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高齢者運転事故 ネガティブなニュースで作られる「思い込み」の間違い

2019/07/17

ファクトフルネス*1: ネガティブなニュースのほうが、圧倒的に耳に入りやすい。悪いニュースの方が広まりやすい。

高齢者運転が交通社会に致命的な危害を与えているような思い込みは、社会に受け入れやすく、交通安全管理機関や立案組織はそれを利用して責任逃れをしているように見える。

証拠:

下のグラフは、すべてe-Stat, 統計で見る日本。 h29 年全事故のまとめデータベースを基に描いたものである。

このデータベースでは乗用車の運転者だけのデータは無いので運転中事故の第一当事者となった事故件数の2007年から2017年10年間の5年階級年齢層別・類型別事故、及びそれに関連したデータを用いた。直接表示されていない人口、運転免許保有数等は事故件数の数と人口10万人当たりの表から算出した、集計対象となっている分母となる集団の基本属性として生年歴(誕生年区間)を併記した。

2017年時点で89歳となる生年は1928年であり、2007年で50歳の生年時は1957年である。この期間、戦前から敗戦、やっと貧しさから抜け出す兆候が見え始めた1957年まで、 この間に第一次ベイビーブーマーの人口増 等、多様な時代を背景に育った人達、5年区分の母集団が相互に均一とは言えない。したがってこの分析では、同一生年構成区分について2007年、2012年と2017年のデータを追跡、比較する方法をとった。

第一図: 運転者が第一当事者となった事故件数の生年区分毎の年次変化を示したもので、すべての層で年次が進む(高齢になる)に伴い事故件数は減少していることが分かる。

第2図: 高齢に従い人口が減少するから当たり前との考えもあるが、下のグラフは人口の減少状態を示したもので、減少率は第一図より緩やかである。

第3図: 運転免許保有者数は69歳までは人口減とあまり変わらないが、70歳以後高齢に伴い人口減より大きく減少、免許更新を放棄していることが分かる。

第4図: 運転免許保有者10万人当たりの第一当事者運転事故で見ると、高齢にいくに従い増加が見られる。日本がいくら高齢化が進んでも89歳まで運転免許保有者がすべての年齢層間で同数となった場合の仮想的な場合であり、現実にはそんなことは起こりえない。このデータを用いて高齢者運転を危険視する根拠とし、社会全体の交通安全政策の基本にすることは明らかに間違いである。

しかしこれは高齢者個人についての特性を表したものとしては貴重である。高齢者自身の自立性・健康生活や安全についてのカウンセリングの基礎資料となるものであり、いわば公衆健康等の医学的問題である。高齢者から運転免許を取り上げる公共政策の根拠となるデータではない。

第5図: 乗用車乗車中の負傷者は年齢とともに減少する、これは高齢とともに自動車利用(運転ばかりではなく同乗も含む)が困難になる日本の社会事情のためである。

第6図: それに比べ高齢に従い道路歩行人口の増加により負傷者数は増加する。80歳以上での減少は、道路歩行が困難となり交通量そのものが減るためであろう。

総てのグラフで見える1948年から1952年生年層の増加は、ベイビーブーマーの人口増のためであり、危険運転層ではない。今後この年齢層が高齢層側に移動するため高齢運転者の事故も高齢側に移動することとなる。これは,高齢運転者の危険運転のせいではない。交通需要が増えれば事故も増加するには当たり前、にもかかわらず現状は第5図のグラフのように自動車乗用中の事故は高齢に向かい減少し続けている。半面、第6図のように、歩行中の事故は70歳代まで増加傾向にある。高齢者の乗用車利用をしにくくし高齢者道路歩行の人口増を即す政策は、結果として交通事故を増加させることになる。そして高齢歩行者事故に関与する運転者は圧倒的に多い有職年齢の運転者であり、少数の高齢運転者ではありえない。

*1   FACTFULNESS. 日経BP社発行。2019

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