交通事故 犯人捜しでなく、原因に注目しよう
思い込みを乗り越え、データを基に事実を正しく見る習慣。
ただ一つの数字が、とても重要であるかのように感違いしていないか。
極端な数字の比較、極端な話のほうが記憶に残りやすい。
リスクは、危険度と頻度の掛け算で決まる。
下の二つのグラフは、e-Stat警察庁データベースより直接描いたものである。反対とも見える二つの統計グラフ。インパクトのあるのはどちらだろう。第一図は高齢運転者の死亡事故率が加齢とともに急激の増加する。第二図は現実の運転者が係わった死亡事故件数。
おそらく、 受け入れられやすい(記憶に残りやすい)グラフ は第一図であろう。第二図は実勢の数字をグラフにしただけ、当たりまえとして興味を引かないだろう。
第一図の数字はどこから来たものであろうか? 運転免許保有者10万人当たりの事故件数とは、言い換えればすべての年齢層において運転免許保持者が同一(10万人)とした架空の数字である。日本が世界一長寿国で、高齢運転者の増加が続くとしても、全員が85歳以上まで生きて、運転を続ける、ありえない場合の仮想数値である。
社会の自動車運転リスク考えるときには、危険度(第一図)と頻度(第二図)の数値の掛け算で見るべきである。

そしてもう一つ、死亡事故数で行う事故評価で欠けているのが、事故における致死率(脆弱率)である。高齢者は身体的な脆弱性に原因する同規模の事故に対する致死率が高いことである。この事実は、高齢者側での事故数の過剰推定につながっている。
事故データが示す総合的な証拠は、警察庁を中心とする高齢運転者犯罪説は根拠の無い間違いであることを示している。
交通政策立案機構や、規制当局は以下の事項に責任を負う義務がある。
● 犯人ではなく、原因を探ることの方が重要である。
● 犯人捜し本能を利用して責任逃れをしていないかに注意・検証すること。
● 強烈なイメージは頭に残りやすいが、それは例外かもしれないに注意すること。
● 対策の効果が本当に証明されているかを常に気を付け見直すこと。
ファクトフルネス: ハンス・ロスリング、日経BP社。 の書式に倣って書いてみました。
参考
高齢者の交通事故致死率(脆弱率)
2019/07/07
高齢者運転事故 ネガティブなニュースで作られる「思い込み」の間違い
2019/07/17