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高齢者層の年齢別交通事故死者数は増加に見えるが人身事故の数で見ると 減少している その理由

2017/02/22

高齢者運転事故のニュース、その頻度に頼る認識の陥りやすい落とし穴。間違ったことでも繰り返し目に入れば”迷信”が醸成される。

政府統計の窓口:「平成27年における交通事故の発生状況」と 「平成27における30日以内交通事故死者の状況」のデータを用いて分析してみた。

 

a)高齢者ほど交通事故死者数が多い。

 

 

 

 

b)高齢者ほど交通事故負傷者数は減少する。

 

 

 

 

c)高齢になるほど身体的虚弱性のため、同一程度の事故でも死亡につながりやすい。

 

 

 

この結果の示すところは、a) の死亡数で見ると高齢者の交通事故が多い様に見えるが、b)負傷者数でみると高齢にいくほど少なくなっている。一般に、交通事故負傷者数は道路利用量(暴露量)に比例する一つの推定量としてみることができ、高齢者になるにしてがって道路を交通する機会が減少することを示している。このことから、a)の死亡グラフが高齢者の事故率の増加を示すものと見るのは誤りであることがわかる。事故件数の減少にもかかわらず死亡件数が増加するのは、高齢者ほど身体的虚弱性のために身体に受ける衝撃(加速度)に弱いとみるべきである。この効果は、高齢者の交通事故に対する脆弱性として知られている。

c) は人身事故における年齢層別致死率(脆弱率)を示したもので、75歳以上急激に上昇していることがわかる。これが75歳以上高齢者の交通事故が急増しているという誤った迷信につながっている原因と思われる。

この事実は、ヨーロッパの交通事故分析の研究では周知のことで、高齢運転者が社会の脅威になるほど重大な存在ではないとされているが、日本の警察庁や地方公安委員会、メディアまでがどうして誤った迷信に取りつかれているのだろう。

下のグラフは、主要な交通手段、自動車利用、自転車利用、歩行について人身事故が起こった場合の致死率を推定して描いたものである。ここで用いた警察庁のデータベースでは、年齢層別の状態別死亡者数のデータが見当たらないので、総人口当たりの状態死亡数を用いて推定した。正確さには欠けるものの、高齢者の歩行中の致死率が年齢とともに急激に上昇している事実だけは間違いのない結果であろう。

高齢者にとって、自動車利用が最も安全な交通手段であり、歩行は年齢とともに急激に致死率の高くなる危険な交通手段であることがわかる。

乱暴な言い方をすれば、75歳以上の高齢者の運転を禁止し歩行に追いやれば、結果としてその数の10倍近い確率で歩行中死亡事故件数を増やすことになる。

警察庁、地方公安局、メディアなどこの事実に無関心な理由がわからない。

今までに書いてきたように、他の自動車交通先進国に比べて日本の高齢歩行者事故死者が際立って多いのは、日本では高齢歩行者が多いことがその最大理由であろう。

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