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自動車保険協会は検証可能なデータベースを示して保険料値上げの根拠を公表せよ

2011/09/29

新聞報道によると、また車保険料の値上げを計画しているようだが、検証可能な根拠を示さず、各社が談合して決めたことを言葉選びで尤もらしく見える理由を考えて発表している様に見える。監督官庁や新聞などメディアも理由を検証せず、損保保険業界の言い分を鵜呑みに単なるお知らせとして書いている。 自賠責審議会資料から見えてきたこと «

そこで、統計的資料として、「安全運転に必要な技能等に関する調査研究Ⅲ」 自動車安全運転センター、平成20年度調査研究報告、平成21年3月

http://www.jsdc.or.jp/search/pdf/all/h20_3.pdf

のテーブル、図表3-5-1-2 年齢別・過去5年間(②002-2006年)の事故(1当)経験回数別2007年の事故(1当)当事者率、東京・男性 p34 と同3-5-1-1北海道 p33 を用いて分析してみた。

この報告書では、警察庁が収集したと思われる、過去5年間の責任の重い事故記録(1当)と、それに続く年度の責任事故の状況が分析できる表を公表している。

運転者を、過去5年間に責任事故が無かった運転者層と、5年間に責任事故を経験した層に分け、更に10歳ごとの年齢層区分に分けて、無事故運転者と、事故歴を持つ運転者の次年度における責任事故の割合を分析してみた。

5年事故率と次年度事故率東京 

5年事故率と次年度事故率北海道

上の2つのグラフは、年齢層別に、過去5年間に責任事故が無かったグループと、過去5年間に責任事故を経験したグループとに分けて、次年度1年間に責任の重い事故に遭遇した場合について各年齢層毎の運転免許保持者総数を分母にした割合で描いたグラフである。

青色の棒グラフは、過去5年間無事故であった者が、不幸にも次年度責任事故に遭遇した割合であり、赤色は、過去5年間に責任事故を経験したグループの総運転者に対する割合である。

 

5年事故率と次年度事故率比較東京北海道

上のグラフは、分析結果を見やすくして示したもので、いわゆる優秀運転者(過去5年間に責任事故のなかった)に比べ、過去に責任事故を経験した運転者が次年度にどれだけ事故の割合が大きかったかを示すものである。

これは、過去の事故経験者の自動車交通社会全体への影響を見る統計として見ることができる。

このグラフからいくつかの基本的性質が分かる。

① 東京の事故歴保有者は、無事故運転者に比べ15~23%ほど事故率が高い。

② それに比べ北海道の運転者は8%~13%程度で、事故経験者の次年度の事故確率は東京に比べ低い。

③ 高齢者が事故を起こしやすいと云うのは迷信であり、75―84歳でも35―44歳と変わらない安全運転層である。

④ なお、下のグラフに示すように、東京と北海道の全免許保有者に対する事故状況の割合をみると、わずかだが北海道の事故率は、最若年層グループを除き東京より小さいことが分かる。

事故率東京北海道

結論としては、無事故運転者は、事故経験者より10~20%程度責任事故に遭遇する確率が低いことは明らかである。これが保険料の割引率にどう結びつくかは難しい問題だが、保険会社は具体的に説明する義務があろう。

また、東京と北海道では生活の条件が明らかに違うのに、全国一律な保険料率を決めるのも不合理である事が分かる。現在の地方の生活環境、特に高齢者自動車運転は生活のライフラインであるにもかかわらず、保険料ばかりではなく、税金などを含め、大都会と同様の個人自動車の保有経費が掛かるのも不合理である。

この結果を見て、過去に事故経験があるグループの事故率は「もっと高いはずで承服できない」、と思われるかもしれないが、この統計は、社会での自動車移動に伴う実勢の状況を表したものであり、警察庁等規制当局ががよくやる、社会での運転実態を無視し、全ての運転者層を同じ条件で比較した仮想的なものではない。確かに、過去5年間の無事故と事故経験者との次年度の事故遭遇確率だけを比較すると、事故経験者は3~5倍ほど事故率が大きいが、過去に事故に遭遇した運転者の数は、運転者総数の5%程度なので、社会的には少数派であり、社会全体の交通の実態から見る場合にはこの事故遭遇率を乗じなければ正当ではない。

今から30年以上前、ヨーロッパで科学的な事故統計が発表され始めた頃、それまで高齢者の運転は危険であると漠然と思い込まれていた結果が否定された時、承服出来ないと思う人が多かった。

だが、これは、暗黙のうちに壮年者と高齢者を同一の運転条件で比べているのが間違の原因であることが判明した。実勢の交通状態での統計では、高齢者は個人の生活の為の移動に車を運転しているのであって、有職世代とは明らかに運転状況が違う。これが高齢者は明らかにハンディキャップを持ちながも無事故運転歴を持つものが多い原因である。この事実は、損害保険業界も把握していることで、高齢運転者が増えるに従い割引料金の対象者が多くなり、保険料の減収になったのであり、高齢者個人の事故率が増えたためではない。言い換えれば、保険会社の運転者優遇料率の見込み違いと云えるのではないか。

もうひとつ、保険業協会は高齢者の保険料率を上げる理由として、高齢者は身体的に脆く、事故による死傷率が高く、また傷害からの回復が長引き医療保証料支払いが増えたと云う理由を挙げている。この事は統計的に正しい事実として証明されているが、責任事故統計で明らかのように、高齢が加害者として他の年齢層と大差ないことから、これは被害者としてのリスクであり、加害者側の保証の負担に備える交通傷害保険を、被害者である高齢者だけが負担する論理的な理由にはならない。

具体的にいえば、日本の高齢者の交通事故死傷者の大部分が歩行者や自転車利用者である。この原因となる加害者は全ての運転層であり高齢者だけではないことは誰にでも分かる。 超高齢歩行者の交通死者は同年齢の運転者の4倍以上 それでも高齢運転者を危険視しようとする理由はどこに? «

なお、蛇足だが、日本は、運転者の経験と努力により、世界有数の交通事故が少ない安全な社会を実現していながら、あい変わらす、交通規制当局や、マスメディアの交通事故に対する理解は”迷信の域を”脱していないと云える。

私がたびたび以上の様なことを書いているので、偏向していると思われるかもしれないが、日本を始め、交通先進国のどんな科学的統計データを見ても、高齢運転者が異常に社会を危険にさらしていると云う証拠は出てこない。

高齢者ビジネスに注目をしている業界の意図的な”迷信”につけ込まれないようジャーナリズムは勉強すべきと思う。

追加:10月1日、 証拠となる統計データを無視し 慎重な言葉選びだけで情緒的な回答をする保険会社の例 東京海上自動の回答 説明の根拠となる証拠を示さない勝手な言い分と思うが? DriveSafely/ウェブリブログ

これで見ても、検証可能なデータベースの参照情報を示さないで、勝手な数字を羅列しただけの回答、単なる「お知らせ」であり、質問とは無関係の会社の広報としか見えない。

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