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異常に大きい日本の高齢歩行者の交通事故死亡率 世界の道路交通安全データベースより 

2018/08/18

OECD加盟国の道路交通安全データベース2018が公表された。

特記すべき事実は、日本の乗用車死亡事故率は世界第一の安全率を示していることである(右画像)。半面、歩行者交通事故死率については、日本は乗用車事故死亡率と同等かそれより大きいが世界の自動車交通先進国では乗用車事故死亡率の方が明らかに大きい。これも特異な状況にあると言える。この原因の究明と改善が緊急課題と言っても言い過ぎではないであろう。これを、世界一死亡事故率の少ない日本の安全率を達成した(優秀な)運転者のせいにするのは無責任であり、交通事故防止に役立たない。下線部分はコメントのご指摘により変更しました。

警察庁は日本の乗用車死亡事故の少ない事実を公表したくないようだが、もしこれを取り上げれば、運転免許条件の厳しさのせいだというだろう。しかし、歩行や自転車の事故死亡者の大部分は車との衝突である。この事実と合わせて総合判断をすれば、日本だけが多い歩行者死亡事故は道路や信号施設の不適切な管理による人間工学的な不可抗力事故と見られる場合が多いとみてよいだろう。

下図は交通形態別事故死者率(10万人当たり)を描いたもので、日本だけが乗用車事故死亡率に比べ歩行者事故死率多いのが目立つ。他の3か国はすべて乗用車の事故死亡率のほうがが大きい。

下図は高齢層(>65歳)と中年層(25-64歳)および高齢化率を描いたもので、ここでも日本だけが高齢者の事故死者率が中年層の2倍以上に終始している。他の3か国位は2000年以降両者は殆ど同率である。

日本の道路交通事故の総死亡率を悪くしているのは、高齢者に多い歩行者が危険な状況に置かれているからである。

以上の事実を交通管理機関でありデーターベースの収集機関である警察庁は無視し公表したがらないのはなぜだろう。なぜなら、このIRTADのデータは日本の警察庁が報告したデータベースを国際共通のフォーマットで整理したものであるからである。

上の分析で4か国を選んだ根拠は、日本と交通環境の似通ったイギリス、終生運転免許のフランス、ベルギーとで比較するためである。

運転免許制度については、イギリスでは高齢者は3年毎に運転に支障がある可能性の健康リストに自己判定のチェックを入れ、インターネットなどで申告する義務を課す制度である。日本以外のいずれの国も運転免許保持継続に経費はかからない。私の知る限り、運転免許継続に時間と経費ががかかるのは日本だけである。

日本の高齢者の交通事故死者率が高いのは、不当に高齢者の運転免許更新を難しくし、歩行や自転車交通の人口を増やしているからと見られるが、直接このことを分析できるデータベースが公表されていない。フランスでは、高齢者の運転免許条件を厳しくした結果、運転免許を放棄する人が増え、かえって総合道路交通事故を増加させる結果になったので終生免許に切り替えた実例がある。

高齢者に対する厳しい運転免許更新条件は、かえって交通事故死者を増やす ヨーロッパでのケーススタディー,https://spaceglow.blog/2011/01/19/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8E%B3%E3%81%97%E3%81%84%E9%81%8B%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1%E6%9B%B4%E6%96%B0%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%8B%E3%81%88/

歩行者事故が多いのは、道路安全インフラや信号管理当局の責任事項である。この改善無しにこれ以上の交通安全は実現できないだろう。これは道路施設の安全性に関係する指標として走行距離・車両台数を見ると日本は危険な国の部類になる。

ITF (2017), Road Safety Annual Report 2017, https://spaceglow.blog/2017/12/04/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%81%93%E8%B7%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%94%BF%E5%BA%9C%E6%A9%9F/

2011/01/19

IRTAD Road Safety Database  International Transport Forum.  2018

https://www.itf-oecd.org/irtad-road-safety-database

2件のコメント leave one →
  1. 2018/08/19 20:02

    「世界一事故率の少ない日本の優秀な運転者」は誤りでは?グラフは死亡事故率であるし、一般道の規格と規制速度が遅く、衝突時の速度が低いから死なないだけだと思います。高速域では車体の変形で死傷しても、中低速ではエアバックの普及でより死ななくなり、その傾向は顕著になると思われます。事故件数は逆に多いはずです。

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    • 2018/08/20 00:28

      コメントありがとうございました。30日以内の死亡者統計であることは確かです。日本は実勢速度が欧米に比べて遅いことも確かです。しかし社会における災害として重要なことは、トータルの死亡事故の実勢率です。走行速度や運転技術の優劣を比べているのではありません。「優秀」という表現を使ったのが誤りであったかもしれません。確かにヨーロッパでは郊外の一般道路の実勢スピードは速いのですが、住宅地や学校付近などでは速度規制が厳しく、また危険な個所の横断道路には凹凸を付けて物理的に速度制限をしています。日本ではすれ違いもできないような住宅街道路には安全設備も速度規制標識もありません。このような道路での歩行者事故の統計データを知りませんが歩行中死者が欧米に比べて多い一因ではないかと思っています。蛇足ですが、私はアメリカ、カナダでは3年以上20万キロ以上、ヨーロッパでは北欧スウェーデンからドイツ、フランス、イタリア、スペインそしてイギリス、スコットランド等ラウンドアバウト交差点や標識・言語の違う国で、それぞれ一国あたり最低でも2週間1000km以上の運転経験があり多少の実情を経験しています。あなたの表題「ゆずれ標識・・・」には同感です。右側交通の外国人旅行者が増加している現在、市街地ではロンドンの歩行者標識を見習うべきと思っています。いろいろご意見を今後ともお待ちしています。

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