高齢者の交事故致死率 60歳以上で急激に上昇 事故が増加するわけではない 誤った認知バイアス
歩行中と自動車乗用中の交通事故における致死率(脆弱率)について。致死率:死亡数 ÷ 死傷事故数
歩行中と自動車乗車中の交通事故における致死率の年齢層別変化、どちらも60歳以上で急激に増加。事故死者数で交通事故の危険性を強調することは、誤った認識を醸成する。このことは、欧米の公的機関や信頼できる研究機関では常識となっている。
警察庁資料e-Stat 「 h30全事故のまとめ、h30死亡事故のまとめ」より人身事故における致死率を年齢層別に計算しグラフにしたものが下図である。

無防備な道路歩行はすべての年齢層において乗用車乗車中に比べて事故の致死率が大きい。全年齢平均で乗用中が負傷者千人に対し3.5人(0.35%)、歩行中では26人(2.6%)と約7倍ほどである。
高齢者では、年齢とともに身体の虚弱性の進行のため事故に対する致死率(脆弱率)が60歳より急激に上昇する。
乗車中60歳以下では、車の剛性やエアバッグ等の安全装備により、致死に至る重傷事故から保護される効果が高いが、現在の車の構造では高齢者の虚弱性を保護する効果が不十分であると推測される。
いずれにしても、死亡事故件数を基礎にして運転事故頻度を評価することは間違いである。
その証拠として、2018年度の自動車乗用中の年齢層別負傷者数の実勢は下のグラフのようである。これは同乗者も含むため、運転免許のない未成年、あるいは同乗者人数も数に入っている。いずれにしても有職年代では車運転人口が圧倒的に多いからであるがこれが現実の道路交通事故頻度の実勢データである。死亡者分布とは大きく異なる。


警察庁、各地方の公安委員会の広報やメディアの死亡記事頻度を用いて高齢者運転の危険性を強調することは明らかな間違いである。
これは、航空機事故で死亡した乗客数を用いて航空機の安全性を云うようなものである。
道路は運転技術の評価場ではない、また、 特定のグループの運転特性の研究の場でもない。 交通行政は、すべての交通形態、年齢において総合的に見た事故の実勢に基づき立案ざれるべきである。
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