キャブレーターの故障でスロットル解放のままエンジンの暴走を経験して 今から50年余り前アメリカで
車のエンジン故障による暴走の経験
今から50年余り前、1968年アメリカのニューヨーク州都オーバニー(Albany)の州立大学で研究者として働いていた。この年の夏、研究の必要からバージニア州立大学の天文観測所を借りて数週間大気光の観測をした。この大学はバージニア州の西、ウェストバージニアとの州境に近い美しい由緒あるキャンパスの大学である。
観測の一段落でニュ―ヨークに帰ることになり、当時新しく完成したウェストバージニアを北上する高速道路81を通って帰ることにした。山脈に沿った美しい道路で、交通量も稀、リラックスして走行した。走行中アクセルを強く踏んでいないのに時速85マイル(136km/h)程で走行していることに気が付いた。完全に足をアクセルペダルから離しても速度は落ちない。当初、山岳道路でもあり長い下り坂と思ったがあまり長く続くのでブレーキを踏んでみたが速度はあまり落ちない。エンジンの暴走と感じて高速道から出ることにした。広大な田舎道、やっと人家の見えるEXITを見つけイグニションを切って慣性運転で出た、出口に近い飲食店をみつけその駐車場までたどり着いた。見るからに労働者のバーといった店に入り電話を借りようとしたが電話は無いという。カウンターの客の大男がどうしたと聞く、車が故障したので、修理が出来るガソリンステーションを呼びたいと云ったら、「俺がそこまで引いて行ってやるといい」立ち上がってしまった、少し怖かったが彼のピックアップトラックでけい引してくれた。故障は、ガソリンと空気を混合して送るキャブレーター(当時は機械式)のスロットルが閉まらないという、夕方であったので部品が手に入らない、修理は明日になるということで、近くのモーテルまで送ってもらい、翌日修理が終わったところで迎えに来るよう頼んだことを思い出す。
ウェスト・バージニヤは貧しい山岳地帯の州、通常なら通過してしまう田舎、面白い経験をした。翌日修理が終わった車で夜半オーバニーに帰ることが出来た。
現代の電子制御の燃料混合器装置、外見上、アクセルの機械的な故障がなくてもエンジンの暴走はありうる、それを専門の技術調査の報告書もなく。早急に運転者の過失で決着する社会的風潮。あまりにも不合理なよわいものじめではなかろうか。
エンジンの暴走でパニックを起こすのではなく冷静ならば、トランスミッションをニュートラルにするか、ガソリン車の場合イグニションスイッチ(スタータースイッチ)を切ればエンジンは止まる、バスのようなジーゼル車の場合は一概に言えないと思うが、おそらく燃料噴射装置は電力で働くとすればやはりスタータースイッチを切れは暴走はやむのではないだろうか。エンジンが止まると、現在のブレーキアシストやパワーステアリング車では、操舵やブレーキが重くなることが起こり、立て込んだ市街地では危険ではあろう。運転教習所で教えられた正常な車でだけの運転技術では十分ではない。
運転教習: 運転技術だけで安全は守れない、現在のコンピュータ化された車、制御装置が故障した時の異常事態にパニックを起こさない冷静に対処できる知識と異常を想定したシュミレーターなどでの訓練が必要であろう。