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ノーベル物理学賞の快挙と日本の研究環境の変遷

2014/10/13

誇らしい事であり、それぞれの学者としての業績の評価を認められたものであるが、日本の研究環境60年間の変遷を知るものとして感慨無量である。

各受賞者の経歴及び、参考資料として国家公務員と民間企業等の給与等を時系列に並べて表にしてみた。参考資料はデータの条件が異なり比較は無意味だが時代考証として転記した。

ノーベル賞2014経歴A

ノーベル賞2014経歴B

国家公務員の初任給の変遷. 人事院。

http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/kou/starting_salary.pdf

民間給与実態統計調査結果 1年継続者の給与 3-

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

赤崎教授 が卒業された1952年ごろの国家公務員の給料がいかに低かったか。

一例としてわたくしが岐阜大学助手でアメリカの大学に出張留学した時のアメリカでの給料契約書の一部を下にコピーしてみる。当時出張扱いで日本での給料は支給されていた。

1967年当時私の助手の給料は二万円台であった。出張中の給料はそのまま預金されていて2年半で75万円程度であったと記憶する。

給料アメリカ大学1967

給料SUNY1969

当時アメリカドルと日本円のレートは1ドル360円の固定レートであった。

これを月割りにして日本円に換算すると19万8千から23万4千円になる。日本(国立)とアメリカ(州立)の大学でこんな格差があった。貨幣価値の評価は生活水準の違いによるので、為替レートだけでは比較できないが、生活費はアパート代を含め給料の半額以下で済んだ。渡米して3か月ちょうど、同じ物理学科を退職する教授が故郷へ帰るので車がいらなくなり450ドルで譲り受けた。当時の月給換算550ドル以下で買えた。日本では大学助手の給料ではだとえ中古車でも考えられない時代、私の最初の運転免許はアメリカで取った。

この時代、社会的に給料が低かった代償として? 大学に職を得れば自由に自分の好きな研究に没頭する自由が保障されていた。

そんな世代と、それぞれの研究環境の異なった3人の研究者の共同受賞、改めて考えさせられる。

研究業績では足元にも寄れない私であるが、自由な研究が許された最後の世代といえよう。現在、研究経歴を持たない官僚主導の文部科学省の政策は、科学研究の基礎を破壊する心配をぬぐえない。

アメリカでは、大学に関する連邦政府の権限はなく、州立大学といえども予算上の制限があるものの、研究の独立性が確保されている。多くの教授はテニュアーといわれる制度で終身雇用の保障がされている。私の知人、ニューヨーク州立大学の教授、純粋基礎物理学の課題を一貫して研究を続け80歳で退職した。

日本のアメリカをモデルにしたかに見える官僚主導の研究政策、多様性を認めず一辺倒の狭い知識で画一的な行政をしようとすることの弊害が心配される。

追記 10月16日 2014

1960年以前、アメリカの教育系大学(州立大学)では教員は給料が低く夏休み2か月(管理職でない一般教員は年10ヶ月契約)夏休みはアルバイトしたという話を聞いた。1960年以降東西冷戦が激化し、ソビエトに負けられないという機運から、特に自然科学・工学系の学部・学科が続々増設され、教員の需要増とともに待遇もよくなった。それでも1967年当時年収一万ドル以上の人は少なかったと聞く。

教授の給料は年功序列ではなく、学外の各種研究助成財団から研究費を持ってくる人ほど高く評価された。私宛ての手紙にあるN.S.F.(連邦政府科学財団)もその一つである。研究費には、責任教授の夏休み2か月分の給料や、成果出版費や出張旅費、チーム研究者の人件費や大学院生をハーフタイムで研究助手などにする経費もふくまれ、大学に事務手数料も入る。大学にとっては直接支払った教授の給料以上に儲かる存在にもなった。

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