警察庁の「高齢者の自動車利用による事故の増加」 どこにも証拠の見つからない不思議な真実
下のグラフは、平成27年における交通事故の発生状況 警察庁交通局 平成28年30日 のpdfファイルの4ページの表である。
この表の数値の母体となる人口構成の推移をグラフにしたものが下の図である。第一期と二期のベイビー・ブーマーの二つの山の年次推移がよくわかる。
交通局のグラフ、20-29歳の推移線(緑)は人口構成図の左の四角で囲んだ部分で、これは人口の年次推移の減少を表してみるべきであろう。右の方形の部分では逆に高齢人口の増加を示している。
最初に挙げた交通局のグラフ「年齢層別負傷者の推移」は、負傷者の推移ではなく年齢層の母体となる世代人口の推移を示しているものといえる。
そのためか、警察庁は、各層の人口10万人当たりの負傷率の推移表を示しているが、今度はすべての年齢層が同一人口とした仮想的な統計量となり社会の実情に合わない。いずれにしても統計的な分析の決定的な誤りは、母体となる年齢層の世代が年次が進む毎に入れ替わり5年後には全く異なった世代の人と入れ替わっていて比較の要件を満たさないことである。
同じ世代構成の年齢層について年次推移を追えばこの問題はほぼ解消する。その方法として、同一年齢層母体(5年区分)について、5年後および10年後の追跡をしてみた。それが下のグラフである。
これで見ると、どの年齢層でもほぼ同様に負傷者数が減少していることがわかる。これをわかりやすくするために、2005年を基準にする指数で各層の負傷グラフを描いてみた。
高齢にいくに従い負傷者指数が下がっていくのは、死亡による人口減や健康障害等による交通移動の減少の原因が主とみられる。これが日本の社会全体の自動車交通事故による負傷の減少をしめす現実の情報である。
警察庁の分析「若者の事故は年を追う毎に急劇に減少しているが高齢者層は減少しない、むしろ増加の傾向にある」は事故件数ではなく人口変動のことを云っているのではないだろうか?
警察庁の根本的な間違いは、”高齢者の自動車利用における社会に与える交通災害が他の年齢層に比べ大きいという証拠はどこにも見れれない”ということである。
警察庁の間違ったキャンペーン。これは組織の権力強化のための故意なのか、妄想なのかわからないが!