発作性心房細動 死亡リスクの高い心原性脳血栓症の原因 しかし自覚症状が軽微で気が付かない場合が多い ウェアラブル脈拍計による診療が望まれる
心房細動はもっともありふれた不整脈で、多くの場合無症状で自覚がない。検診や他の病気による日常の診療で心電図を取ることになった時、あるいは24時間ホルター心電計装着で偶然見つかることは多いが、これでは発見率は低い。突発性心房発作は稀に起こり、継続時間が短い場合は数分から数時間で突如収まる。したがって外来診療で見つかる確率は低い。さらに、心原性脳血栓症発症の確率は突発性でも持続性細動の場合に比べ必ずしも脳卒中リスクは低いとは言えないようだ。
最近は、ウェアラブル血圧計(ABPM)、脈拍計(健康管理ウォッチ)、携帯用心電計などが開発され発売されている。心房細動発症時におけるこれらの機器の記録例を以下のグラフで示す。
下のグラフは、ABPM(Contec-PM50)による30分間隔の測定値で、黒色が脈拍数(右スケール)、青色が収縮期と赤色が拡張期の血圧の表示である。ピンクの塗りつぶしは細動と思われる脈拍範囲で、毎分140拍に突然始まり突然正常に戻っている状況が分かる。
下の画像は、エプソンウェアラブル脈拍ウォッチ(PulsenceView)の脈拍記録である。
21時18分(発作の収まる直前)における心電図(オムロンHCG-801):標準位置,胸4)で拍動が乱れている状況が分かる。
このように発作が起こっているときには明瞭にデーターとして表れるが、1か月に1,2回、数時間以内に自然に収まる症例、自覚症状も軽く気が付かない場合も多い。
無症状の心房細動、参考文献:心房細動のトータルマネージメント、編集伊藤浩2014,光文堂。
医療機器として認められていないこれらの健康機器、しかし心拍の異常発見には有効と思われる。診療に活用されるべきと思う。家庭血圧測定の指針第2版、日本高血圧学会学術委員会家庭血圧部会等。