コンテンツへスキップ

科学的根拠の分からない文部科学省の児童放射線被曝量の推定文書

2011/06/11

文部科学省の英文バージョンのデータベースより以下の報告書を読んで。

Results of dose rate measurement at schools in Fukushima Pref. etc   Trial Calculation of Actual Integrated Exposure Dose of Students,

http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/05/27/1306601_0512_5.pdf

この文書では校庭の空間放射線率が3.8μSv/h以下の時、子供達の年間被曝量が20mSv以下であると云うことを主張するためのものと見られる。

推定の基本となる仮定は以下の様である。

校庭の1m高度における空間放射線率を基準にして学童の生活圏内の環境放射線被曝量の推定をしようとするものである。

① 教室内の空間放射線量は運動場の1m高度の値の十分の一(0.1)である。

② 学校以外の屋外の(登下校時など)は運動場に対する環境放射能軽減率39%(校庭測定値の0.61倍)である。

③ 木造家庭屋内の場合には、家屋の放射線遮蔽による軽減を0.4として、環境放射能0.61との積 o.4 × 0.61 = 0.24

学校のある週日の子供の被曝率は 登下校時間1時間、学校校庭での活動時間2時間、教室内5時間、放課後屋外で遊ぶ時間3時間、住居内13時間と見積もって一日平均の被曝率は、運動場の(0.61×1+1×2+0.1×5+0.61×3+0.24×13)/24=0.34 倍と推定している。

休日には、8時間屋外(運動場以外)、16時間木造家屋内と仮定して、一日平均の被曝率は、運動場の(0.61×8+0.24×16)/24=0.36倍としている。

シナリオは、一見非常に慎重に子供の生活条件を分析して積算しているように見えるが、これらに用いた数値の根拠となる検証可能なデータベースや、推定の基礎となる学術的に評価された文献の参照リストが全くない。ただのお知らせである。科学省と銘打った省庁の報告とは思えない非科学的レポートである。

この中で、校庭と教室内の放射線率比がどこから取られたのか、文部科学省のデータベースにある測定値を用いて検証してみた。

http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/04/25/1305394_0419_1.pdf

下図に、このデータ表から計算して描いた校庭の放射線率に対する教室内各所の線量比のヒストグラムを示す。

運動場校内比分布May14

この時の平均は0.11なので、この文書で用いている放射線量の校舎内軽減率0.1は福島県内の4月14日における各学校の平均値であることが推定できる。

前のブログでも何回も主張してきたように、上の様に各場所での放射線率の分布は広がっていて、平均値より強い放射線量の個所が全体の度数の40%もある。この例でもわかるように、平均値を安全に関する問題の基準にするには不適当であることは周知のことである。

通常、医学的な統計では95%のケースが適合する(5%棄却率)で考えるのが常識である。このようにみて上のグラフから95パーセンタイル値を見ると教室内での線量は運動場の線量率の0.24と考えるのが常識であり、平均値0.1を用いるのは非常識である。

この文書は、5月12日に公表されたものであるが、6月2日発表のデータベースでは、教室内での分布は更に広がり95パーセンタイル値は0.8にも及んでいる。 緊急に学校の校舎内の放射線塵埃の除去を行うべきである コンクリート校舎内は安全であるとの神話は捨てるべき時が来た «

以上見てくると、幼児・学童・生徒等の若い世代の被曝量を、年間20mSv以下は安全とした政府発表の値をかたくなに、何が何でも上回らないよう数字をいじって計算した科学的根拠のない無責任な文書としか思えないがどうだろう。

自然科学・医学・疫学・統計学等のエキスパートの人材をを持ちながら、このような幼稚な報告書しか公表出来ないのは、省内の管理・権力組織の問題であろう。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください