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① ”高齢者の責任が重い運転事故件数の年次増は、高齢者運転が危険なのではなく、高齢者運転人口の増加の結果である”
② ”高齢者の運転免許を制限し、より危険な歩行に追いやることはかえって高齢者の死亡事故を増加させる”
③ ”高齢者の運転は高齢者の尊厳と生活の質を保つために必要不可欠であり、また一番安全な交通手段であることが統計的に証明されている。これを間違った理由で阻止することは人権に関する重大な犯罪である”
④ ”非科学的な思い込みや行政組織の拡張・予算獲得のために都合のよいデータだけを強調し誤った意識を一般に与える行為は犯罪である”
⑤ ”メディアはしばしば、高齢者の特異な事故を、さも一般的であるように間違った印象を与えるコメントを付けて記事にする”
Ⅰ. 運転免許保持者が第1当事者になった事故の統計。
[1] 政府統計の総合窓口 平成24年交通事故発生状況
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下のグラフは、この文書のP21.の年齢区分の表から10歳毎に調整して描いたものである。
これをみると、70歳以上の高齢者が遭遇した責任の重い(第一当事者)事故件数が一番少ないことが分かる。これは高齢者の免許保有者が少ないことが大きく作用しているが、これで分かることは、実勢の交通状態での高齢者運転者が社会に危害を与える存在でないことがはっきりしている。
警察庁運転免許統計によると、2011年で70歳以上の高齢者の全年齢免許保有者に対する保有率は4.2%、今後この比率は増加すると考えられ、社会の重要な問題とする意見をよく見る。このグラフでも70歳以上の事故数が増加していることが見て取れる。これははたして本当だろうか。
下のグラフはそれぞれの年齢区分での免許保有者10万人当たりの事故件数の年次変化で、 資料[1]の p22表のデータをグラフにしたものであり、各年齢層とも本質的なパターンに変わりはなく、共通して減少している。これを見ると確かに75歳以上の高齢運転者は壮年の運転者層より責任事故(第一1当事者)が多いように見られ、変形V字型の典型のように言われている。
しかし、事故件数で見ると、70歳代では30歳代と変わらず、75歳以上でも20歳代より少ない。高齢者運転が際立って危険であると云う結論にはならない。
Ⅲ 人口当たりの死傷事故統計
運転するしないにかかわらない人口当たりの交通事故による死傷件数の年齢層分布についてみると、各年齢層10万人当たりで見た場合、下図のように、20代以上では年齢とともに減少している。これを見ると死亡数だけは高齢に行くに従い増加している。
縦軸を対数で表したのは事故件数全体と死亡事故数との関係を同時に見たかったためである。
この場合は歩行者や自転車など道路交通全体の事故件数であって、このグラフは道路交通の場面で高齢者の死亡確率だけが年齢とともに増大していることが見られる。
歩行中の高齢者の交通死亡件数が歩行中の全死亡事故の半分近くあると云う統計結果もあり、また高齢者は同一規模の衝突事故での死亡確率が2倍以上あることも統計的に知られている。
Ⅳ 歩行や自転車は最も危険な移動手段
下図は全事故死傷者に対する歩行および自転車利用の死傷事故割合を示したもので
自動車による交通が利用出来ない15歳以下と、運転免許保有者の割合が少ない75歳以上が際立って歩行・自転車の事故の割合が多いことが分かる。これは、交通を歩行や自転車に頼っていることにに原因している。
このことから、学齢期の登校に、歩行や自転車による交通を減らすことが交通安全の達成に最も効果のあることであり、高齢者では、運転による加害事故の確率は高齢者層も他の年齢層と変わりなく、交通手段を歩行または自転車に切り替えることによる事故死の危険性が大きいとと見るべきである。
Ⅴ 参考
下図は2011年度の年齢別運転免許保有者数のグラフで、この分布は今後高齢者側に移動していくといられる。従って高齢者の事故数の増加は運転者数の増加による自然増であると云える。
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