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ドラマチックな本能に植えつけられた知識は訂正するのが困難

2019/07/06

高齢者運転事故の悲惨なニュース、ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる見方、そして、ネガティブなニュースを繰り返し見せられても、事故の事実が増加したとは限らない。

下の資料のコピーは、警察庁の資料から。

これにより頭に刷り込まされた「高齢者の運転事故の増加」。

上段の2つのグラフの構成率の赤線グラフ、これを見ると高齢者は年次ごとに死亡事故件数が増加しているように見える。しかし事故件数で見れば75歳以上ではほとんど変わらず、80歳以上では上昇しているが赤線ほどではない。また、左側死亡構成比の縦軸は2%から始め変化率を拡大して見せている。高齢化に伴い80歳以上の運転者の構成率も増加しているはずであるがそれは無視している。下段のグラフでは、第一当事者当たりの死亡件数をグラフにしているが。これは、嘘ではないと思うが以下の理由により間違いである。

事実を考察してみる。

OECD加盟国の先進国では常識となっていることであるが、高齢者の死亡率で交通事故を評価することは、高齢者は身体的な脆弱性が原因で死亡しやすく非高齢者に比べ過大になり誤りとなる。

下のグラフは、上記の警察庁グラフの手法に倣ってe-Statデータベースにより事故負傷者数の年次推移を描いたものである。最初の2年間を除けば85歳以上の負傷者数の推移は35~39歳の棒グラフと変わらない。警察庁の広報グラフと反対の結果となる。

にもかかわらず、死亡者数で見ると高齢者が多くなる。この原因を求めるために事故負傷者に対する致死率(死亡者数/負傷者数比)を表したグラフが下図である。

自動車乗車中の場合(青色棒)、60歳上から致死率が上昇し始め85歳以上では全年齢層の平均致死率の7倍ほども大きくなる。これが原因で負傷事故の上昇に比べ死亡事故が急激に増加するのである。

同様にして歩行者事故を見てみると、上図赤色棒グラフのように50歳程から致死率が上昇し始め85歳以上では全年齢総平均の5倍ほどとなる。

自動車乗用が最も安全な交通手段である。

自動車乗車中と歩行中の事故致死率を比べると、全年齢総平均で、歩行中の致死率は乗車中に比べ9倍に近くなる。日本の道路での高齢者の歩行の死亡危険率が高いことが分かる。

これが日本の自動車運転事故率が世界最小を達成したにもかかわらず、歩行者事故では上位30数か国中20位以下となっている原因である。

不可解なこと。

警察庁がどうして高齢者事故を誇大に見せようとして不合理なデータを表示しているかということである。

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