日本の高齢者の年金収入の充実に伴い 高齢者のいる世帯の形態の変遷
総務省統計局・日本の長期統計系列>第2章 人口・世帯のデータ表を基に分析したものである
http://www.stat.go.jp/data/chouki/02.htm
年金制度が徐々に世帯に浸透し始めた1983年から15年あまり、2000年には65歳以上のいる総世帯の74%が年金収入を得られることになった。
それに伴い、高齢者と同居世帯が減少し2000年には37%となったのに反し、高齢者のみの世帯は65%に達し、まだ上昇のトレンドが見られる。これは、家族として親の生活資金の負担を子が直接負担しなくてもよい社会になったと云うことになる。
公的年金としては公務員の恩給制度しかなかった1980年当時、高齢者の70%は親族と同居していた。これは、主として同居の長男夫婦の収入と主婦の献身的な世話に扶助されて生活していたと見られる。云いかえれば長男以外の核家族は実質的に高齢者の経済的負担を負わなくてもよい社会であった。
当時の30%程度あった高齢者のみの世帯の収入源は分からないが、蓄積資産や個人経営からの収入で生活していたと見られる。
それに比べ、社会保障制度による年金制度は、云いかえれば生産世代の全員で高齢者の生活を公平に見る合理的制度と云うことがいえよう。
新聞などで見る、労働期間中の社会的年金の積み立て金の総額額を世代別に比べ、現在の労働世代が不公平だと云う議論は、社会的年金制度が充実する前の親の生活をだれが負担していたかを忘れた”歴史認識の”欠如と云える。
もちろん1980年代前の高齢者は、現在の高齢者のように質の良い生活や医療を受けていないのは事実であるが、これは、当時の勤労世代の生活の質も現在に比べれば劣っていたこともあわせて考えるべきである。
以上の分析は社会科学の面から見れば素朴で欠点の多いものであろうが、年金の積立総額を世代別に比べて損得を云う官僚やそれをうのみにするメディアよりはましであろう。統計をただ表にするだけでは科学ではない。
もっと悪いのは、しばしばみられる、政府やメディアのキャンペーン記事で、一部の自論に都合のよいデータだけを取り上げ証拠のように利用することである。