自動車損害賠償責任保険審議会の議事録 質疑応答を読んでⅡ
第131回 2013 議事禄からの抜粋 http://www.fsa.go.jp/singi/singi_zidousya/gijiroku/20130109.html
【藤川委員】 藤川謙治 日本医師会常任理事
先ほど料率算出機構から詳しい説明がありまして、非常に改善してきたという意識を持っております。我々日本医師会としては、被害者救済のために、可能な限り後遺症の残らないように、短期間で治癒にもっていくのが責務だと考えております。
問題は、軽症が9割を占める交通事故において、症状固定をするときに、医療機関で、被害者意識の強い患者さんたちに対してどうやって症状固定、治癒の状況にもっていくかいつも難渋しているところです。
後遺症診断書を書くのが1つの最終的な症状固定の区切りになるのですが、軽傷の場合に自覚症状が多くて、後遺症の判定にあてはまらない場合が多いのが現状です。軽傷の頸椎捻挫等においては、ほとんど自覚症状が主訴をなすことが多いので、その時点である程度の期間、裁判の判例で言えば、数カ月の間に症状は固定します。その時点で症状固定の診断を医師が書くのは、ベテランの医師であっても、特に整形外科医であっても難しい場合があります。
医療機関に来ることによって、最初の初期症状によって、見込みに関して予測の診断書を書くわけです。例えば頸椎捻挫の場合は、普通は1週間ないし2週間の通院安静加療。神経症状がある場合、入院する場合でも、加害者の責任問題もありますので、そんなに長期間、2カ月、3カ月という診断書は書かないわけです。まず短期に書きます。もちろん治療自身はそれより延びても構いません。医療現場では、頸椎捻挫の症状固定が遷延しないように努力をしているところであります。
医業類似行為等に患者さんが流れる場合は、どうしても施術の期間が長くなってしまいます。そこでは症状固定になっても後遺症診断という手続きが使えないわけです。後遺症というのは、最終的に一時金で自賠責保険から、慰謝料、休業補償と同じように払って、その資金によって、今後自分の疾病として、後遺症として健康保険等を使って治療を続けていくことができるわけです。医業類似行為、はり、灸、マッサージ、柔道整復師も含めてですけれども、症状固定するシステムがありませんので、原則論として整形外科医ないしは脳神経外科医、脳神経内科でもいいですが、頸椎捻挫に関しての症状固定にもっていく場合に、軽傷であっても初診から医療機関に必ず受診をさせるべきだと思います。
例えば先ほど話がありましたように、物損であって、数日後に頸椎の症状が出る場合があります。そういう場合でも、必ず医師の診断を受けるとともに、専門医である整形外科医ないしは脳神経外科、脳神経内科に受診をして治療を開始する。そのことによって症状固定もスムーズに行くし、必要であれば後遺症診断も受けられ、被害者である患者さんの損害をきちんと補填できると考えております。今後とも監督官庁からも警察に関しても、事故証明等を出す場合は医療機関を必ず受診するようにという指導をしていただきたいと思っております。以上です。
【藤川委員】
先ほど、社費の見直しについて、73億円、前回、改善したということで、今後もしっかりそういう無駄な費用を出さないようにしていただきたい。
もう一つは、やはり交通事故自身が、軽傷化し、死亡事故が減り、件数が減っているにもかかわらず、支払保険金が減らずに8,000億円前後で長期(10~20年)間推移している。そこが問題であるのではないかと思います。物損事故は増えていますが、それは任意保険で払いますので、自賠責には影響ありません。物損は増えているけれども非常に軽傷で、エアバッグやシートベルトのために重症事故が減ってきたことからすると、当然支払保険金が減らなくてはいけないはずです。治療費に関しては、医療機関においては平均16万円で過去10年続いており、経費がかからず治っている、ないしは、軽傷の方が圧倒的に多いわけです。外来通院の方が圧倒的に多いということですが、医業類似行為等においては、療養費が32万円という平均値が出ておりまして、しっかり見直すべきではないかと考えております。自賠責保険における医療費と別に療養費のデータの情報公開をする時期に来ているのではないかと思います。
健康保険でも、3,000億円から4,000億円と療養費の支払いが増えてきており、ゆゆしき問題になってきています。これは圧倒的に、柔整の学校が増えて、卒業生が増えて、8,000人近くの方が卒業して、柔整の国家試験を受ける。実際は5,000人から6,000人が合格しております。柔整の世界でも数の増大が仕事、経営するにおいても共倒れにつながっていくのではないかということが大問題になっております。
この辺も加味して、自賠責保険における健全なる支払保険金の適正化という点において、治療費が問題ではなくて、慰謝料・休業補償という、治療期間が長引くことによって支払保険金が減らないというのが実態ではないかと思います。将来的に医業類似行為の療養費のデータを公表していただくことと、長期間になる施術に関しても、医療機関の治療期間に関して、襟を正して必要以上の治療はする必要はありません。症状固定ないし治癒にもっていくことは、日本医師会としても、医療機関にも襟を正していただき、施術所も襟を正して、自賠責保険の適正なる活用をし、国民の大事な自賠責保険金を適切に確保していくことが大切ではないかと思っております。
引用以上
この2度の藤川氏の発言に関しては質疑応答なし、落合会長は次の話題の発言をうながすのみで藤川氏の云いっぱなしといったところ。
このテーマⅠ で示したように、保険業界の傷害・後遺症の保証件数のみが警察庁統計の傷害事故数に比べ年々上昇している原因は、上記の藤川委員の発言の中の青色文字であらわした部分の内容を如実に表しているのではないだろうか。
すなわち、保険協会側は、明確な医療診断の根拠なしに医療以外の治療類似費の補償金を支払っているが、この実態を示す統計データがないことが原因であるといえないだろうか。この問題は、保険支払い側が、実証可能な証拠のあるデータを公表し、これに基づいて慎重に審議されるべき最重要な審議内容であるはずであるが、藤川委員の発言だけで、質疑も審議も行われていないことがわかる。
この議事録で見えてくるのは、問題の核心を避けて、初めから審議案を了承するための儀式であるということである。
頸椎捻挫に関しての症状判断は難しく、イギリスでも問題にされ、イギリスの全医療機関で治療した患者数より、保険業界側の発表した同症例の医療保障件数の方が多いことが明らかになった事例がある。
https://spaceglow.wordpress.com/2011/12/15/イギリスでも%e3%80%80公正取引局が自動車保険料を調査/