都市道路での交通事故死者の年次変化 日本とイギリスでの比較
下のグラフは道路状態の違いによる交通事故死者の割合を示すもので、日本だけが都市での死亡割合が郊外道路より多い特徴的な状態であることが見られる。
http://internationaltransportforum.org/Pub/pdf/14IrtadReport.pdf
この原因を探るために、都市の人口集中化は世界中で起こっている共通の傾向であるが、日本と地形的な国情が似ている自動車交通先進国イギリスと比べてみた。下のグラフは、都市人口の変化と都市での事故死者の割合を年次別に比較した相関図である。
http://esa.un.org/unpd/wup/CD-ROM/Default.aspx
File 2: Percentage of Population at Mid-Year Residing in Urban Areas by Major Area, Region and Country, 1950-2050
これを見て驚いたが、日本ほどではないがこの期間に都市人口が増加したイギリスでは事故死者数が減少している逆相関になっているが、日本では減少していないか、むしろ正の相関と見るべきであろう。
この結果だけで理由はわからないが、イギリスでは都市の交通事故死の減少に実効的な効果を上げているのに対し、日本では効果が無かったことだけははっきりしている。
都市道路での被害者が歩行者や自転車利用者であることを合わせてみると。日本ではそれらの「交通弱者」といわれる人たちに対する安全対策が「掛け声」だけで効果を上げていないといえる。
前に書いてきたいくつかの私のブログ記事で示したように、日本では、各種注意標識は氾濫しているが、実効のある安全標識や道路の安全設備が無いということではないだろうか。
お祭り騒ぎのような春秋の交通安全週間をやって運転者に注意や圧力をかけるだけで実効がないことをこのデータは示していると極言できる。20年一日のごとく無駄な交通安全関連の予算を浪費しただけの証拠でもあろう。
イギリスの例は、都市交通の安全性向上に実効のある方策がある証拠といえる。それを怠ったのは日本の道路管理行政の誤りといえる。
その証拠に、郊外での日本の事故死者率は世界で最も少ない。どのデータベースを見ても現在の日本の運転者は世界で最も安全運転を実現している。行政管理者はその事実を道路の安全管理の出発点と認識し、効果のない無責任なアッピールに過ぎないキャンペーンをやめ、科学的で合理的な道路構造の改善や標識の研究と設置をすべき責任がある。
追記
高齢者の交通事故―序ー 山田 晴利
http://www.itarda.or.jp/ws/pdf/h25/16_01jo.pdf
この報告者では、市街地ロンドンを例に日本の市街地の物理的な速度制限装置の導入が進んでいないことを指摘し、ロンドンの細い街路の写真を示し、日本の安全設備の不備を指摘している。
残念ながら政府補助金によるこれらの報告書は、交通行政に遠慮してか道路管理やインフラ改善の責任には触れず「運転者に対し歩行者優先する」といったメセージの効果については検証していない。