自動車損害保険会社の悪意ある宣伝
今朝、銀行で待つ間、日経新聞の自動車保険会社の全ページ広告欄を見た。年齢別の自動車保険金支払い金額のグラフと過去十年間の増加率が書かれていた。
そのグラフで、65歳以上と75歳以上の増加率が目立って大きいように表現されていた。その理由に高齢運転者(事故を起こしやすい)が増えた理由を第一に挙げていた。これをみて直感的に ”なるほど” と思う人の多いのにつけ込んだ意図的な広告と見た。
高齢運転者が増加すれば、それに比例して保険料収入の増加があるはずであり、それ抜かして支払い額だけの宣伝は不条理である。事実の一部だけを取り上げただけで嘘でなないとの声が聞こえてきそうだが、説明文と比べてみれば意図的にこのグラフを利用していることが分かる。
保険会社は高度の統計理論による予測で成り立っている事業であり、上記の様な理屈は成り立たないことは承知の上のはずである。強いて表題を「悪意ある宣伝」とした理由である。
何年か前に、保険会社の値上げ理由に、「高齢者は優良運転者が多い」ので割引率の高い加入者が増え、一方、若者が減少し、高額の割増保険料を支払う新規免許保持者の加入者数が減ってきて収支が悪くなったと書いていたのを見た。これが本音であろう。
高齢者は身体的に脆く、同一規模の事故に対し死亡率や高額医療障害が3倍以上高いことは統計的に証明されている事実であるが、高齢運転者が重い責任事故を起こす確率は、実勢の交通状態では他の年齢層と際立って高いわけではない。このことは日本ばかりでなく世界の先進国でも統計的に分析され確認されている科学的事実である。
自らの統計データに反する自動車保険協会の高齢者保険料金値上げ 損保会社の談合なら許せない « 2010/12/4
すなわち高齢者は虚弱性の為自分自身の運転中の障害保険分だけの料率が高くなるのはやむを得ないとしても、高齢だからとの理由で全ての保険料率を上げ様とするのは不条理である。
日本の特徴として、交通事故死者の半数以上が市街地での高齢歩行者(自転車)であり、高齢人口の増加に伴い益々この傾向は強くなるであろう。これは、高齢運転者と限らず運転者全体が遭遇する可能性のある責任事故であり、歩行者には保険料の負担は無く、保証は一方的に運転者の責任事故となる。これが主な原因で人口の高齢化に伴い保険会社が支払う高額医療費の増加となって表れているものであろう。市街地での道路インフラと高齢者の交通手段の研究が緊急な問題であり、高齢運転者に責任を転化するのは間違いである。
日本の恥ずかしい交通事情 市街地での高齢者の死亡事故が自動車先進国中異常に大きい理由 « 2012/9/2
イギリスでも無茶な理由で自動車保険料を上げようとする保険業界を政府系監督組織が調査に入るとの記事を見たことがある。
イギリスでも 公正取引局が自動車保険料を調査する BBCニュース « 2011/12/15