公共の交通機関の利用ははたして安全か EUのレポートから
各種交通機関の安全性についての総合的な統計レポートを見つけた。
この報告では、実際の交通における複数の現実の利用モードにおける考察もしている。
TRANSPORT SAFETY PERFORMANCE
IN THE EU A STATISTICAL OVERVIEW
European Transport Safety Council 2003
http://www.etsc.eu/oldsite/stats.htm
の12ページの表である。リスク評価についてはETSC Report ”Exposuere data for travel risuk ssesment”(1999).
この表から歩行(km)のリスクと等しい各交通手段での移動可能な距離を試算してみたのが下表である。
現実の交通では、公共交通機関だけの単独利用で移動目的を果たすのは不可能で上の表は仮想的なものである。
しかし、しばしば行政ではこのようなデータの利用が見られる。
想定される交通モードによる比較
ここでは、自動車運転による交通と、公共の交通機関の利用による移動の現実の交通に近いモデルを想定して比較した見た。
個人の運転による自動車での移動については、目的施設までの乗車前後の歩行距離を100mとしたリスクを基準として他の交通機関のリスクを計算した見た。
目的を達成するまでの総移動距離、5km, 10km, 20km に対し、公共交通機関を利用した場合、乗車前後の歩行または自転車利用の距離が200m, 500m,1km, 2km, 5km であった場合についてそれぞれのリスクを表にしてみた。
これを見ると、バスや鉄道を利用する場合、乗車前後の接続歩行距離が全移動距離の10~15%以下の場合には自動車運転より安全である事が分かる。
自宅から駅までの距離や、先方の駅から目的の施設までの歩行距離が全移動距離の15%を超える場合には、自動車運転による交通の方がリスクが小さいことが分かる。
例えば、高齢者が自宅から5km程離れた買い物に出かける場合を想定してみよう、自宅からバス停までと先方の停車場から商業施設までの歩行距離の合計が500m以下であればバス利用の方が安全と云えるが、こんな環境で生活している人はどれだけあるだろうか?
20kmの距離を電車で通勤している人の自宅から駅までの距離が2km以下の居住環境にあり、駅まで徒歩で利用出来る人はどれだけあるだろう。通勤に駅まで自転車や軽自動2輪を併用している人は明らかに自動車通勤よりリスクが大きい。
ただし、この統計には自動車運転者が、他の車や歩行者に傷害を与える事故の可能性のリスクが入っていない欠点がある。
この統計はEU地域の平均的な状況でのもので、特に交通の激しい危険な場所でのものではないことにも注意が必要である。
交通安全に最も効果のある改善は
歩行者や自転車に安全な道路インフラの構築だけが最大の課題であろう。「公共交通の利用を」、「交通弱者保護」と監督官庁や警察が御題目を唱えるだけでは何も変わらない。
日本の場合
一般に市街地でのバスや鉄道の駅は複雑な交通の錯そうした環境にあり、EUの統計とは必ずしも一致しない。それらの場所での統計の公表が望まれる。