交通安全 日本の自動車運転者はすでに世界一の安全性を実現している 総合で世界二位なのは、自転車・歩行者に対する道路の安全インフラが不備なためであろう
[政府統計の窓口
2015年3月19日公表
日本でも、国際標準の事故死者計数のフォーマットに従ったデータベースが公表されたので、世界で一番交通事故死者の少ないイギリスの交通手段別のデータと比較してみた。
ヒースロー空港からハイウェイM4でロンドンへ、ロンドン市内で主要自動車道A4に乗り換え市中心部に向かう幹線道路。ハロッズデパートメントの前の歩道信号。
下のグラフは、2012年から2014までの期間の各国のデータベースから描いた、人口10万人当たりに換算した年間事故死者数のグラフである。
人口は 総務省統計局 男女,年齢5歳階級別人口
http://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htm を用いた。
結果は、乗用車及び自動二輪等の交通利用では日本が一番少ないが自転車や歩行などの交通では日本が際立って多く、総合ではイギリスの事故死者数が最も少ないことが分かる。次いで日本ということになる。
日本が自転車や歩行の安全を実効ある政策で向上させれば世界一安全な道路交通の国になるだろう。乗用車乗車中(運転または同乗)の事故死者が世界一少ないことから、日本の運転者が歩行者に対して乱暴で人命軽視の悪者運転者ではないことは確かである。
下の二つのグラフは、65歳以上とそれ以下のグループについて、人口10万人当たりの交通事故死者数をイギリスの場合との差異を表したもので、負の数はイギリスより少ないことを示す。
この二つを比べて最も目立つ特徴は、日本の高齢者の自転車、歩行者の事故死が際立って多いことである。
しかしながら、高齢者でも、乗用車乗用中の事故死者数はイギリスよりも少なく、世界一の安全を確保している。これは日本の高齢者の運転免許保有率が少ないこともその一因であろうが、高齢者運転が社会に危害を与える存在でないことは明らかであり、むしろ被害者層である。
OECDに公表している日本の交通安全計画の目標、「世界一道路交通の安全な国に」は歩行者(自転車)を除けばすでに達成している。
日本ではなぜ歩行者の事故死者が多いのか? 科学的な事故原因分析に基づいた横断歩道の信号や安全設備などが皆無に等しいからであろう。歩行者の多い西ヨーロッパ諸国の市街地や住宅地の例を参考に整備すべきであろう。
いつまでも、交通弱者保護のお題目を唱え、運転者にすべて事故の罪を着せ、やたらと注意標識を増やすことで日本の自転車や歩行者の事故死者を減らすのは限界に来ていると理解すべきであろう。
日本でも外国人旅行者が増加している今日、特に市街地の歩行者用道路標識を国際化すべきであろう。
ロンドンの横断歩道では、道路中央に安全地帯があり、横断に入る直前に片側別々の歩行者信号と路面には右または左の注意すべき方向の指示が書かれている。これは、ヨーロッパ大陸が右側通行であり、それらの旅行者に対する事故防止の為であろう。