新聞報道 自動車ブレーキとアクセルペダルの踏み違い
高齢者の自動車事故をインパクトのあるニュースに仕立て、誤った社会的通念を植え付けて来たメディア。
やっと出た、統計的に見た踏み違いによる自動車事故のレポート。朝日新聞中部本社12月26日
それでもまだ分析不足の二つのグラフ。まず大きな間違いは、事故件数の年代順の変化率で事故の評価をする既成概念。これにどれほどの意味があろうか?
① 死亡事故件数に関し、高齢者の乗車中の事故に際しての死亡に至る脆弱率(「同一規模の事故に対する死亡に至る率)。これは日本では社会的に認識がされていないが、OECD加盟先進国の統計では常識となっていて、高齢になるにしたがって死亡脆弱率は3倍から5倍以上と結論付けている論文が多い。上段のグラフ「踏み違いによる死亡事故」はこの事実を実証しているといえるだろう。
② ①の場合に比べ、下段のグラフ「人身事故件数」で見ると、高齢運転者が増加しているはずにもかかわらず事故件数は変わっていない、高齢運転者の事故件数もやはり減少していると判断すべきであろう。次元の違った無意味な比較である。
以上のように、メディアでは、まだまだ科学的な総合的分析には無関心、よりインパクトのある記事に仕上げるために都合の良いグラフなどを選び、勝手な注釈を加えて取り上げることに執着しているようだ。
高齢者の運転人口増に伴う交通事故の増加、これは社会問題だが、高齢者の歩行・自転車事故死者数は運転事故より格段に多い事実をなぜメディアはなぜ問題にしないのか? これに関与する運転者は殆ど一般の(非高齢)運転者、あなた方である。
欧米では高齢者の運転免許を取り上げることに対する、高齢者の自立性、社会的活動の制約や”うつ病”等の増加などに関する医学的研究論文がみられ、運転免許当局もこれらの事実に配慮していることが見てとれる。日本のメディアや交通行政の知的レベルは、高齢者の買い物や医院への通院といった移動の困難さだけにしか認識がない現状と言える。
これらの事実は、私のこれまでのブログではタイトル毎に参照文献など根拠を挙げて記事にしてきました。間違いなどご指摘いただければありがたいと思っています。