世界のデータから見た日本の交通事故死者の現状
下の地図は OECDの Road Safety Annual Report 2014から転載したものである。
http://internationaltransportforum.org/Pub/pdf/14IrtadReport.pdf
これで見ると、今や日本の自動車交通は、世界で最も安全な国イギリスや北欧者国に次ぐ安全性を達成した。
しかし、このデーターべスの内容を分析してみると、異常な日本の現状が見えてくる。下のグラフはOECD加盟各国の2012年データより、歩行者と自転車利用者の交通事故死者と全交通事故死者との割合を計算して示したグラフにしたものである。
グラフ1
一目でわかることは、日本はとびぬけて大きい、このデータでは示されていないが日本では高齢者の歩行・自転車利用者の事故死者は、全体の50%近くになっている。それを除けばドイツあたりと同列になろう。
それでは日本の自動車運転者は横暴で無法な未熟運転者であろうか?、下のグラフは交通事故死者の内歩行者・自転車を除いた自動二輪車や乗用車トラックなど動力を利用する道路交通での死者率を世界で比べてみたものである。
グラフ2
日本の運転者は世界で最も成熟した安全運転者の国イギリス、オランダと同列である。
それでは、日本の道路交通での乗用車利用状況を見てみよう。先ず自動車の国民普及率は下のグラフのように世界の先進国では中位である。
グラフ3
グラフ4
登録車10万台当たりの事故死者率も中上位である。
ただし、車1台当たりの年間走行距離は最下位である。これが事故の少ない理由であろうか。
グラフ5
それを見るために、平均年間走行距離と車10万台当たりの事故死者数の相関を示したもので、走行距離が大きくなれば事故死の確率は大きい傾向にあるが、それだけの原因ではないことをこの相関図から読み取れる。
グラフ6
残念ながら日本は走行距離は最低であるが走行距離当たりの死亡事故率は最低ではない。
以上、日本の特殊性を取り上げると、
① 道路歩行者・自転車利用者の事故死率が異常に高い。
② 歩行者・自転車を除く自動車事故死亡率は世界一少ない。
③ 車1台当たりの年間走行距離は世界で一番少ない。
④ 国民一人当たりの車の登録台数は世界で中位である。
考察
自動車乗車中の事故死者率が世界一小さいことから、日本の運転者は世界で最も安全な運転者であるといえよう。これは、外国を運転してわかるが、日本の運転は穏やかで闘争的ではなく、運転速度も遅い。
このことから、歩行者・自転車利用者の事故死者が多いのは、運転者のせいとして考えるのではなく。歩行や自転車利用で移動しなければならない社会的状況、特に高齢者の自動車利用が少ないこと。したがって高齢者の歩行者・自転車利用が多く、それに対して道路の安全インフラへの関心がないことが大きな理由であろう。
また、警察の交通監視や国土交通省の道路インフラが、幹線自動車道や自動車専用道路に偏重し、歩行者事故の多い狭い生活道路に及んでいない。たとえば生活道路での安全設備や速度検挙を見たことがない。
欧米では、住宅団地には、速度規制のためのバンプ(道路に凸型の段)を作ったり、速度規制標識もあり、警察の速度監視や検挙もおこなわれている。上スペインの新興住宅地。
交通安全機関行事。相変わらず運転者を悪者呼ばわりして注意を促すのではなく、世界一の安全運転を獲得した現在、歩行者や自転車の事故死者を運転者のせいにするのではなく、道路の科学的なインフラに向けるべきである。
欧米を運転して、日本のように、いたるところにお祭りのように交通安全のぼりを立てている風景は見たことがない。