歩行や自転車交通の事故致死率は自動車利用に比べて2倍以上であり さらに高齢者では加齢とともに増加する 最も安全な交通手段は乗用車利用である
日本の総合的交通事故死を減らすには、高齢者の乗用車利用をしにくくするのではなく、高齢者に、衝突防止装置や身体を保護を強化した安全性の高い乗用車交通を利用できるような社会政策を進めることである。以下にその証拠を示す。

第一図: 上のグラフはe-Stat警察庁のデータベース1)を用いて自動車乗車中と歩行+自転車交通中の致死率(脆弱率)を算出し描いたものである。方法は、年齢層別状態別事故表を用いて死亡者数を負傷者数で割った%表示である(2017年)、誤差範囲は年間死亡者数の推定標準偏差率の2倍の範囲で示した。
致死率は高齢とともに増加するが、自動車乗車中では70歳以上で増加が始まるのに対し歩行では65歳以上から始まる。これは高齢に伴う身体の脆弱性の増加が路上に直接さらされる歩行や自転車交通においてより顕著に表れることを示す。
下のグラフは、自動車乗用中と歩行・自転車交通との負傷事故分担率を高齢者層の年齢区分について示した相関図(2017)である。自動車利用率と歩行・自転車利用率は逆相関になっていることが分かる。データプロットの上の表示は年齢層区分を表す。(第二図)

各交通形態での人身事故率を交通の路上暴露率(路上利用指数)に比例するとすると、50歳代では70%強の自動車利用率であるのが80歳代あるいはそれ以上では車利用は40%以下でしかなく、50%以上の歩行・自転車交通を強いられていることが分かる。
これと、第一図の交通手段による致死率を合わせて考ると。高齢者の自動車利用が少ない日本の交通事故死者の特徴が分かる。それは、
OECDデータベース2)では、32ヶ国中の交通事故死亡率の少ない方からの順位で日本は、乗用車では一位、歩行者25位、また、総合道路交通事故死順位では日本は25~64歳層では第4位、65歳以上では21位となっている。
日本の総合的交通事故死を減らすには、高齢者の乗用車利用をしにくくするのではなく、高齢者に身体を保護された安全性の高い乗用車交通を利用できるような社会政策を進めることであることは明らかである。