ていいだろう。
結論として、2019年の道路交通の実勢状況から見て高齢者を含め自動車交通が最も安全な交通手段であり、10年間で半減していることが実証されている。
高齢者の自動車乗車中事故死傷者が増加している証拠はどこにもない。
何れにしても、日本の道路交通事故は、すべての年齢層においてこの10年間に半減している成果を率直に認めるべきである。