若者と戦争

選抜徴兵登録。同制度への登録は、18~25歳までのアメリカ人男性全員に義務付けられている。大学進学のため連邦政府奨学金を受けるのにも選抜徴兵登録が必須なので、「FAFSA(連邦学資援助無料申し込みの略称)」もソーシャルネットワークでトレンド入りしている。
今から50数年前1967年、私はアメリカのアイダホ州立大学物理学科の大学院に大気光研究と大学院生の研究指導とを合わせて出張していた。私の担当学生はマスターコース、ドクターコースそれぞれ1名で、彼らは、20代前半ですでに結婚子持ちであった。それは、上記の徴兵制度に登録する必要があったからである、当時、大学や大学院在学中は徴兵免除であったが、学部卒業や大学院入学の切れ目などには徴兵される危険性があった、ただ、結婚して子供があれば徴兵されない可能性があったからである。
彼ら二人とは今でも付き合いがるが、どちらも、最初の結婚は離婚、その内の一人は再婚落ち着いた家庭を持っているが、もう一人は、カトリックのため再婚できず、子供を引き取りパートナーと生活していた。
世界的に大学紛争が起こり、1970年に入ってベトナム戦争激化、それに加え、この年代の学生は徴兵猶予が難しくなり不安の日々を過ごすことになった。ちょうどこのころの世代、二人の大統領経験者、息子のジョージ・ブッシュは親父(州知事)の威光で州兵に登録、ビル・クリントンはカナダかに留学徴兵回避していたと聞く。もっとも、学力優秀で大学院に間違いなく登録出来、アメリカにとって重要な才能の持ち主と評価されれば徴兵を免れることが出来た。
1970年後半から10年間ほど、ベトナム敗戦の後遺症、引き上げた帰還兵、石油クライシス、希望の無いアメリカ社会の荒廃世代であった。
私は日本に帰って大学の教員を続けていたが、夏休みを利用して隔年毎にニューヨーク州立大学に出張し、2000年頃までのアメリカの社会変化を見てきた。
若者を戦争に送り出す、政権のトップにとっては格好良いことかもしれないが、これは、社会の荒廃を招く罪深いことを痛感する。