高齢者に処方された血圧降圧薬の降圧形態の一例 私の場合
60歳以降25年間余り、大学病院の循環器科で色々な降圧薬を処方されてきた。病院の機構上又は私の健康状態の変化などの理由により、外来担当医の多数の方々にお世話になっている。そのたびに降圧剤の処方が変わることが多く、多い時には循環器系の薬だけで5種類ほど同時に服用することもあった。
85歳になって薬に対する抵抗力の減衰に伴い、処方された薬剤に関し血圧や脈拍についての影響を監視するために24時間自動血圧モニター(ABPM)を30分間隔で測定記録している。昨年10月からのほぼ1年間のデータを分析してみた。
下のグラフは、血圧(収縮期・赤、拡張期・青)をプロットしたもので、上段には服用した降圧剤とその期間、後半はすべての降圧薬を中止した場合について示したもので、黒線はその平均値である。

平均値で見ると明らかに血圧はワソランと塩酸ベニジピンの服用中は、最新の血圧診療ガイドラインに適合している。降圧薬無しの場合は高血圧の診断基準をオーバーしている。しかし、降圧薬を中断し様子を見ることにした理由は、上紀のCa拮抗薬系の副作用の可能性リストに記されている便秘を自覚したためでる。中止してから明らかに便秘は軽度になってる。
自由生活時血圧は変動が大きいことは知られている。したがって平均値だけではその全容は判断できない。下のグラフは、降圧薬服別に血圧値の記録 頻度を表したものである。何れの場合も平均値の周りに広い出現頻度分布をしていることが分かる。

昼間生活活動期には、当然のことながら運動に伴う血圧変動は大きい。そこで、最も安定した就寝中と起床朝食までの収縮期の血圧について血圧の頻度分布を分析してみた。
下のグラフは、ワソラン40mg朝夕2回、塩酸ベニジピン4mg1回服用時の血圧コントロール統計値。青棒は平均値、赤点線の範囲は95%出現値の上側範囲を示したものである、就寝中は125mmHg以下の正常値に収まっているが、早朝起床時には170mmHgの最大記録が見られる。グレー塗りつぶし範囲は高血圧グレーゾーン。

下のグラフは、降圧薬をすべて服用中止した場合で、明らかに高血圧と判断される。特に起床時ピーク値185mmHgを超えている。

高齢であることから、一般のガイドラインを無理に適用することが良いのか? 医師によっては安静時血圧150mmHg以下ならば、副作用を考えた場合、無理に下げる必要はないとの判断を聞いたことがある。
以上のまとめから、次回の診療時には、今まで処方されたことのない、サイアザイド系利尿薬の試用を相談してみようと思っている。
以上、ご助言があればぜひお聞かせください。