高齢者運転事故 後を絶たないのは刺激的なメディアの記事であり 現実の事故の実態は年齢とともに減少している
原付以上運転者(第1当事者)の人対車両および車両相互の主な事故類型別・年齢層別交通事故件数(平成27年中)表のp24,25から描いたグラフである。
年齢層別事故数は70歳をさかいに急激に減少していることがわかる。
これが現実の交通災害の実勢を表しているものである。
高齢者の運転者数が少ないから当り前、と云う声が聞こえてきそうであるが、その効果も含めたものが交通災害の実勢値であり、社会全体の交通災害として問題にすべき数値である。
納得できない人のために、上の表を、運転免許保有者十万人当たりの事故数で描き直したグラフが下図である。
確かに高齢者の事故率が大きいことがわかる。しかし、これは、すべての年齢層が同じ運転者数になった場合の仮想的な社会の危険率である。日本がいくら高齢化が進んだとしても80歳以上まで皆が同じ割合で自動車運転をすることがあるだろうか?
70歳以上での事故率の増加がみられるが、その大きな要因は出会い頭であろうか。高齢者は住宅地など信号等安全標識の無い、見通しの悪い複雑な道路を短距離運転する場合が多くなり、このような交通形態では高齢者に限らず事故の確率が大きくなることは統計上知られている事実である。1)
高齢者の運転特性を把握し、高齢者自身の安全のためや、高齢者本人、家族、友人、コミュニティーの心配や運転ができなくなった人に対する保護などの基礎資料としては下のグラフは重要である。しかし、社会全体の交通災害は、高齢歩行者や自転車乗車中の事故死者が自動車利用より格段に大きいことの方に関心を集中すべきである。2)
政府統計の窓口、平成27年における交通事故の発生状況
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?toGL08020103&listID=000001150496&disp=Other&requestSender=search