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警察庁の交通事故キャンペーン 三つの重大な間違い 私のファクトチェック

2017/10/26

1 警察庁の道路交通行政の使命は、現実の交通社会において犯罪性のある事故を摘発する機関である。交通事故原因に関する研究機関ではない。

Ⅱ 総ての年齢層において運転免許保持者が一律になることはありえない。運転事故について運転免許保有者10万人当たりに換算し、母集団の異なる年齢層間で比較することは実情の分析ではない。警察庁は仮想社会に基づく行政機関ではない。

Ⅲ 正面衝突における死亡事故のような、稀で少数の偶然現れた事例について取り上げ、統計的に根拠のない事例を普遍的な事実のように云うのは間違いである。

以上の見解に基づいて以下のような警察庁の広報の一例を見てみよう。第1図

平成28年における交通死亡事故について 平成29年2月23日。 警察庁交通局

間違いの要点: これは、すべての年齢層において一律の運転免保有数となる仮想の話しであるとともに、正面衝突死という一般化すべきでない稀な現象を例に挙げ、それを普遍的な結論のように示している。

以下に証拠を上げてその理由を述べる。

運転免許保有数について: 2005年からの10年間の運転免許保有者の推移を見たものが下のグラフである。

2005年に55歳から59歳になった年齢層の免許人口増は、所謂第一次ベイビーブーマー世代での人口増に伴うものである。

日本の社会では、この年齢層(ベイビーブーマー世代)の高齢化に伴う高齢者人口層が進む。このような事情から、この世代の今後の運転免許保有人口を推定してみた。根拠は2015年当時の各年齢層毎の免許保有減少率を基準にしてみた。結果は下のグラフのようで、これは、今後日本の高齢者層の運転免許保有者数の予測値の上限値と言ってもいいだろう。

以上のように、どんなに高齢化が進んでも85歳以上まで一律の運転免許保有者数にになることはありえない。85歳以上になるまで運転免許を更新し続ける健康な人は最大でも50歳代の保有率の20%程度であろう。85歳以上の運転者の社会に与える影響は第一図の5分の一程度と推定され他の年齢層と変わりない。

正面衝突事故について: 正面衝突事故(第一当事者)による死亡者数は、下のグラフにし示すように5歳階級別に見ると年間わずか20数件である(1か月あたり1~2件)、これらの少数例から得られた状態分析は、統計的に見ればただの偶然の結果であると言わざるを得ない。

社会全体で起こる交通の実態は、死亡事故ではなく、圧倒的に多い交通事故負傷者数で見るべきである。

人身事故数: 年齢別負傷者数の分布は実勢の道路需要に比例する量として仮定出来る。

正面衝突事故について、負傷者数を分母とした死亡者数比(致死率又は脆弱率)を描いたものが下のグラフで、警察庁の第一図と比べてほしい。警察庁のグラフは高齢者側では事故に対する致死率の年齢層グラフであって事故の責任関与率を表すものでないことがわかる。

第一図の警察庁資料では、稀で仮想的なデータを選びだし、故意に高齢運転者を危険運転者として強調していると言わざるを得ない。このグラフの下の数値表を見ると小数点2桁まで書き込まれている。高々10数件の離散データの分析からこのような統計結果を得ることはありえない。ただ割合を計算するとき数値が割り切れなかって端数が出ただけである。桁数を多く書けば正確との印象を与える効果を狙ったものか? このような誤りだらけの表を監修し承認した警察庁の幹部は統計学や科学的分析の訓練を受けていない不適切な人物である証拠であるといっても言い過ぎではないだろう。

年間、何千、何万件もある事故の分析でなく、年間360件余りの稀な正面衝突事故死を上げて原因究明的な結論とし、あたかも年齢層別の普遍的な傾向のように言うことは明らかに間違いである。データそのものは嘘ではないといいたいのだろうが、警察庁は運転特性の指摘機関ではない。これは、社会に間違った判断材料を与えることになり高齢者への人権侵害である。また高齢者は身体的虚弱性のために事故が死亡に繋がり安いという国際的に知られている知見も考慮されていない。

日本で最も問題にしなければならない交通事故: 学童の歩行通学中と、高齢者の歩行と自転車乗車中の事故である。

下のグラフは、年齢層別運転者人対車(第一当事者)の事故件数と同年齢層の歩行中負傷者を表したもので、高齢層では運転による加害数より被害数が圧倒的に多いことがわかる。

 

高齢運転者は交通社会の加害者ではなく、歩行中における最大の被害者である。

以上、すべてのデータは政府統計の窓口e-Stat 警察庁発表のデーターベースによるものである。

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